受賞ギャラリー
2018
グッドデザイン賞
滞在型ヨガリゾート施設群
ヨガリトリートヴィレッジ クシャナ
受賞対象の詳細
石垣島の西端フサキビーチを臨む5600㎡の丘陵地に点在する滞在機能を持つヨガリゾート施設群である。宿泊棟・スタジオ棟・食堂+主催者の住宅棟の3つの施設と、瞑想場・大小の庭園からなり、修行と日常生活を共にするアシュラム(ヨガの修業場)となっている。竹富島・小浜島・黒島・西表島を一望し、また鬱蒼と緑滴る沢に包まれながら瞑想することが出来る。 かつて沖縄に存在した木造建築の伝統を掘り起こし、大工や赤瓦など現地の職人と交流を深める一方でCLTや鉄筋補強トラス梁等最新の木造技術を駆使し、建設様式から現代沖縄の木造建築物を模索するという複雑な与件に対処するため、設計者常駐監理による分離発注方式を採用した。
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プロデューサー
建築工藝舎 一級建築士事務所 長田篤郎、長田麻里子
ディレクター
建築工藝舎 一級建築士事務所 長田篤郎、長田麻里子
デザイナー
建築工藝舎 一級建築士事務所 長田篤郎、長田麻里子+櫻井造景舎 櫻井靖敏

Atsuro Osada, Mariko Osada / Kougei Architects
詳細情報
利用開始
2018/05
販売地域
国内・海外共通仕様
設置場所
沖縄県石垣市新川1585-206
背景
石垣島は八重山諸島の交易の要衝として人・モノ・技術を外部から取り込むことに抵抗のない土地柄である。本建築は人・モノ・技術の交易場となり、設計者は常駐・監督して交通整理した。 施設の核となる棟(食堂+主催者住居)は、階下に3台分の車庫を擁する2階建て木造建築物である。 利便性から車庫は12m大スパンの無柱空間となり(琉球古民家に隣接する車庫が景観を壊す例が多い)風速70m/秒超の台風対策として、大スパンはD22鉄筋200本とエポキシ樹脂によるトラス梁とした。 琉球赤瓦漆喰押えの荷重を支え、台風と潮風に抵抗する屋根は厚さ36mmのCLT(杉無垢材の直行集成板)である。台風対策(堅牢性と飛来物抑止)と、眺望(南に八重山諸島、西にフサキビーチを望む)を両立するのは約100枚の厚さ60㎜の杉構造ルーバーである。1枚ごとに形状が異なるため、100枚の施工図を描き、加工・設置を設計者が指揮した。
経緯とその成果
請負に依らず、設計者が現地滞在し、職人を直接雇い、施工図を描き、監督することでのみ成立する建築。
デザイナーの想い
①沖縄における木造建築再興の一助となる。 伝統的な沖縄の建築物は木造でしたが、1940年代以降木造は減り続け、現在では95%が非木造です。施工者や職人も減少し、需要があっても建たない現状です。 最先端の木造技術を生かした設計を心掛け、本州の職人達の沖縄への窓口となることで木造建築物の需要に質の高い建築物で応え、将来的には沖縄県出身者の職人を育てられれば本望です。 ②職業の多様化、民泊の解禁から、建物は保有からシェアする時代へ移行しています。多くの人が「一度は暮らしてみたい」と思える建物こそが経済的に自立することが出来、今後も建て続けられると思います。 建てることで、所有者と滞在者とが場所の喜びを分かち合い、経済的にも成立する建築・建設を心掛けます。 ③風光明媚な沖縄の離島での建設は増え続けます。土地に根差した建築を、現地の職人たちと造ることで、現代的な「ローカル建築」を造りたいと思います。
仕様
木造2階建て 敷地面積:5569.66㎡ , 延床面積:273.86㎡, 建築面積:217.16㎡
どこで購入できるか、
どこで見られるか
沖縄県石垣市
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
山梨 知彦浅子 佳英石川 初色部 義昭永山 祐子Gary Chang
評価コメント
住宅の95%が非木造、特にRCの住宅の多い沖縄に伝統建築である琉球赤瓦の木造建築を増やしていきたいという志のもと、CLT工法を取り入れコスト、実現できる空間の自由さなども確保した魅力的な提案となっている。CLTのパネル梁を用いて大スパンを飛ばし、駐車場を確保したりと従来の木造では実現できなかった大空間を実現させている。また設計者自らの常駐監理による分離発注方式を採用することで細部にわたるまで行き届いた設計となっている点も評価された。
