GOOD DESIGN AWARD
2025年度受賞結果
主催者挨拶
Portrait - 深野 弘行 2025
公益財団法人日本デザイン振興会 |理事長
深野 弘行

2025/10/15

このたび、2025年度のグッドデザイン大賞、金賞をはじめとする特別賞ならびに各賞の受賞者が決定いたしました。受賞された皆様のたゆまぬご努力と、関係者の皆様のご支援の賜物であり、心よりお祝い申し上げます。

本年は、大阪・関西万博が開催されており、そのテーマには「未来社会のデザイン」が掲げられています。ここで「デザイン」の語が掲げられたことは、デザインが社会の様々な分野に関係し、分野を超えて、社会の在り方そのものを問い、導いていく力を持つものであることを意味しているのではないでしょうか。

来年、グッドデザイン賞は70周年を迎えます。輸出振興を目的とした創設当初から、時代とともに変化を重ね、現在では、多様な価値を包摂する総合的かつ国際的なデザイン賞へと発展してまいりました。私たちは、これからもデザインが創造的な活動として、経済・社会・文化の発展に寄与するよう、尽力してまいります。

なお、受賞作品を一堂にご紹介する「2025年度グッドデザイン賞受賞展」を、11月初旬に東京ミッドタウンにて開催予定です。ぜひご来場いただき、受賞作の創造性や社会に価値をもたらす力をご体感ください。

最後に、応募いただいた皆様、審査にご尽力いただいた審査委員の皆様、そして日々デザインに関心を寄せてくださるすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

2025年10月 公益財団法人日本デザイン振興会 理事長 深野 弘行


審査委員長挨拶
Portrait - 齋藤 精一 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査委員長
齋藤 精一

2025/10/15

2025年度もグッドデザイン賞に数多くのご応募をいただき、誠にありがとうございました。受賞された皆様に、心よりお祝い申し上げます。今年も多くの素晴らしいデザインに出会うことができました。

今年度の応募開始にあたり、私は次のメッセージを発信しました。

「はじめの一歩から ひろがるデザイン」 デザインは、一体どこから始まるのか? 生み出されたデザインは、誰によって育まれどのように社会に出ていくのか? 今年度のグッドデザイン賞では、それをもっと知りたいと思う。

デザインの力がさまざまな分野に浸透しつつある今日、従来の「モノのデザイン」「コトのデザイン」だけでは語りきれない姿が、今年度は特に顕著に見受けられました。例えば、長い年月を経て地域にとって当たり前の存在になり、その誕生の経緯や当時の熱量が忘れられがちになった場所を再定義しようとした「ホタルが舞い、水中花が咲く清流・源兵衛川 ~三島の宝が世界の宝に!世界かんがい施設遺産~」。また、個人の熱意から始まり、国内外の震災・災害時に可能な限り高い品質とスピードで居住空間を提供しつつ、各地域で自走する試みとして実装されてきた「DLT木造仮設住宅」。いずれも完成に満足することなく、思考と実装を繰り返し、多くの「はじめの一歩」を重ねてきた成果です。こうした姿勢を示す応募作が、今年度は特に多く見られました。

デザインには、時間軸があります。 誰かの熱意や気付き、課題意識から生まれたものが、美しい状態で長く実装され続けるためには、再検討と研究、そして継続的な活動が必要です。

デザインには、持続するための仕組みがあります。 ビジネスや経済、コミュニティ、時代の変化との密接な関係性が求められ、実装を支え続けるための資金や組織など、多様な循環が不可欠です。

モノの周りには必ずコトがあり、コトの周りには必ずモノがある。 デザインが社会に実装されるとき、プロダクトやサービス、仕組み、取り組み、建築など多様な形式をとるために、その背後にある着眼点、課題意識、熱意などは見えにくくなりがちです。だからこそ、グッドデザイン賞は単に成果物を評価するアワードにとどまらず、プロセスや活動を共有し、手法を分かち合い、勇気を得る場となり、さらに多くの人々に知っていただくきっかけとなるーー。そのようなデザインを起点とした強いコミュニティとして、継続的に存在すべきだと改めて感じました。

