受賞ギャラリー
2016
グッドデザイン賞
旅客車
英国IEP(都市間高速鉄道計画)向け高速車両 Class 800/801
受賞対象の詳細
IEP(都市間高速鉄道計画)は、英国の主要幹線において、運行開始から30年以上を経過した車両を全面的に置き換える大規模プロジェクトで、日立は車両製造と27年半の保守契約を担う。デザインでは、日本の技術と現地の人々の生活との融和をめざした。エクステリアは、最新の欧州規格に適合した衝突時衝撃吸収構造と、自動連結器カバー開閉構造を両立したうえで、空力性能を満たした滑らかで一体感のあるフォルムを実現し、新しい鉄道インフラの顔として長く愛されるデザインをめざした。一方インテリアは、原寸大模型を用いながら、鉄道運行会社や乗客団体、乗務員団体等との仕様確認を経て、現地に受け入れられるデザインをめざした。
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プロデューサー
株式会社日立製作所 鉄道ビジネスユニット CEO アリステア・ドーマー
ディレクター
株式会社日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ 製品デザイン部 池田稔
デザイナー
株式会社日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ 製品デザイン部 高田裕一郎、神村成自+DCA Design International
詳細情報
ニュースリリース
2014/11
販売地域
海外向け
設置場所
IEP(英国)
背景
英国では1993年に国有鉄道の分割・民営化したが、老朽化した車両の置き換えが進まず、車両故障を原因とする運行遅延などが頻発し、社会問題となっていた。英国運輸省は、その対策としてIEPを計画、世界規模の入札コンペが行われた。日立にとっては、日本で培われた、路線軌道に負担をかけないための軽量化技術や、空気抵抗・騒音低減による環境対策などの高速化技術を活かせるチャンスであった。
経緯とその成果
日本で培われた技術や品質を、現地の生活や文化に溶け込ませるデザイン。
デザイナーの想い
グローバルな鉄道のデザインにおいて、まず重要になることは、我々自身が、日本で行ってきた事を理解する事である。そのうえで、対象となる地域固有の規格、人々の嗜好、文化を把握する必要がある。そこに生まれるギャップをあらゆる手段で、地道に埋めていくことがデザイナーの役割だと思う。既にデザイン開始から10年近くを経ているが、こうした活動を通じて、地域社会にスムーズに受け入れられるデザインが実現できたと思う。
企画・開発の意義
人々の生活を支える鉄道システムは、それがその土地に整備され、運用されていくなかで、次第に人々の生活の一部となり、沿線の風景を構成する要素となっていく。そこに求められるデザイン品質は、地域固有の規格に対応することや、高速性能のような機能性を満たすことだけでなく、そこで生活している人々や、その鉄道を利用する人々が、長い期間にわたり、特に意識することなく日々快適に使い続けられることが重要だと考えた。
創意工夫
エクステリアデザインは、最新の衝突安全規格や、空力性能などの技術的対応が必要なため、日本で行った。先行して日立が英国に納入し導入されたClass395(2009年運行開始)は、アンチクライマー(衝突時衝撃吸収構造)が両側に張り出した形状であったが、Class800/801では、連結器カバーの格納動線とアンチクライマーが干渉しないように配置を見直すことで、張り出しの無い滑らかな面構成を実現した。 インテリアは、現地の文化や嗜好に適合し、英国運輸省や運行会社、運転士団体など、複数のステークホルダーの承認を得ながら仕様を決めていく必要性から、現地のデザイン事務所をパートナーに起用して進めた。人間工学的な寸法確認、設備の仕様決定、客室間の移動や居住性について、現地の合意を図るため、精度の高い原寸大モックアップを制作し具体化した。
仕様
5両編成、または9両編成(最大2編成を連結して12両で営業運転) 最高運転速度:201km/h,(設計速度225km/h)
どこで購入できるか、
どこで見られるか
英国(2017年営業運転開始予定)
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
根津 孝太伊藤 香織岡崎 五朗佐藤 弘喜Juhyun Eune
評価コメント
長期間にわたる国際的な大規模プロジェクトであり、開発を進める過程で、現地の規格や使用環境に適合するために様々な困難があったことが推測されるが、それらを乗り越えて完成度の高いデザインを実現している。特にインテリアデザインに関して、日本の技術や品質基準を基盤としながらも、現地のデザイン企業とのコラボレーションによって、欧州の利用者の要求や嗜好に適したデザインを高い完成度でまとめあげた点が評価できる。外観も、シンプルで明快なデザインとなっていて好ましい。
