受賞ギャラリー
2018
グッドデザイン・ベスト100
建築
町営住宅河和第二団地
受賞対象の詳細
1950年代に建設が始まった積層型団地は、空室が目立つようになってきていたため、建替えに当たっては住戸数を減らし子育てしやすい生活の場を用意しようということになった。 敷地内を抜ける路地には各々の棟の大きな軒が掛かり、プライベートとパブリックな領域をあいまいにしている。 路地に対して周る縁側は路地から内部空間に距離をつくりながら隣人を迎える玄関先にもなる。対角線上にコアを持つ4方開放のリビングと縁側とを連続させ,内部の生活が外に溢れ人との関わり合いを持ちやすくすることで、積層団地に生まれにくかった内側の生活と外との関係を緩やかに溶かし、戸建て住宅と集合住宅が混ざったような環境にを目指した。
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デザイナー
studio velocity一級建築士事務所 栗原健太郎+岩月美穂

栗原健太郎(左)、岩月美穂(右)
利用開始
2017/03/31
背景
1950年代に建設が始まった団地は近年,老朽化や世帯数の減少,高齢化など多くの課題が出ている。この河和団地も例外ではなく、耐用年数を経過したPC造2階建ての一部棟を建て替えることとなった。 美浜町は細長い知多半島の先端近くに位置し海辺の好環境にあるものの、都市圏から離れている立地もあって近年は県平均を上回る人口減少に悩まされており、子育て世代の支援や町外から移り住みによってそれに歯止めをかけたいという町としての願いもあった。 建替えに当たっては住戸数を減らす代わりに地面に近くて子育てしやすく高齢者にも対応できる生活の場を用意しようということになった。
経緯とその成果
積層団地から平屋木造団地へ
デザイナーの想い
対角線上にコア(個室、水回り)を持つ4方開放のリビングとそれに連続した縁側があり,内部の生活が外に溢れ人との関わり合いを持ちやすくすることで、積層団地に生まれにくかった内側の生活と外との関係を緩やかに溶かし、戸建て住宅と集合住宅が混ざったような環境にできたらと思う。 入居から3か月が経った先日、団地に立ち寄った。 敷地内の2軒の家族同士(お母さん2人と小学生3人)が1軒に集まりちょうど遅めのランチを食べるところだという。そのうち1人の女の子がお母さんに頼まれて多めに作った茶碗蒸しを1軒先の別の家族に届けに行った。軒下の路地であるお宅のお母さんと話をしていたら別のお宅の男の子が小っちゃい自転車でその間を走り抜ける。大きな軒下と既存団地の隙間を縫って、海風とともに新しい世帯の子供たちの声が吹き抜けていく。
仕様
敷地面積:2205.45m2、建築面積:607.58m2(61.98m2×6棟・57.8m2×3棟・62.3m2×1棟)、延床面積:497m2(49.7m2/棟)、主体構造:在来木造、階数:地上1階
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審査委員の評価
担当の審査委員
篠原 聡子猪熊 純西田 司
評価コメント
今まで片側だけ開いていた団地の開口部を4面に対して開ける構成にし、その周囲に縁側を取り付けたことにより、集合住宅地のあり方がこんなにも変わるのかと驚かされた建築。今まで壁で隣り合っていた家が、縁側や庭を挟んで隣り合うことになり、住み手が自分の意思で閉じたり開いたりでき、そのような「カスタムしながら距離を調整する感じ」がデザインされている。また環境のデザインとしても、家と家の隙間を光や風が抜けていく風通しの良さが想像できる。住みかたに建築のありかたが追従していく自由さを感じた。
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