受賞ギャラリー
2016
グッドデザイン賞
ラチェットハンドル
ネプロス 6.3sq.ラチェットハンドル
受賞対象の詳細
「より強く、より使いよく、より美しい」をコンセプトとする「ネプロスシリーズ」のラチェットハンドル。世界最多の90枚ギア、7段クロウの精密な駆動機構を差込角6.3sq.規格の小さなヘッドに凝縮し、ボルト締緩に必要なハンドル振り角度を従来の10度(36枚ギア)から4度まで減少させました。全長は125mmで、手のひらにすっぽり収まるコンパクトサイズ。狭い場所での作業はもちろん、繊細なトルク感覚が必要な作業で活躍します。「最高級の使いよさ」を追求して直感的作業性を上げるため、滑らかな動きとバックラッシュを極限まで少なくし、空転トルクの軽さや動作音にまでこだわって作り上げました。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
プロデューサー
京都機械工具株式会社 執行役員 中村鉄夫
ディレクター
京都機械工具株式会社 商品開発部 頼富士朗
デザイナー
京都機械工具株式会社 商品開発部 大西俊輔
詳細情報
発売
2015/12/01
価格
9,000円
販売地域
国内・海外共通仕様
背景
自動車のエンジンルームやバイクなどのエンジン回りの省スペース化により修理に必要なスペースは狭所化する一方である。また使用される部品も樹脂やアルミのものが増え、部品を壊さない様に低トルク作業が増えている。より狭所場所で作業ができ、小さいサイズで繊細な仕事ができる多枚歯の6.3sq.ラチェットが必要となった。
経緯とその成果
作業現場を選ばない直感的で手の延長線のような質感の工具を創る。
デザイナーの想い
従来品の36枚ギアの振り角10度から90枚ギアの4度になったことで、より緻密な仕事ができるようになった。6.3sq.の工具は小さい為使用材料も少なく生産する際に出る切りくずも少ない為、環境に良い製品といえる。接続される周辺工具も小さく軽い為、移動エネルギーも小さくて済む。欧米の自動車整備界では6.3sq.の工具が一般的に使用されている。日本においても6.3sq.の工具が普及することを願っている。
企画・開発の意義
昨今2輪と4輪いずれの業界でもミニマム化により狭所での作業が求められている。ボルト・ナット14mmまで使用可能で必要振り角を減少させることで使用場所を選ばず、空転トルクを極限まで軽くすることでボルトの供回りを防ぎ、バックラッシュを小さくすることで作業ロスを減らして長時間作業でも疲れにくい直感的な工具を提供して、日本の産業を日本製の工具を用いて安全・快適で能率的な作業現場の実現を目指した。
創意工夫
6.3sq.で従来の強度と寸法を維持するには50mmの長さに90ギアを加工しなければならない。山の高さは約0.2mmになるため従来工法とは異なる精密加工で形状を成形した。精密加工される小さなギアの力を十分に発揮させるためには、クロウの7つの歯に均等に荷重を加えられるようにクロウの背面や本体の壁寸法を調整し、さらにギアとクロウ高さ方向に均等に力が加わる様にギアの高さ位置を調節することで最低限のギア高さで最大限の力に耐えられるようにした。空転トルクとバックラッシュはクロウを押すバネの強さで決まる。通常ギアに確実にクロウを合致させバックラッシュを小さくするためにバネを強くする。しかし、バネを強くすると空転トルクが高くなる。最低限のバネ強さで空転トルクを軽くし、バックラッシュを小さくするために最適なクロウ離脱方向を計算し、軽空転トルクと小バックラッシュを実現した。
仕様
長さ125mm、ヘッド厚み11mm、ヘッド幅22mm、ハンドル径13mm、重さ110gの差込角6.3sq.のラチェットハンドル。世界最多の90ギアを採用し、ボルトを締緩するために必要な角度は4度で狭所作業の作業が可能になった。
どこで購入できるか、
どこで見られるか
KTCものづくり技術館
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
朝倉 重徳内田 毅彦加藤 麻樹青木 俊介CAI Jun
評価コメント
当たり前の工具でありながらデザイン性、機能性に優れている点で、作業に従事するユーザーが喜んで使用することが期待される。結果として整備等の作業が確実に行われ、その後安心して機械を運転させることが可能になることが想定でき、堅実な形で機械の信頼性を支えていると言える。
