GOOD DESIGN AWARD

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2020

GOOD DESIGN|グッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]

受賞対象名
震災遺構 [山元町震災遺構中浜小学校]
事業主体名
宮城県山元町
分類
公共の建築・空間
受賞企業
宮城県山元町 (宮城県)
受賞番号
20G171097
受賞概要
2020年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

宮城県沿岸部最南端の山元町立中浜小学校。2011年3月11日、大津波が迫る中、内陸の避難場所までの移動は不可能との判断から、児童と教職員ら90名は屋上に避難。翌朝全員が救助された。その被災校舎を津波による破壊の痕跡を極力残したまま保存し、内部を含め震災遺構として公開。学校自身を教材に未来の災害への備えを考える場とする。

デザインのポイント
1.新条例により建築基準法の適用を除外し、被災したままの状態で見学者の立ち入りを伴う公開を可能とした。
2.被災校舎をそのものを核に、展示資料、案内冊子、モニュメント等を通じて見学体験を統合的に設計した。
3.津波の脅威や被災経験の継承のみならず、来館者への問いかけを通じて未来の災害への備えを考える場とした。
プロデューサー

宮城県山元町

ディレクター

一般社団法人SSD 本江正茂+株式会社国際開発コンサルタンツ 野澤和意、西沢有美、西野孝弘

デザイナー

合同会社アウフタクト 岩澤拓海+H.simple Design Studio合同会社 小山田陽+有限責任事業組合第2編集部 玉田義一+Lidea 門傳一彦+株式会社BLMU 松井健太郎

詳細情報

https://www.town.yamamoto.miyagi.jp/soshiki/20/8051.html

公開開始予定
2020年9月
価格

400円 (入館料: 一般 400円/団体300円、高校生 300円/団体200円、小・中学生 200円/団体100円、小学生未満無料)

設置場所

宮城県亘理郡山元町坂元字久根22-2

受賞対象の詳細

背景

震災から10年。各地に震災遺構やメモリアル施設が整備されてきている。山元町では検討委員会や住民ワークショップを重ね、宮城県南部に唯一残る被災建築物である中浜小学校を、復興交付金事業による震災遺構として保存活用することとした。昭和39年の開校以来、地域と共に歩み愛されてきた中浜小学校は、1989年の改築時に、敷地全体を2m程度かさ上げし、住民の避難を想定した外階段を設けるなど、津波や高潮への対策が事前に施されたものであり、このことが被害の低減につながった。震災後、校区は居住禁止区域となり、集落もすべて失われたが、この学校への愛着を持つ住民は多く、自発的な震災語り部活動も始まっていた。 設計にあたっては、元教職員や地域住民と密に協議を行い、地域に愛されてきた校舎、避難者の命を救った校舎として、遺構に残されるべき価値の所在を同定し、その保全に努めた。

経緯とその成果

建築用途を博物館等に変更するのではなく、条例を制定して建築基準法の適用除外となる保存建築物とすることで、破壊された学校という特殊な状態を維持しつつ、見学者の立ち入りを伴って内部まで公開することを法的に可能にした。安全確保のため最小限に改修し、躯体の法定耐用年数期間は内部を公開する。津波で破壊された1階や、児童らが避難した屋根裏倉庫など校舎の被災状況を体感してもらうことを中心としつつ、そのまま防災教材となるガイドブック、ガイダンス 映像、住民の記憶を集めた失われた街の模型、ありし日の校舎をしのぶ詳細な模型、学校と地域の関係の年表、被災直前直後の72時間を追うドキュメントパネル、東日本大震災と地域の関係を多角的に捉える情報映像、3月11日に合わせた日時計のモニュメント、校庭のランドスケープまで、見学者のユーザ体験を統合的にデザインし、震災の脅威を示すに止まらない学びの機会を提供している。

仕様

平成元(1989)年建設、所在地 宮城県亘理郡山元町坂元字久根22-2、敷地面積 17,469 m²、校舎 鉄筋コンクリート造・地上2階建・延床面積2,310.12 m²、 管理棟 鉄骨造・地上1階建・延床面積 74.02㎡

どこで購入できるか、
どこで見られるか

宮城県亘理郡山元町坂元字久根22-2

審査委員の評価

震災の記憶を後世に残すための施設としては、さまざまな点で他に類を見ない特徴を持っているといえよう。整備にあたって、役所や専門家や教員や住民の意見交換を重ねたという丁寧なプロセス、新たな条例によって震災文化財をそのまま見せることができるようにした制度的な発想、役所の各課が分掌を超えて協力したプロジェクトである点など、プロセスにおける柔軟な発想が出来上がった空間の質を格段に高めている。この種の施設を整備する際の、ひとつのモデルを提示したプロジェクトである。

担当審査委員| 伊藤 香織   五十嵐 太郎   山崎 亮   山梨 知彦  

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