受賞ギャラリー
2024
グッドデザイン賞
駅舎・駅前広場
柳ヶ浦駅周辺地区整備
分類タグ
公共空間/土木/景観
受賞企業
事業主体名
宇佐市
受賞番号
24G151279
受賞対象の詳細
柳ヶ浦駅は地方都市の小さな駅であるが、近隣高校の利用も多くそのポテンシャルを活かした再整備が望まれた。市民が日常的に交流する「まちの結び目」をコンセプトに、地域や学校との継続的なまちづくり活動を進め、駅舎や駅前広場を一体としたトータルデザインを行っている。整備後には市と施設管理者が連携し、駅舎内外の利活用を始めている。
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デザインのポイント
- 官民連携のトータルデザイン:駅前広場+駅舎+駅ホームまでの一体的な整備と施設内外の多様な居場所づくり
- 駅まちづくりへの市民参加:地域住民や地元高校生との継続的な勉強会やモノづくり活動などのプロセスの重視
- 地方都市の小さな駅が持つ価値の創出:程よい空間や利用者の距離感が日常的な交流を生む「まちの結び目」
プロデューサー
宇佐市
ディレクター
合同会社アトリエT-Plus 辻喜彦+九州工業大学大学院工学研究院 教授 吉武哲信+熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター 教授 星野裕司+日本大学生産工学部環境安全工学科 准教授 永村景子
デザイナー
株式会社風景工房 増山晃太+株式会社WAO渡邉篤志建築設計事務所 渡邉篤志+株式会社 モビリティデザイン工房 五十嵐淳+株式会社建設技術センター 懸樋喜康,松尾和人

詳細情報
利用開始
2024/03/01
設置場所
大分県宇佐市住吉町、大字江須賀
背景
昭和42(1967)年まで機関区として賑わった柳ヶ浦駅は現在は乗降客数が約1,060人/日規模の駅となっている。自然発生的に形成された駅前では、朝夕の送迎時間帯に利用者と車両が錯綜する危険な状態にあり、駅舎内の待合室は時間を過ごせる設備が乏しく、街の主要駅としては永らくサービスが不十分であった。一方、特急停車駅であり中心市街地を結ぶ基幹道路の整備が進む中、交通拠点性の向上が求められており、また駅周辺には子育て施設や市営住宅が立地し、近隣高校の学生が約400人/日利用する等、多世代利用が想定できるポテンシャルがある。このような状況の小駅は全国の地方都市に数多くある中、当駅では地域に開かれた「まちの結び目」をコンセプトに、駅利用者に限らず市民が日常的に使い、交流する駅のあり方を目指し、平成26(2014)年度より約10年を費やして駅舎や駅前広場などの一体的な整備の構想・計画・設計を進めてきた。
経緯とその成果
構想策定から施工完了までの約10年間、都市・土木・交通・建築・まちづくりの専門家チームを編成し、駅周辺地区における課題をトータルに解決していく行政・市民・事業者・専門家による検討体制で臨んできた。そのなかでも特に市民が駅まちづくりに参加できるプロセスを重視し、市役所若手職員との勉強会、空間デザインに関する市民まちづくりWS、地域の住民団体との駅にまつわる歴史勉強会、地元高校生とのイスやテーブル・屋台等のモノづくりWSなどを行ってきた。リノベーションした新たな待合室は既に高校生や地域住民等の日常的な居場所となっており、駅前広場では多目的室(総合案内所)を核とした施設管理の委託事業者と市が連携した利活用が企画されている。令和6(2024)年3月の事業完了記念イベントでは、地元高校制作のロゴマークのお披露目や屋台の出店がある等、「まちの結び目」として交流する地域の駅の一端がみられている。
仕様
待合室:60㎡、多目的室(旧駅長室):48㎡、トイレ:51㎡、駅前広場:5,890㎡(憩いの広場:1,515㎡、前面取付道路:1,270㎡、公共交通広場:1,117㎡/バス1台・タクシー1台・タクシー待機4台、一般車待機場:1,520㎡/16台、駅舎前シェルター:RC造351㎡、バスシェルター:S+W造117㎡)、駐輪場:365㎡/100→163台、市営駐車場拡張:1,200㎡/140→159台
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審査委員の評価
評価コメント
鉄道駅の整備・再開発は規模にかかわらず、とにかく時間と手間が掛かる。車社会の地方都市でも、鉄道駅は地域の顔ということで多くの期待が寄せられる。多くの人々が様々な意見を言う。行政や鉄道事業者の想いもある。所有者や管理者が複雑に介在し、関係者は粉骨砕身、途方もない時間と手間を掛けられたことだろう。手間と時間の掛かるプロジェクトに、人々はなぜこんなに根気強く熱心に取り組むのだろう。駅と駅前では、人々の笑顔やくつろぎ、歩行者が最優先されるからだろうか。柳ヶ浦駅は、周囲の長閑な雰囲気をそのまま駅前に持ち込んだようなシンプルな佇まいになった。国鉄時代に整備された画一的なRC造の駅舎も新しいシェルターで美装化され、記憶を継承している。日豊本線の駅は旧市街地と駅の位置が離れている場合が多いが、新しい賑わいづくりへの挑戦は高く評価されるべきだ。
