GOOD DESIGN AWARD

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2016

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
ギャラリー [富久千代酒造 酒蔵改修ギャラリー]
事業主体名
富久千代酒造有限会社
分類
公共用の建築・施設
受賞企業
株式会社yHa architects (福岡県)
富久千代酒造有限会社 (佐賀県)
受賞番号
16G110927
受賞概要
2016年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

本計画は大正末期創業の富久千代酒造にある登録有形文化財の旧精米所(1921年竣工)を来訪者の試飲や酒造り展示のできるギャラリーに改修したものである。登録有形文化財であるため、基本的に外観や形状の変更はできず、外壁を焼杉によって修景している。旧精米所の建物は長らく倉庫となっており、隣の設備棟に構造的にもたれかかって傾いている状態であった。計画では、屋根の軽量化とともに曳きおこしにより傾きを修正し、梁の下に新たに鉄板を挿入することで構造補強している。

プロデューサー

富久千代酒造有限会社 代表取締役 飯盛直喜

ディレクター

佐賀大学大学院准教授・yHa architects 平瀬有人

デザイナー

株式会社yHa architects 代表取締役 平瀬祐子+昭和女子大学准教授・yAt 構造設計事務所 森部康司

平瀬有人・平瀬祐子

詳細情報

http://nabeshima.biz

利用開始
2014年12月
販売地域

日本国内向け

設置場所

佐賀県鹿島市浜町 1244-1

受賞対象の詳細

背景

大正末期創業の富久千代酒造は1000石の酒蔵であるが、様々な鑑評会で賞を獲得するなど高い評価を受けてきた。2011年に銘柄「鍋島」がIWCインターナショナル・ワイン・チャレンジ日本酒部門で世界一の最優秀賞を受賞したことで一気に多くの注目を集め、酒蔵には各地から観光客が多く訪れるようになった。受賞を契機に本計画に取り組み、現在も継続的にショールーム・オフィス・ラウンジなどの改修計画に携わっている。

経緯とその成果

構造補強の鉄板を内壁から内側にオフセットして挿入することで、94年前の土壁をそのまま残している。

デザイナーの想い

木や土壁の古材に対し、新しい要素にも鉄の重量感を与えたことで、新旧の要素を対峙させつつ、同時にそれらが渾然一体となって生み出す独特の空気をつくりたかった。白雲母やワラスサを混入した白い壁や天井が土壁・黒皮鉄板のどちらにも対比的な要素となり、その両者の重量感を調停する働きを演じさせている。

企画・開発の意義

時間の堆積した土壁という重厚なマテリアルに対して、一般的な古民家改修に見られるような柱梁接合部の構造補強のように古色塗りでカモフラージュした木材のような表層的なマテリアルを衝突させることに違和感があったため、構造補強に鉄板を用いた。マテリアルに内在する時差を承知しつつ、時の経過を経た土壁に対してあえて鉄板を用いたのは、黒皮鉄板にも土壁の持つエイジングと同質の錆びゆく美学があると感じた所以である。

創意工夫

12mm厚の黒皮鉄板の壁は、正方形の孔のまわりに4.5mm厚のリブ枠材を取り付けることで耐力を上げると同時に、一升瓶や四合瓶を展示する什器となっている。構造がそのまま仕上げになる鉄板壁は、磁石を利用した什器として使うことで将来の展示計画への対応も考えている。この鉄板壁に穿たれた正方形の孔は、いわば94年前の得も言われぬ土壁をフレーミングし、観測するための装置(observation device)ともなる。ギャラリー内部の展示物を観ることはもちろんのこと、正方形の孔を通じてこの建築を観る、という複数の視点を同時に得ることもまたこの計画の重要なテーマのひとつであった。古くから残る建築の祖形を際立たせつつ敢えて新しい要素を入れることで所与の空間や古いものが更に良く見えるような「建築的介入」の思考を意識して計画に取り組んだ。

仕様

規模/建築面積:154.75m2・延床面積:199.65m2(1F:154.75m2・2F:44.90m2)・階数:地上2F・主体構造:木造(黒皮鉄板による構造補強)

どこで購入できるか、
どこで見られるか

富久千代酒造有限会社
佐賀の酒 鍋島|富久千代酒造
株式会社yHa architects

審査委員の評価

大正末に建設された精米所を改修し、ギャラリーに改修した作品で、新旧の対比を図りつつも、加えられた新の部分をミニマムに、それでいながら繊細なデザインで挿入することで、単なる改修を超えた、上質で魅力的な空間が生み出されている。デザイナーのうまさが際立っている一方で、歴史的建造物の改修としては、今後を先導していく新たなる着想の点で、今ひとつ踏み込みに欠けるようにも感じられた。

担当審査委員| 山梨 知彦   千葉 学   中村 拓志   星野 裕司   Lee Siang Tai  

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