受賞ギャラリー
2021
グッドデザイン賞
納骨堂
鳥飼八幡宮祖霊殿
分類タグ
公共空間/土木/景観
受賞企業
事業主体名
宗教法人鳥飼八幡宮
受賞番号
21G141304
受賞対象の詳細
1800年の歴史ある神社に建つRC造地下1階地上2階建ての祖霊殿(神道式納骨堂)です。大通りに背を向けていた神社の新たな顔をつくるため、荒れ地となっていた雑木林を整地し、塀などの敷地境界を取り払いました。緑化した斜面に屈曲した壁面が連なる風景が、地域の人々にとって神社との接点となるようなランドスケープを目指しました。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 神社境内や本殿を引き立たせる背景(ランドスケープ)となることで新たな人の流れを生み出す。
- 神社の新たなランドマークになることで、人々に神社と祖霊殿の存在を知ってもらう。
- 土地の高低差を生かして地下を「祖霊」空間、地上を「祭祀」空間として使用し、外部空間を多く残す。
プロデューサー
宗教法人鳥飼八幡宮 代表役員 山内圭司
デザイナー
一級建築士事務所二宮設計 二宮隆史・二宮清佳

詳細情報
利用開始
2021/03
価格
オープンプライス
販売地域
国内
設置場所
福岡県福岡市中央区今川2-1-17
背景
日本人は仏教伝来以前から、亡くなった家族・先祖の霊「祖霊」に日々手を合わせ、祀ってきました。生命とは祖霊の霊力(みたま)を受け継いで誕生し、死後は再び祖霊の元に還るのです。この「祖霊祭祀」は古代から日本人の精神生活、さらに神道信仰の根本とされてきました。 現代では家族構成や価値観が多様化し、家々の葬送儀礼やお墓事情も変化しています。代々のお墓が遠方にあり、お参りや清掃管理が困難、新しくお墓を建てたいが適当な場所が見つからないなど問題も少なくありません。このような現状に対し、今後、葬儀・納骨そして年中祭祀をご検討の方々を対象に、鳥飼八幡宮祖霊殿(神道式納骨堂)を建立するに至りました。日本人が生まれたときから訪れる神社ですが、死者を弔う神道式納骨堂はまだ事例が少ない施設です。現在進行形で淘汰が進む神社界のひとつの道しるべとなるような祖霊殿となることを願っています。
経緯とその成果
25年に一度の式年遷宮に向けた取組みのひとつとして、祖霊殿建築の計画が決まり、施主である宮司からは、これからの社会・これからの地域にとって新しい祖霊殿を建てて欲しいと依頼されました。構造は納骨施設という役割からRC造とし、内外ともにRC打放しとしました。内部は小さな建物ながら、奥へ奥へと続く連続性を持たせた平面構成としています。断面的には地下を納骨のためのスペースとし、3層吹抜けの祈りの場を設けています。外部は植栽した斜面を建物内に引き込み、将来的には古墳のように自然と一体となった存在となることをイメージして設計しました。 竣工後は、大通りで足を止めじっくりと境内を眺める人、境内に足を運び宮司に声を掛ける人が増えています。神社が地域のためにあり、永く地域と共にあったことを再び取り戻すきっかけになっています。
仕様
主要用途:祖霊庫(納骨堂) 竣工年:2021年3月 規模 敷地面積:7706.00m2 建築面積:199.92m2 延床面積:314.83m2 地下1階地上2階建て 2階床面積:19.75m2 1階床面積:117.63m2 B階床面積:177.45m2 構造:RC造 直接基礎
どこで購入できるか、
どこで見られるか
鳥飼八幡宮
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
伊藤 香織五十嵐 太郎西村 浩平賀 達也
評価コメント
一般的に日本では寺院に比べて、神社に関係する建築は保守的なデザインになる傾向をもつ。が、このプロジェクトでは、本殿の背後にあたる場所だが、公道に面する位置に、現代的な意匠をともなう祖霊殿(神道式の納骨堂)がつくられ、新しい顔を獲得した。が、派手なものではなく、地上は屈曲するコンクリートの壁と操作されたランドスケープになっており、地下に静謐な納骨の空間を設けている。それゆえ、納骨堂は自らの存在を知らせながらも、既存の建築を引き立て、歴史のある神社に新しい魅力をもたらした。
