受賞ギャラリー
2023
グッドデザイン・ベスト100
インクジェットインク
構造色インクジェット技術
受賞対象の詳細
構造色インクジェット技術は、特定の光波長を反射する微細構造を構築することで発色する新しいインクジェット方式。本物の構造色を印刷できるため、自然界にあるモルフォ蝶やタマムシなどを表現出来るだけでなく、データ出力のため自然界に無い構造色も表現が可能。本技術により、デザインの可能性を拡げる。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 独自の光波長選択技術とインクジェット技術を組み合わせ、本物の構造色インクジェット印刷を実現
- インクジェット印刷のため画像データを構造色で出力することが可能となり、表現の可能性を拡張
- 構造色の特長である光の反射と透過を活用し、ソーラーパネルやモニターと組み合わせた新しい加飾表現が可能
プロデューサー
インクジェット事業本部
ディレクター
富士フイルム株式会社 デザインセンター長 堀切和久
デザイナー
富士フイルム株式会社 デザインセンター 河本匠真
発売
2023/04
価格
オープンプライス (ロール出力物によるため価格は変動する。)
背景
デジタル化とデザインの多様化に伴い少量多品種に対応できるインクジェット印刷の需要は増えているが、従来方式では顔料や染料で表現できる色しか印刷出来なかった。従来印刷出来ない色を印刷出来れば、表現の可能性を拡張できるのではないかと思い、既成概念に囚われないインクについて研究・調査を開始し、構造色に着目した。構造色をインクジェット化出来れば、自然界で構造色を保有するモルフォ蝶や鉱石を本物の構造色で印刷出来るため、図鑑などの学術領域でも貢献できると考えた。また、デジタル印刷でこの世に存在しない構造色の表現が可能になるため、デザイナーやアーティストの表現を拡張できるという信念を元に構造色インクジェット印刷技術をデザイン開発した。
経緯とその成果
研究者とデザイナーが連携し、本技術のデザイン開発を立ち上げた。特定の光波長を反射するインク開発の「合成技術」、印刷を制御する「インクジェット技術」、デザインデータと出力物を結びつける「画像設計技術」を掛け合わせることで実現した。 インクジェット化を実現することでオンデマンドで様々なデータを構造色化出来るようになり、自然界にある昆虫や鉱石を構造色で出力出来るだけでなく、パール調木目など自然界に無い新たな表現も可能になった。また、光の反射と透過を制御出来るためソーラーパネルやモニターにも加飾できる機能性加飾材としての可能性もある。 インクジェットプリンターは幅広のロール印刷が可能なため、小物や広告媒体だけでなく建材としても活用出来、様々な業界のデザインの可能性を広げる技術となった。
仕様
幅1300mmのロール出力物
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
重野 貴朝倉 重徳石川 善樹手槌 りか
評価コメント
色素が発する色ではなく、光の屈折や干渉が発する色(構造色)を再現できるインクジェット技術である。これまでの印刷の常識にとらわれず、自然界の色を印刷で再現できないかという社内デザイナーの夢が取り組みのきっかけとなっており、柔軟な発想を生み出す環境と、それを具現化する技術力が実現したイノベーションに審査委員の評価が集まった。これからの教育やパッケージデザイン、製品加飾、アートの分野の表現を大きく拡張する、新たな印刷技術として大いに期待したい。
