受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン賞
小学校・幼稚園
千代田区立九段小学校・幼稚園
受賞対象の詳細
復興小学校の改築計画にあたり、L字型校舎の西側半分を保存活用、北側半分は改築して外装を復元、東側は新たに増築する計画とした。保存する部分と増築する部分とを明確に分けることで創建当初の意匠を活かし、隣接する公園と一体の景観、アーチ形状の開口部や時計塔の継承を図るなど、新旧が調和した、新たな保存のあり方を実現した。
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デザインのポイント
- 既存校舎の調査を詳細に行い、可能な限り創建当初の色・材料・ディテールを復元した。
- 改築・増築部分はオープンスクール形式を採用し、多様な学校活動に対応できる計画とした。
- 体育館の地下化等で敷地を有効活用し、必要な床面積、設備を確保した。
ディレクター
株式会社久米設計 建築設計部 小牧実豊
デザイナー
株式会社久米設計 建築設計部 小牧実豊、森田純、宇川雅之、松井亮介(元社員)

詳細情報
利用開始
2018/07
設置場所
東京都千代田区三番町16番地
背景
千代田区立九段小学校・幼稚園の旧校舎は、関東大震災後の⼤正15年(1926年)に当時の東京市内に数多く建設された復興⼩学校のひとつとして、隣接する復興⼩公園(現東郷元帥記念公園)と⼀体的に整備されたものである。旧校舎は南側の校庭をコの字に囲むように配置されていた。東側の屋内体操場が昭和40年代に2階建ての体育館兼講堂に建替えられ、西側・北側のL字型配置の鉄筋コンクリート造校舎については、創建時の外部建具が更新され、外壁の塗装改修など補修・維持管理を繰り返しつつ90年に渡り使⽤されてきた。表現主義的な特徴を有する旧校舎は、千代⽥区景観まちづくり重要物件に指定されており、経済産業省の近代化産業遺産にも認定されていた。施設の⽼朽化のため建て替えるにあたり、本計画では、歴史的建造物をいかに保存・活⽤しながら、耐震性や環境性能、教育環境などの向上を図るかが大きなテーマであった。
経緯とその成果
歴史的価値が⾼く、地域にとって愛着のある建築である⼀⽅で、現代の教育環境を満たす校舎とするには、旧校舎の約2倍の床⾯積が必要であり、限られた敷地のなかで、3階建ての旧校舎の全てを保存することは困難であった。そこで、コの字型の旧校舎の校庭側の壁⾯位置維持し、L 字型の旧校舎のうち⻄側校舎を保存・活⽤し、北側校舎は校庭側からみた外観と構造を復元的に整備、そして、創建時の屋内体操場が既に失われていた東側には新校舎を増築することとした。改築部は地下2階まで活用し、校庭下を体育館として有効活用する計画とし、必要床面積を確保した。新築する東側校舎については、現代的な材料を用いながら柱のリズムを踏襲し、新旧校舎がバランス良く共存・調和することを⽬指した。竣工後は、地元の方々に愛着のある景観を維持しつつ、オープンスクール、屋内プール等の最新の設備による教育環境を実現し、活用されている。
仕様
敷地面積:4558.11 ㎡ 建築面積:1841.21 ㎡ 延床面積:9282.67 ㎡ 構造:鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 階数:地下2階、地上4階
どこで購入できるか、
どこで見られるか
東京都千代田区三番町16番地
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
伊藤 香織五十嵐 太郎山崎 亮山梨 知彦
評価コメント
今年のグッドデザイン賞の公共建築では、注目すべき保存やリノベーションが多いが、これもそのひとつである。関東大震災後の復興小学校に対し、校舎西側半分の保存、北棟の外装復元、黒子に徹する4階の増築、東側の新築校舎など、様々な手法を駆使しながら、表現主義的な意匠をもつ校舎を未来につなげた。注目すべきは、小学校において大きなヴォリュームとなる体育館を地下におさめることで、面積を確保しつつ、地上のヴォリュームをコントロールしたこと。またフルオープンの引き戸をもつオープンスクール、屋内プールの可動床など、フレキシブルな使い方にも対応している。
