GOOD DESIGN AWARD

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CC

2018

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
鉄道車両 [ひえい]
事業主体名
叡山電鉄株式会社
分類
鉄道
受賞企業
叡山電鉄株式会社 (京都府)
受賞番号
18G070637
受賞概要
2018年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

叡山電車(叡電)は比叡山の麓に向かう叡山本線と、途中分岐して鞍馬山へ向かう鞍馬線の2路線からなる。紅葉の季節は非常に賑わうが、一方で閑散期の旅客誘致が課題であった。「ひえい」はシーズンに左右されない新たな洛北エリアの観光創造を目指して、既存車両(1両編成)を改造した観光列車である。叡電は終着点に霊峰、比叡山と鞍馬山を持つ。この「二つの極(パワー)」の神秘的なイメージを、二極の焦点を有する楕円形に見立て、車両の内外装にシンボリックに展開した。現代の街から歴史ある御山への時空を越えた旅を演出するだけではなく、通勤・通学列車としての機能の向上も図り、非日常の情緒感と日常の機能性との両立を図っている。

プロデューサー

叡山電鉄株式会社

ディレクター

株式会社GKデザイン総研広島

デザイナー

株式会社GKデザイン総研広島+川崎重工業株式会社 車両カンパニー

詳細情報

https://eizandensha.co.jp/hiei/

利用開始
2018年3月21日
価格

260円 (出町柳~八瀬比叡山口間乗車の場合の運賃(普通運賃のみで乗車可能))

販売地域

日本国内向け

設置場所

京都府京都市

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

比叡・鞍馬の情緒感「神秘的な雰囲気+時空を越えたダイナミズム」の創出。その地にあるべき列車の姿。

背景

弊社では鞍馬線に展望列車「きらら」を導入し、特に紅葉の季節には「もみじのトンネル」での徐行運転、ライトアップなどにより多くのお客さまに好評をいただいている。その一方で、秋シーズン以外との繁閑差が大きく中間期、閑散期対策が経営上の大きな課題となっており、また叡山本線の終点である八瀬周辺は、かつての賑わいが失われて久しく、比叡山エリアを含めた活性化が不可欠であった。こうした中、8両ある1両編成の車両(700系)が製造から約30年を迎え、延命改修工事を順次行う必要性が出てきたこともあり、最初となる732号車については、単なる延命にとどまらない大規模な改造を施すこととした。弊社の属する京阪グループでは「観光創造」に取り組んでおり、京都から比叡山、びわ湖を結ぶ観光ルート強化の起爆剤となる車両を目指し、開発したものである。

デザイナーの想い

観光列車は旅の情緒を増幅して楽しませる演出装置であると同時に、その路線の魅力を見える形として発信する広告塔(沿線情緒のシンボル)としての役割を担う。「ひえい」のデザインでは、比叡山と鞍馬山が形づくる2極感と、個々の山が発する情緒感、「神秘的な雰囲気」や「時空を越えたダイナミズム」をメッセージとして込めた。突出したフェイスインパクトに目を奪われがちだが、実車はあたかもそれが当たり前であるかのように、洛北の街並みや風景に自然に馴染む佇まい感を見せる。「神秘さ」の表現はともするとキッチュなプロダクトを生み出しかねないが、デザイナー、事業者、改造メーカーがコンセプトを信じ貫き、一体となって描き求める質の具現化を果たした。「ひえい」のデザインを目にした人が1人でも多く洛北や叡電のことを知り、この電車に乗って当地を訪れ、御山の神秘さと大地の発する気のパワーを実体感してくれればと思う。

仕様

形式:デオ730/車両番号:732/自重:37.0t/最大寸法:長さ15,700mm、幅2,690mm、高さ4,158mm/旅客定員:85人/最高運転速度:60km/h/運行形態:出町柳~八瀬比叡山口間を平日19往復(火曜日を除く)、土休日12往復運転/製造:1988年/改造:2018年

どこで購入できるか、
どこで見られるか

叡山電車叡山本線 出町柳駅~八瀬比叡山口駅
叡山電車「ひえい」特設サイト
京阪ホールディングス「こころまち つくろう 活動レポート vol.34」

審査委員の評価

比叡山・鞍馬山といった荘厳な霊峰への観光アクセスと、市内近隣の通勤通学の足も両立するこの車両は、30年前製造車両のリニューアルであることを感じさせないデザインとなっている。大胆な楕円系のフロントデザインは、京都市街地を徐々に抜け、山々の緑陰に入り込んでゆく過程での豊かな「緊張感」を車内にまで持ち込んでいる。内装も楕円のデザインが中を貫くだけでなく、ヘッドレストの位置と楕円の窓形状を連動させて、適切な座席誘導と外の風景の切り取りを両立している点、細やかな色彩調整と広告の排除による車両の内外装デザインと駅舎や周辺景観とも混ざりあい、環境と呼応しながら新しい風景を創出している。

担当審査委員| 菅原 義治   佐藤 弘喜   野原 卓   森口 将之   Hrridaysh Deshpande  

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