GOOD DESIGN AWARD

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CC

2020

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
商業施設 [mother's+(マザーズプラス)]
事業主体名
有限会社北海道種鶏農場
分類
商業のための建築・空間・インテリア
受賞企業
有限会社北海道種鶏農場 (北海道)
株式会社竹中工務店 (北海道)
受賞番号
20G161039
受賞概要
2020年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の思想に基づき鶏の放牧を行うパイロットファームの中核施設で、養鶏業のプロセスを見せる見学施設を併設した店舗です。将来は農村での自然体験や食文化を楽しむ新しい余暇の過ごし方「グリーンツーリズム」に基づき、鶏の飼育・採卵・加工販売までの過程を学び楽しむ滞在型施設を目指しています。

デザインのポイント
1.明快な空間構成と、光と影の交錯した美しいインテリア空間のもと、生産者と消費者の「共振」を促す場を創出
2.環境主体で考えた、動物と人間が共存するサスティナブルな社会にふさわしい農村風景の提示
3.地域に固有の素材・かたち・手法を尊重したデザインを「Local Fabrication」として展開
プロデューサー

有限会社北海道種鶏農場 代表取締役 川上一弘

ディレクター

株式会社 竹中工務店 設計部 藤田純也

デザイナー

株式会社 竹中工務店 設計部 横尾淳一

詳細情報

http://www.mothers-egg.com/

竣工
2020年2月
販売地域

日本国内向け

設置場所

北海道白老郡白老町字社台

受賞対象の詳細

背景

北海道の南に位置する白老町はかつて林業や畜産・鉱工業が主要産業でしたが、今は歴史・食文化などの地域資源を活用した観光業が盛んです。一方人々は日々幸せに暮らしていますが、我々の社会は多くの動植物の犠牲の上に成り立ち、鶏や牛をはじめとした家畜が日の当たらない屋内で、歩くこともままならないまま一生を終えることに想いを馳せることはありません。近年動物の生きる権利を認め、家畜の飼育状況を改善させる「アニマルウェルフェア」が世界的な流れとなりつつあります。これは人間中心の世界観から、継続する環境の中における人間社会を客観的にとらえるSDG’sの理念に通じています。また人間の営みが人工知能と共存する未来において、人にしかできないユニークな能力が模索されています。個人の経験や地域に根ざした固有の文化、無意識から発するひらめきや関連性、ものづくりのプロセスを重視するデザイン手法などが再認識されつつあります。

経緯とその成果

鶏舎の連なる町並みやいにしえの鉱山・既存のサッカーコートなど、もともと土地にあったモノやコトを表現しつつ、自然豊かな森をはぐくむ山並みを背景に、動物と人間が同じフィールドで活動する新しい農村の風景を創り出しました。鶏舎の形を素材とともにトレースした建物は地元産業への貢献として主な架構を木造とし、鶏肉鶏卵の加工・調理を行う工房棟は不燃化の必要から鉄骨造としました。工房棟は内部の作業を来館者に見せるため全面ガラスとしています。木造モノコックの中にガラスボックスを挿入したインテリア空間は、自然素材と工業製品を対峙させることでそれぞれの美しさを引き立てています。鶏舎らしく開口部は最小限とし、トップライトの効果的な配置により光と影が交錯する印象的な空間としました。

仕様

敷地面積:16351.99㎡ 建築面積:891.02㎡ 延べ面積:887.71㎡ 構造規模:木造2階建

どこで購入できるか、
どこで見られるか

北海道白老郡白老町字社台
mother's+

審査委員の評価

鶏業のプロセスを見せる見学施設を併用した店舗の計画としてクライアントの思想が純度を持って表現された建築である。鶏舎のかたちをモチーフとした木造モノコックの構成は、トップライトからの光と影の効果と相まってダイナミックな連続性を作り出している。鶏をシンボル化するのではなく、足跡を仕上げとして作業に協業してもらうというプロセスなど、動物と人間の関係性に対する課題を建築を通じて問題提起をしているとも捉えられる空間は、これからのサスティナブルな社会にふさわしい風景を作っていて素晴らしいプロジェクトだ。

担当審査委員| 原田 真宏   遠山 正道   永山 祐子   吉田 愛  

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