GOOD DESIGN AWARD
2023年度受賞結果

開催概要

今年度のグッドデザイン賞の開催概要についてまとめています。近年、デザインへの期待が高まってきていることを認識し、今こそさらにデザインの持つ可能性を問い、その成果を広く社会に示すべく実施しました。事業経緯は以下の通りです。

開催要項主催・後援グッドデザイン賞の理念審査の視点本年度の事業指針賞の種類開催メッセージ

開催要綱・要領

「開催要綱」は、グッドデザイン賞事業の基本的な事項を定めたものです。この要綱に基づき、要領を定めています。

開催要綱
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応募要領
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審査要領
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受賞展開催要領
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Gマーク使用要領
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主催・後援

主催

公益財団法人日本デザイン振興会

後援

経済産業省 / 中小企業庁 / 東京都 / 日本商工会議所 / 日本貿易振興機構 (JETRO) / 国際機関日本アセアンセンター / 日本経済新聞社 / NHK / World Design Organization

グッドデザイン賞の理念

人間 for Archive
本質 for Archive
創造 for Archive
魅力 for Archive
倫理 for Archive

審査の視点

グッドデザイン賞では、かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価しています。応募されたデザインの背景・プロセス、目的と達成した成果などの様々な観点による複眼的思考を基本に、以下の「審査の視点」についてその是非を問いながら、総合的なバランスにおいてグッドデザインか否かを判断します。

人間的視点 for Archive
  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか

  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか

  • ユーザーから共感を得るデザインであるか

  • 魅力を有し、ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点 for Archive
  • 新技術・新素材などを利用または創意工夫によりたくみに課題を解決しているか

  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか

  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点 for Archive
  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか

  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか

  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

時間的視点 for Archive
  • 過去の文脈や蓄積を活かし、新たな価値を提案しているか

  • 中・長期的な観点から持続可能性の高い提案が行われているか

  • 時代に即した改善を継続しているか

本年度の事業方針

2023年度のグッドデザイン賞は、新たに齋藤精一氏を審査委員長に、倉本 仁氏及び永山祐子氏を審査副委員長に迎えました。3名による新体制では、「アウトカムがあるデザイン」をテーマに、グッドデザイン賞をその年の「GOOD」と「DESIGN」を定義し発信する機会と捉え、今の社会を考察して「そこに必要なデザインであるのか?」を問いました。

要点は以下の通りです。

国内外の優れたデザインの発見及び応募促進

グッドデザイン賞の「発見・共有・創造」のサイクルの中の「発見」は、すべてのスタート地点であるため、新たな正副委員長からのメッセージを伝えるべく、応募受付スタート日から応募期間中にオンラインセミナーを複数回開催し、新体制の考え方やグッドデザイン賞の審査の視点の周知をはかりました。また、コロナ禍で中断していた対面での応募説明会や、応募相談会を国内外で復活させ、応募者や各地の協力団体との関係性の繋ぎ直しに注力しました。さらに、主に中小規模の製造業経営者に「デザインを取り入れることでビジネスが変わる」という理解を促すため、幅広い読者層を持つビジネスメディアをタイアップ先として選定し、2022年度の製品デザインの受賞者インタビューを中心とした記事広告を掲載しました。これによりグッドデザイン賞の趣旨や受賞することのメリット、グッドデザイン賞の持つ機能を訴求し、応募への動機付けにつなげることを目指しました。

受賞対象全件展示の復活

また本年度は、コロナ禍で縮小もしくはバーチャル化してきた「デザインに触れる機会」「デザインを学ぶ機会」を取り戻すべく、東京ミッドタウンの全館を使った受賞対象全件をお披露目する展示の機会を復活させ、日本のデザイン・イベント再興の契機としました。これによって、グッドデザイン賞が評価するデザインの領域の広さを示し、今の社会に必要なデザインの総体を提示すると共に、受賞デザインを直接見て、触れて、学ぶ機会を提供しました。

オウンドメディア立ち上げ等による情報発信機能の強化

グッドデザイン賞公式ウェブサイトが本年度4月よりリニューアルし、情報発信の中核となるオウンドメディアである「グッドデザイン・ジャーナル」コーナーがスタートしました。同コーナーでは、グッドデザイン賞の実施情報や受賞者及び受賞デザインの紹介を行うとともに、デザインについて解説する連載も開始し、グッドデザイン賞のみならず、デザインそのものに親しみを感じてもらうメディアとして、継続的に情報発信していくべく取り組みました。

賞の種類

すべての応募対象の中で、デザインが優れていると認められるものに「グッドデザイン賞」が贈呈され、さらにその中から特に優れた100件が「グッドデザイン・ベスト100」として選出されます。その後、審査委員会によってグッドデザイン・ベスト100の中から「グッドデザイン金賞」及び「ファイナリスト(大賞候補)」、「グッドフォーカス賞」が選出されます。 「グッドデザイン大賞」はグッドデザイン大賞候補の中から審査委員とその年のグッドデザイン賞受賞者等によって選出されます。

賞の種類

Portrait - 齋藤 精一 2023
2023年度グッドデザイン賞 |審査委員長
齋藤 精一

2023/4/4

アウトカムがあるデザイン

今、私がつくっているものは誰のためにつくっているのか? 今、私が買おうとしている製品の素材や成り立ちは社会にとって良いのだろうか? 今、私の目の前にあるものは、自分にどんな力を与えてくれるのだろうか?

