GOOD DESIGN AWARD
2025年度受賞結果

開催概要

今年度のグッドデザイン賞の開催概要についてまとめています。近年、デザインへの期待が高まってきていることを認識し、今こそさらにデザインの持つ可能性を問い、その成果を広く社会に示すべく実施しました。事業経緯は以下の通りです。

開催要項主催・後援グッドデザイン賞の理念審査の視点本年度の事業指針賞の種類開催メッセージ

開催要綱・要領

「開催要綱」は、グッドデザイン賞事業の基本的な事項を定めたものです。この要綱に基づき、要領を定めています。

開催要綱
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応募要領
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審査要領
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受賞展開催要領
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Gマーク使用要領
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主催・後援

主催

公益財団法人日本デザイン振興会

後援

経済産業省 / 中小企業庁 / 東京都 / 日本商工会議所 / 日本貿易振興機構 (JETRO) / 国際機関日本アセアンセンター / 日本経済新聞社 / NHK / World Design Organization

グッドデザイン賞の理念

人間 for Archive
本質 for Archive
創造 for Archive
魅力 for Archive
倫理 for Archive

審査の視点

グッドデザイン賞では、かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価しています。応募されたデザインの背景・プロセス、目的と達成した成果などの様々な観点による複眼的思考を基本に、以下の「審査の視点」についてその是非を問いながら、総合的なバランスにおいてグッドデザインか否かを判断します。

人間的視点 for Archive
  • 使いやすさ・分かりやすさ・親切さなど、ユーザーに対してしかるべき配慮が行われているか

  • 安全・安心・環境・身体的弱者など、信頼性を確保するための様々な配慮が行われているか

  • ユーザーから共感を得るデザインであるか

  • 魅力を有し、ユーザーの創造性を誘発するデザインであるか

産業的視点 for Archive
  • 新技術・新素材などを利用または創意工夫によりたくみに課題を解決しているか

  • 的確な技術・方法・品質で合理的に設計・計画されているか

  • 新産業、新ビジネスの創出に貢献しているか

社会的視点 for Archive
  • 新しい作法、ライフスタイル、コミュニケーションなど、新たな文化の創出に貢献しているか

  • 持続可能な社会の実現に対して貢献しているか

  • 新たな手法、概念、様式など、社会に対して新たな価値を提案しているか

時間的視点 for Archive
  • 過去の文脈や蓄積を活かし、新たな価値を提案しているか

  • 中・長期的な観点から持続可能性の高い提案が行われているか

  • 時代に即した改善を継続しているか

本年度の事業方針

2025年度のグッドデザイン賞は、昨年度に引き続き齋藤精一氏を審査委員長に、倉本仁氏及び永山祐子氏を審査副委員長に迎えました。審査においては、昨年度のフォーカス・イシューから導き出された「はじめの一歩からひろがるデザイン」をテーマに、グッドデザイン賞の審査の視点(人間・産業・社会・時間)に加えて、従来の慣習や既成概念にとらわれずに、一歩踏みだす志を持ってデザインに取り組んでいるかどうかを問いかけました。要点は以下の通りです。

国内外の優れたデザインの発見及び応募促進

応募受付期間中には応募説明会や応募相談会を国内外で多数実施し、ポテンシャルのある応募者を動機づける活動を行いました。中国大陸においては、各地のメディアと連携を続け、ソーシャルメディアやウェブ広告などの複数のチャネルで広告を展開し、応募促進をはかりました。台湾では、2022年度から継続して実績のあるポッドキャスト・チャンネルで、日本の優れたデザインに関する情報やトークを発信し、グッドデザイン賞についての理解促進につなげました。

オウンドメディアによる情報発信機能の強化

2023年度から立ち上がったグッドデザイン賞公式ウェブサイトの情報発信コーナーである「.g Good Design Journal」は、審査の実施状況や受賞者及び受賞デザインの紹介を連載しています。また、Instagramやfacebook、noteなどのSNSの公式アカウントは、年々フォロワー数が増加しています。適時適切なコンテンツ更新によって、グッドデザイン賞や受賞対象を一般ユーザーに身近に感じてもらうことができるメディアとして、さらに発信力を高めました。

「グッドデザイン金賞」の位置付けと「グッドデザイン大賞」の選出方法の変更

本年度から、「グッドデザイン金賞」は各カテゴリーのトップとして、20ユニットから1件ずつ選出しました。「グッドデザイン大賞」は、その年の受賞対象の中で、最も優れたデザインと認められるものを選ぶという趣旨から、デザインのプロフェッショナルである審査委員のみが参加する特別賞審査会において、金賞20件の中から1件を決定しました。昨年度に引き続き、大賞とは別に、受賞展に来場した方がどなたでも投票できる「みんなの選んだグッドデザイン」という投票イベントも実施し、優れたデザインについて広く関心を持っていただく機会としています。

賞の種類

すべての応募対象の中で、デザインが優れていると認められるものに「グッドデザイン賞」が贈呈され、さらにその中から特に優れた100件が「グッドデザイン・ベスト100」として選出されます。その後、審査委員会によってグッドデザイン・ベスト100の中から「グッドデザイン金賞」、「グッドフォーカス賞」が選出されます。 「グッドデザイン大賞」は、グッドデザイン金賞の中から審査委員とその年のグッドデザイン賞受賞者等によって選出されます。

賞の種類 2025

Portrait - 齋藤 精一 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査委員長
齋藤 精一

2025/4/1

はじめの一歩から ひろがるデザイン

デザインは、一体どこから始まるのか? 生み出されたデザインは、誰によって育まれどのように社会に出ていくのか? 今年度のグッドデザイン賞では、それをもっと知りたいと思う。