デザインの力をさらに多くの人々に活用していただくために、グッドデザイン賞も時代とともに進化し続けます。そして「はじめの一歩」を踏み出す勇気をより多くの人々が意識し、それが「ひろがるデザイン」であり続けるように。多くの人々が自らもデザインに関わる一員であることに気づくきっかけとして、グッドデザイン賞が機能し続けることを願っています。


審査副委員長挨拶
Portrait - 倉本 仁 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
倉本 仁

2025/10/15

グッドデザイン賞を受賞された皆様、おめでとうございます。

本年度も多彩なジャンルから数多くのご応募をいただき、社会の複雑な変化と向き合いながら、未来を拓く意志をもった多様なデザインに出会うことができました。ご応募くださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

今年のテーマは「はじめの一歩から ひろがるデザイン」でした。社会をより良くしたいという小さな気づきや、目の前の困りごとに対する切実な想い。それらが「はじめの一歩」となり、やがて仲間を巻き込み、技術や知見を得ながら、より大きな提案へと発展していく。そのプロセス全体に宿るデザインの力を見つめたいという思いのもと、審査を行いました。 実際に多くの応募作から、作者自身の内にある問いや願いが明確に立ち上がっていました。それは単なるアイデアの発露ではなく、時間をかけて育まれ、協働によって磨かれた「ひろがるデザイン」へと昇華されており、その点に深い感銘を受けました。個人の声を起点としながらも、組織や地域、産業の枠を越えて広がりを見せるデザインの姿は、まさに今年のテーマを体現していたといえるでしょう。

一方で、実直なものづくりに真摯に向き合い、技術開発やデザインの細部にまで徹底的にこだわり抜いた結果、ある種の特別な空気感を纏うに至った素晴らしいデザインの成果にも多く出会えました。素材や製造プロセスを根本から見直し、サーキュラーエコノミーの実装や生成AIとの協働など、現実的な制約を乗り越えながら探求的な視野で開発を深めている様子に、デザインのさらなる成熟と深化を感じました。

複雑化する課題に対し、デザインが担うべき役割はますます大きくなっています。しかしそれは、決して重荷ではなく、人間の創造力と共感力が未来を形づくる希望として機能していることの証でもあります。それぞれの受賞作の背後にある問いや挑戦を知り、そこから生まれたデザインの純粋な美しさを感じることで、皆様の暮らしや仕事における、新たな視点やインスピレーションが芽生えることを願っています。


審査副委員長挨拶
Portrait - 永山 祐子 2025
2025年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
永山 祐子

2025/10/15

受賞者の皆様、このたびは誠におめでとうございます。

今年も審査を通じて、多くの気づきと学びを得ることができました。特に印象に残ったのは、大賞の選考において最後まで議論に残った二つの受賞作です。一つは大賞を受賞した「DLT木造仮設住宅」、もう一つは金賞に選ばれた「ホタルが舞い、水中花が咲く清流・源兵衛川 ~三島の宝が世界の宝に!世界かんがい施設遺産~」で、いずれも長年の活動の成果を未来へと継承しようとする取り組みでした。

三島市・源兵衛川のプロジェクトは、35年にわたる活動によって美しい川を取り戻したものの、それが今では地域にとって当たり前の風景となり、かえってその価値が若い世代に見過ごされつつあるという危機感から応募されたものでした。「この賞をきっかけに、若い世代に思いを伝え、未来へと引き継ぎたい」という応募者の言葉が強く心に残りました。

私が審査副委員長を拝命した2023年度には、グッドデザイン賞のあり方を議論し、「アウトカムがあるデザイン」というテーマを掲げました。その際、「今という時間は過去から未来へ向かう通過点であり、デザインは望む未来を手繰り寄せる手段である」というメッセージを記しました。その年から、受賞作の傾向分析と総括をもとに次年度のテーマを導き出す試みを始めました。そして3年目の今年は、まさに初年度のテーマに込めた思いを象徴する年になったといえます。

グッドデザイン賞は、新たな芽吹きを称えるだけでなく、過去から未来へと受け継がれていく「今」を評価することも重要です。ゼロからイチを生み出す力と同様に、イチから進化を続ける力もまたかけがえのない価値であることを、今年の審査を通じて改めて実感しました。

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