受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン・ロングライフデザイン賞
公共交通
都電荒川線
受賞対象の詳細
都電荒川線は三ノ輪橋ー早稲田間を走る、東京都交通局が運営する公共交通機関です。沿線住民との連携を密にした地域密着型の交通機関であるとともに、近年では、観光資源として国内外に積極的に魅力を発信し、利用の誘致・地元の活性化に向けて取り組んでいます。
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デザインのポイント
- 専用軌道率が高く定時運行を実現しており、排ガスが出ない環境に優しい公共交通機関であること
- 乗車から降車に至るまで上り下りが少なく、高齢者など誰もが使いやすい構造であること
- 唯一の都電として歴史的価値が高く、重要な観光資源として地域活性化に貢献していること
プロデューサー
東京都交通局
詳細情報
利用開始
1911/07/31
価格
170円 (普通運賃は、現金で大人170円小児90円、IC利用で大人168円小児84円となっている。また、大人400円小児200円で一日乗車券の販売も行っている。)
販売地域
国内
背景
都電の歴史は、明治44年に東京市が東京鉄道株式会社から路面電車事業を引き継いで、東京市電気局として開局した時に遡ります。都電は最盛期の昭和18年度には41系統が走り、一日約193万人ものお客様に利用されていましたが、自動車交通量が増大していく中で軌道敷内への自動車乗入れにより輸送効率が低下し、昭和42年から47年にかけて大部分が廃止されました。しかし、荒川線は、路線の大半が専用軌道で自動車通行への支障が少ないこと、専用軌道のため渋滞に巻き込まれず定時性を確保しやすいこと、荒川線とほぼ並行している明治通りの渋滞が恒常的で路線バスによる代替運行では定時運行が困難であること、沿線住民を中心とする利用客からも存続要望が強かったことなどから残されることになり、それまで別系統として運行されていた27系統(三ノ輪橋 - 赤羽)と32系統(荒川車庫前 - 早稲田)が統合され、「都電荒川線」が誕生しました。
経緯とその成果
昭和47年までに都電のほとんどが廃止された後、新たな案内上の統一路線名として「都電荒川線」の名称が制定されました。その後、誰もがより快適・安全にご乗車いただけるよう、ホームのかさ上げによる車両との段差解消、車内への車椅子スペース設置、手すりの設置、降車押しボタンの増設等を行いました。なお、このときに導入した新7700形車両は、バリアフリーへの対応が先進的と評価され、昭和53年に鉄道友の会ローレル賞を受賞しています。また、車両照明のLED化、省エネルギー車両の導入等にも取り組み、環境に優しい公共交通機関を実現しています。都電荒川線はお客様を運ぶという役割に加えて、地域の重要な観光資源としての役割も担っています。長きにわたって愛されてきた都電荒川線には多くの観光客が訪れ、沿線の桜やバラを楽しんだり、都電もなか等の名物が生まれるなど、地域活性化につながっています。
仕様
都電荒川線は、東京都荒川区三ノ輪橋停留場と新宿区早稲田停留場間の12.2キロメートルを走る路面電車です。区間内の30の停留場をつなぎ、在籍車両は33両有しており、一日に平均約4万6000人のお客様にご利用いただいております。長年、地元の方から愛され、近年は、国内外の観光客も含めて多くの方に親しまれています。
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
齋藤 精一安次富 隆田村 昌紀羽田 美智子藤本 幸三
評価コメント
12キロの沿線上には「早稲田」「面影橋」「学習院」「鬼子母神」「飛鳥山」など、文教地区や江戸情緒溢れる名所があり、長きにわたり地元の人の足であると同時に観光客を運んできました。ドラマの舞台にもなるくらい、都電の走る風景こそが街のデザインとなっています。 路面電車の良さは交通渋滞とは無縁で時間に正確なこと。また停留場が地上にあるため乗り降りが楽で高齢者にも優しいこと。荒川線ではレトロな車体や線路沿いにバラを植えるなど、景観も大切にされています。 様々な人生のドラマに寄り添い、街や人々の成長を見守ってきたであろう都電は、多くの人たちの温かな記憶として残っているのではないでしょうか。日々進化する東京にあって、都電の走る風景が普遍的であってほしいと願うと同時に、コンパクトで簡便な移動ツールは、東京に限らずこれからの時代にこそ必要とされる未来性からも応援したいものです。
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