受賞ギャラリー
2021
グッドデザイン賞
商業施設
シーフードマーケット UMIKARA
受賞対象の詳細
高浜町の基幹産業である漁業の活性、漁師の後継者育成を目指す6次産業施設です。「海の百貨店」をコンセプトとし、漁港で水揚げした多品種で新鮮な魚介類を使った惣菜や加工品を製造・販売するのみならず、毎日水揚げした新鮮な魚介類をここで調理し地元客や観光客に提供するレストランや、BBQが出来る屋上テラスを併設しています。
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デザインのポイント
- 周辺の塩土地区の漁具倉庫が立ち並ぶ魅力的な街並みとの調和を考慮した外観デザイン
- 敷地後ろにある漁村集落の外壁色をサンプリングし、青、木の自然色、グレーを基調にしたインテリア
- 青葉山や日本海、漁村集落といった周辺環境への眺望を確保した屋上テラス
プロデューサー
高浜町
ディレクター
ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ
デザイナー
ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ 前田茂樹、田中宏幸、藤本雅広+UMA / design farm 原田祐馬、平川かな江+合同会社GURI 當間一弘+環境デザイン事務所 素地 松下岳生

詳細情報
利用開始
2021/07/06
販売地域
国内
設置場所
福井県大飯郡高浜町塩土第5号1番地
背景
かつて大型の定置網漁の運営で栄えた高浜漁港ですが、海流の変化により捕れる魚の種類や量も変化する不安定さ、養殖技術の進歩により天然物の魚単価の低調から、漁業への若者の就業者が減少していきました。2012 年から町や漁業関係者でつくる水産業振興協議会で協議を重ね、水産物の付加価値化を進めることにより、地域産物の販売量の増加を目標とするため、UMIKARAを漁港再編計画の中に位置づけました。漁港と隣接した立地条件を存分に生かし、毎日水揚げした新鮮な魚介を使った惣菜や加工品も取り扱い、日常の買い物から、広域圏からの観光客のお土産選びまで、幅広いニーズに応え、地元や来訪客にに親しまれる場所づくりが求められました。建築やサービスを含めたすべてをデザインと捉え、地域の方、観光客が、食を通じた体験に満足してもらえる場所づくりを実現しています。
経緯とその成果
漁村集落の色合いやスケール感と調和しつつ、地元の方が新しい場所が出来るわくわく感を感じる外観デザインです。「うみから食堂」や魚売り場は集落の外壁色をサンプリングして、船体の防錆塗料である青、木の自然色、グレーを基調にしたインテリアとしています。店内の動線計画は、売り場に入ると魚介類の生簀があり、隣接する厨房で3枚おろしやお刺身に調理してもらうことができます。購入したお刺身やお寿司は、レジを出た先にある「うみから食堂」のイートインや、地域のシンボル「青葉山」を望める屋上の「UMIKARA TERRACE」で食べることが出来ます。食堂奥の畳の小上がりでは、お子様連れの家族もゆったり過ごせ、「UMIKARA TERRACE」ではBBQも楽しめます。敷地内で昼市など新鮮な魚介販売イベントも行える設備設計等、通過型の商業施設ではなく、高浜町全体の観光資源を活かす将来展開を見込んだ拠点となっています。
仕様
敷地面積:1865.07㎡ /建築面積:1,296.34㎡/延床面積:1590.89㎡ /建蔽率:69.51%/容積率:85.30%/階数:地上2階/最高高さ:9.520m/ 軒高さ:7.99m/主体構造:鉄筋コンクリート造/地域地区:都市計画区域内 準工業地域(高浜漁港)
どこで購入できるか、
どこで見られるか
福井県高浜町塩土第5号1番地
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
原田 真宏芦沢 啓治永山 祐子吉田 愛
評価コメント
町の基幹産業である漁業を取り巻く現状把握と問題点に対する丁寧な分析、「海の百貨店」というブランディングコンセプトに沿って水揚げから加工品に至るまで、漁業におけるメインの商材である魚の価値を多様な角度から再発見し、楽しい食体験へと再編されている点が秀逸である。また、建築のスケール、雁行した配置、色合いなど、漁港と隣接した立地条件を存分に生かし周辺の漁村集落や海という本来の街の風景との調和に配慮された計画は、漁業の起点となる自然資源や周辺住民への敬意が感じられる。過去を継承し新たな価値へと変換を試みるこの計画は、官民一体となった取り組みにより地域に貢献する施設としての好例といえるだろう。
