受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン賞
オフィス+工場
安田株式会社 名古屋支店
分類タグ
産業/商業空間
受賞企業
事業主体名
安田株式会社
受賞番号
20G161016
受賞対象の詳細
金属製品を扱う企業の工場とオフィスの増築計画。1Fは天井が高い物流スケールの空間、2Fはヒューマンスケールの明るい木質オフィスとし、そのボリュームの組み合わせによって高さ6.5mのピロティを生み出している。工業の街で働く人々と遊歩道を楽しむ人々の交差点となるピロティにより、周辺環境と人をつなぐ建築となることを目指した。
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デザインのポイント
- 工業の街と桜並木の遊歩道をつなげ、新たな交流の文化を生むピロティ空間。
- モノのスケールで生まれた高い天井と自社アルミ製品が作る、明るく表情豊かな工場。
- 住宅スケールの切妻屋根が水平垂直の広がりを生み、眼下の桜並木とのつながりも生む木質のオフィス空間。
プロデューサー
安田株式会社 代表取締役社長 安田誠/安田株式会社 海老実
ディレクター
松尾和峯
デザイナー
株式会社YAP一級建築士事務所 山口陽登+design SU 一級建築士事務所 白須寛規

左:白須寛規、右:山口陽登
詳細情報
利用開始
2018/04
設置場所
愛知県丹羽郡大口町上小口2-138-1
背景
敷地の裏側の五条川には美しい桜並木が連なる全長20kmの遊歩道、尾北自然歩道が広がっている。一方、計画地である大口町は小牧ICと国道41号線を核に、工業の町として昭和30年代から発展した町である。同時期の昭和28年頃に当時の村長によって桜並木が植樹されたが、それらに背を向け、モノと車のスケールでできたこの町は、働く人々にとって、決して居心地の良い場所として設計されているわけではないように感じられた。 都市計画上役割を分離することで特化・発展してきたこの街が、工業と自然という2つの背景をそれぞれに尊重し引き継ぐこと。また、新たなライフスタイルを形成していくために、建築を通して「工業・物流」と「人・自然」をつなぐことが必要だと考えた。
経緯とその成果
道路側を物流の玄関、川側を人の玄関としてゾーニングした。オフィスを訪れる人は川側に回り込んで、桜並木を楽しみながら建物にアプローチする。1Fと2Fのギャップによって生まれた高さ6.5mのピロティは、桜並木の高さ・スケールと一致し、道路側からでも桜並木に向かって視線が抜けるように考慮した。ピロティは花見やBBQなどを行う交流の場にもなる。 1F倉庫・工場は、川側、道路側に開口を設け、光と風が通り抜ける、物流スケールののびやかな計画とした。2Fオフィスは明るく木質の空間である。住宅のようなスケールの切妻屋根が連続する天井により、垂直方向への伸びやかさと水平方向への広がり、眼下に広がる桜並木とのつながりを生み出した。 南側の応接室、事務室は切妻屋根が五条川のラインによって不整形に切り取られ、細く天井高の高い変形の空間が生まれている。
仕様
敷地面積:1,661.56㎡、建築面積:1,154.21㎡(うち増築343.13㎡)、延床面積:1,758.37㎡(うち増築553.68㎡)、主体構造:鉄骨造地下1階・地上2階建、増築工事
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審査委員の評価
担当の審査委員
原田 真宏遠山 正道永山 祐子吉田 愛
評価コメント
オフィスと工場・倉庫という既存施設を全て取り壊して新築するのではなく、一部解体しつつ増築するという手法としている。こうすることで風景や記憶の継続性を担保しつつ、全く新たに新築する場合には一意に整えられた単純な空間となりがちであるが、これが回避されて多様な空間性が獲得されている。また、旧社屋のボリュームによって地域から隔絶されていた水辺と桜並木の風景を、新造オフィスボリュームをピロティ状に浮かせて配することで、地域から味わえるようにし、さらにピロティ下に桟敷のような場をしつらえることで、それをより豊かに味わえる場を新たに生み出してもいる。自社の利便性向上だけでなく、地域の記憶や景観にまで寄与しようとする公共意識の高さを評価した(その姿勢は企業のブランドイメージを高めることだろう)。
