GOOD DESIGN AWARD

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CC

2016

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
リノベーション住宅 [蝙蝠庵 1945-2015]
事業主体名
施主
分類
住宅・住空間
受賞企業
田村篤昌デザイン事務所 (京都府)
受賞番号
16G100889
受賞概要
2016年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

施主の叔母が残した築70年の住宅。 叔母が茶道教室を行うために購入した建物(旧棟)に程なく住居としても使えるように新棟を増築した木造平屋建の住宅である。長らく荷物置き場として放置されていた住宅は、施主が譲り受けたとき損傷が激しく居住することが出来ない状態にあった。 取壊して新築を建てるべきか、リノベーションを行うか現場考察での判断が求められた。 新築よりも費用や時間、手間を要することを説明した上で、それでも施主の「のこしたい」という想いがある。施主の想いを尊重し、単に復元するのではなく古い空間と新しい空間が出会う場として「蝙蝠庵」と名付け、新築では体験できない「のこす価値」を提案した。

デザイナー

田村篤昌デザイン事務所 田村篤昌

利用開始
2016年1月
販売地域

国内・海外共通仕様

設置場所

和歌山県和歌山市

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

のこす価値

背景

施主が叔母から譲り受けた住宅は、雨戸が閉じられ荷物が残されていた。 荷物の整理を行い閉ざされた雨戸を開くと、蝙蝠の明窓から射す光が広縁を照らし開放感のある座敷が現れた。贅沢な造りの付書院と床の間、遊び心のある書院造りである。 「のこしたい」の一言は、茶道や華道を嗜む施主が住まうイメージを想像できたからである。 70年の価値を現代の生活にどのように取入れ繋ぐか、新しい居住空間として可能性を追求する。

デザイナーの想い

現場考察の段階で「のこす」ことが難しいと判断するほど損傷が激しい状態であった。 増築箇所も多数あることから構造上の欠陥もあり、解体が困難だと判断し工事を二期に分けて行った。一期目は、耐震補強を行い解体に耐える状態に修復し、二期目は、丁寧に解体を行い改修していく。新築を建てるよりも多くの費用や時間、手間を要したが、古い空間と新しい空間が出会う場として、新築では体験できない価値を見出すことができた。

企画・開発の意義

築70年の住宅は、街の目印になるような家ではなく切妻屋根の普通の家。 それでも、街の記憶として簡単に家の形を変えるべきではない。単に古いから価値があるのではなく、街と繋がり街の一部として風景をかたちづくる「かたち」として価値がある。 変えるのは、家のかたちではなく、暮らしのかたち。古い空間は新しい空間の対比ではなく、古い空間と新しい空間が出会う場としてリノベーションの設計を始めた。

創意工夫

70年の価値を今の生活スタイルにどのように取入れ繋ぐか可能性を追求する。 新棟は、今の生活スタイルに沿って寸法を決めると内法高が高くなり、旧棟との寸法感覚が異なる。畳の生活と椅子の生活では高さの寸法が異なることは当然だが、寸法の違いが連結している空間で発生すると旧棟は単に古い空間として認識され全体の統一感が無くなる。 そのため、五尺七寸(1726mm)伝統的な和風の寸法で内法高を統一した。 内法高を揃えることで古と今を違和感なく繋ぎ、プロポーションを守ることにより新棟のデザインは和室の様式から開放される。 また、開放的な余白のあるテラスを住宅の中心に配した。新棟居室・廊下、旧棟広縁の三方向から出入りすることができ、古い空間と新しい空間が一つであることを暗示する。また、テラスの勾配天井はリビングまで伸ばし、テラス・廊下・ダイニングが一室空間になるように演出している。

仕様

敷地面積:256.13㎡、建築面積:153.48㎡、延床面積:148.33㎡、構造規模:木造平屋建、主要用途:専用住宅

どこで購入できるか、
どこで見られるか

和歌山県和歌山市
田村篤昌デザイン事務所
Intercalary INC.

審査委員の評価

巧妙なデザインによって、もとの家の形がほぼ損なわれることなく、住宅が再生/創出されている。建物の形がもつ街並みへの意味や影響をあらためて考えさせる作品である。

担当審査委員| 手塚 由比   石川 初   長坂 常   日野 雅司   松村 秀一   Gary Chang  

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