デザインという言葉が多くの場面で使われる時代になった今、私たちものを創り出せる人・企業・産業は、デザインをすることを自負して、同じ方向に向かって進んで行けているでしょうか? 正解の無い複雑な世の中に対して、デザインは何が出来るでしょうか?

ものづくりの裏には、沢山のコトのデザインが必ず存在していますし、 コトのデザインを達成するために、必ずものづくりは存在します。 可能な限りアイデアの始まりから辿ってアウトプットまでを評価するグッドデザイン賞として、モノとコトのデザインという二元論で語ることではなく、「アウトカムがあるデザイン」というテーマのもとにさらに進化をしたいと思います。

現在では、余っているものを足りないところに届けることが情報のデザインによって可能になり、伝統的な手法やその地域だからこその知恵が、伝承されたデザインとして高く再評価され始めています。 デザインを大量生産・大量消費するサイクルではなく、沢山の良質なデザインを沢山の人に届けることも、デザインを必要とする人に必要な量だけ届けることも可能になりました。 また、企業の評価基準も変わり、社会に貢献することで経済効果が示せる時代にもなりました。

そんな時代だからこそ、グッドデザイン賞はデザインに関わる人や企業、団体などが生み出したアイデアに目を向けて読み解くことで、これからのデザインと産業・暮らし・社会が共に進むべき方向を見出す役割に挑戦したいと思います。 ソーシャルデザインという言葉が多くの場で使われるようになった20年前、ナラティブ=物語という社会的意義を求めた10年前、パーパスを企業価値やブランドとして定義した近年、こうした時系列の上に立ちながら、いまデザインに関わる全ての人が進むべき北極星を「アウトカム」として、皆さんのデザインを通して議論し見つけてまいります。 多様な視点や課題意識から生み出されたアイデアに満ちたデザインに出会えることを、審査委員一同楽しみにしております。


Portrait - 倉本 仁 2023
2023年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
倉本 仁

2023/4/4

デザインの意思

私たちの生きるこの世界は常に流動的で変化に富み、潮流のようなうねりによって物事の価値、文化、人々の興味が常に移り変わっています。

デザインは、人と事物と周辺環境のより良い調和を見つけるためにあると考えると、今私たちはどのようにそれらが調和した風景を想い描くべきでしょうか?

経済を牽引する産業に貢献したデザインの顕彰制度として始まったグッドデザイン賞は、その長い歴史の中で多様な世相を反映して変容しながら、時代時代の価値観を写し出す「ものさし」のような役割を担ってきました。我々が審査を担うデザインの事物には、企業や作者の想いや願いなどが宿っています。そうした「意思」はデザインを構成する要素の根幹となり、製品や取り組みを力強く駆動させる力となります。意思は取組の規模によって良し悪しを判断されるものではなく、例えば、身の回りのささやかな幸せを叶えるものであったり、実直な製品の適正進化であったり、自然環境や地球に暮らす全ての動植物への想いやりであったりと様々です。私たちはそうした意思の尊さを積極的に読み取りたいと思います。

また、意思の価値が重要視されると同時に、その意思が適切な方法、質の高い技術で実現・実装されているかどうかも極めて重要です。良いデザインとはプロジェクト全体を表す寛大な視野と細部にフォーカスされた飽くなきこだわりを併せ持つものです。

今年度もグッドデザイン賞を通して多様な願い、想い、提言に出会えることを楽しみにしています。


Portrait - 永山 祐子 2023
2023年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
永山 祐子

2023/4/4

デザインの力

「デザインの力を信じているか」とかつて聞かれたことがあり、その時、私は「信じている」と即答しました。でも今、本当にそうだろうかと思い返す自分もいます。私が育った子供時代(1980年代)は今よりも、なんだか明るい未来に向かって進んでいるというような漠然とした感覚があったように思うのです。そしてその中に新しいデザインと、そこから生まれたムーブメントがありました。今、私たちの子供たちが生まれ育っているこの時代は、未来に向かって夢が持てる状況なのか、新しいデザインによって明るい未来を見せることができているのか。世界中を席巻したパンデミックの波。未知のウィルスの恐怖もさることながら、私たち自身が課す行動制限によって元気を失っていく社会。もう起こらないとどこかで信じていた平和神話を打ち破る戦争の恐怖。じわじわと押し寄せる気候変動と災害。未来はもっと今より明るいなんて示せるのだろうか。そんな現状が私たちに突きつけられています。 でもモノを作り出す者として、もう一度、今この時代だからこそ「デザインの力を信じている」と言いたい。グッドデザイン賞は新たなテーマ『アウトカムがあるデザイン』。今年の成果を通して次年度のテーマを紡ぎ上げていくという試みが今年度からはじまります。常に今は過去から未来への通過点です。それぞれに信じ、望む未来を自分で手繰り寄せるための手段としてのデザイン。それを多くの人と共有し、未来を模索する場であって欲しいと思います。

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グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が運営しています。