私はかねてより、プロダクトデザインのような「モノのデザイン」とソーシャルデザインのような「コトのデザイン」を分けて考えることはできず、モノのデザインの裏側には物語=コトのデザインがあり、コトのデザインのアウトプットにはたくさんのモノのデザインが存在すると言い続けています。そして、過去10年間グッドデザイン賞の審査に携わるなかで、これはあらゆるデザインに対して言えることだと確信しています。このことをあらためて2025年度グッドデザイン賞のメッセージに掲げられるのは、二元論的に語られてきたモノとコトのデザインが、今ようやく融合して考えられるようになってきているからだと強く感じています。

本年度のテーマである「はじめの一歩から ひろがるデザイン」は、昨年度のフォーカス・イシューの議論から導き出されました。2023年度は「アウトカムがあるデザイン」、2024年度は「勇気と有機のあるデザイン」をテーマに掲げ、私たちは今後どちらの方向に進むべきか、そのためにはどのようなプロセスが必要なのかを考え、今あるべきデザインを探してきました。

過去の膨大な受賞デザインから見えてきたのは、すべてのデザインの源流ともいえる、創り出す人の想いの重要性と、それを実現まで推し進める力を持ったプロセスの強度でした。さまざまな既存のシステムが飽和状態に達し、これまでの方程式を疑う必要がある今だからこそ、新たな視点を持って、本当に必要とされる美しくしなやかなデザインを生み出すことが、すべての分野で期待されていると感じます。言い方を変えれば「デザインが時代を追いかける時代(マーケティング重視の時代)」から、「”より良いものを創り出すデザインという行為”が社会を牽引する時代」に確実に踏み出したと考えられます。

「はじめの一歩から」は、そんな新たな視点を実装する”熱量を持った個”が社会との接点で見出す行為を肯定することを意味し、「ひろがるデザイン」はそれを企業や団体の中で尊重し、それぞれの能力を持ち寄って創り上げる力を意味しています。

応募の際には、最終成果物としてのデザインだけではなく、ぜひその成果物が生まれた経緯やプロセスに含まれるデザインも表現していただけると幸いです。本年度もたくさんのデザインにお会いできることを審査委員一同楽しみにしています。


Portrait - 倉本 仁 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
倉本 仁

2025/4/1

意思を耕す

今年もグッドデザイン賞が始まります。 私は常々、デザインは人と事物、そして周辺環境とのより良い調和を見つける行為であると考えています。そしてその調和の姿は社会背景や技術革新を反映しながら常に変化し続けています。グッドデザイン賞も多様な世相を反映して変容しながら、時代の価値観を映し出し、その瞬間の「Good」を表してきた運動といえるでしょう。

新たな未来を思い描くことは作り手の大きな喜びであるとともに、膨大なエネルギーを必要とする大仕事です。画期的な研究やアイデアを製品・サービスとして具現化し、社会に浸透して活用されるような事物の多くは企業や組織の優れたチームワークによって成されていますが、元をたどると誰か個人の想い、「はじめの一歩」から展開されているのだと、あらためて思うのです。声を上げる個人の勇気と強い意思でアイデアが提起され、それを受け止める形で企業や組織が有機的に協力し、社会に実装される大きなうねりへと発展させる。審査にあたっては、そうした個人の意思の尊さを積極的に読み解き、またそれを組織がどのように展開して世の中に表明したのかにも注目したいと思います。

「意思」の視点・視野・視角も重要であり、作者や企業の理念がどのように耕され、応募プロジェクトの発意に至ったのかにも興味があります。応募される皆さんの熱意に応えるため、より深く作り手の「意思」を理解するために、審査方法も試行錯誤を繰り返し、社会とデザインの関係性の変化に合わせて更新を行っています。グッドデザイン賞という運動が時代の価値観を測る「ものさし」になれることを願い、今年も皆様のすばらしいデザインに出会えることを楽しみにしています。


Portrait - 永山 祐子 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
永山 祐子

2025/4/1

その一歩をチャンスに

過去2年のメッセージでは、「デザインの力」(2023)、「デザインの力の向かう先」(2024)と題し、特にその年度にグッドデザイン賞を通して考えを深めてみたいと思ったことを書きました。そして、実際にデザインの力が社会に与える影響を見つめてきました。今年度のグッドデザイン賞のテーマは「はじめの一歩から ひろがるデザイン」。デザインがはじまる原点から、どのような力を得て広がっていったかを見たいという思いが込められています。 昨年度のフォーカス・イシューで、私は「巻き込み力」と「巻き込まれ力」という言葉で、原点を作り出す人、それぞれのスキルでそこから実現に向けて力強く推進していく人の役割について表しました。どのプロジェクトも、この両方の力があったからこそ実現しているのですが、まさに昨年度の受賞作品にはそのような好事例が多く見受けられました。

1970年の大阪万博から55年経った今年、2度目の大阪・関西万博が開催されます。前回の万博は「奇跡の万博」と言われており、若い建築家、アーティスト、クリエイターが多く参加し、来たる明るい未来に向けた想いを形にし、多くの来場者がそれに共感しました。この度の万博はその時とは少し様子が異なり、開催前から今の時代においての意義が問われています。しかし、日本は開催国として名乗りを挙げ、選ばれ、「はじめの一歩」を踏み出しました。その一歩を無駄にしないために、私を含め関係者はみな、全力を尽くしています。この一歩に意義を与え、チャンスにするかは巻き込まれた私たちにかかっているのだといえます。

グッドデザイン賞は誰かが諦めなかったものだけが並ぶ賞です。そして、そのプロセスの共有は次にアクションを起こそうとしている人たちの背中を押します。ぜひ自らのデザインの過程やストーリーを多くの人と共有し、次なる力を生み出すために、今年度もたくさんの方に応募をしてほしいと考えています。

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グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が運営しています。