受賞ギャラリー
2016
グッドデザイン賞
証券会社の支店
内藤証券金剛支店
受賞対象の詳細
証券会社の支店である.セキュリティなどの理由から,閉鎖的にならざるを得ない金融機関としての性格を逆手にとり,側窓の設置を極限に抑え,屋根から積極的に昼光を採り入れている.近隣の住宅地に見られる切妻屋根が反復する屋根形状は,安定した天空光を採り入れるための形であるとともに,郊外住宅地の駅前景観の中に親しみある立面をつくっている.内部空間では,天窓の下に設けた膜天井が光を拡散し,自然光特有の変動を受け入れながらも執務に適した光を提供している.休憩スペースにもなる会議室は,側窓を最大限確保することで,社員がリフレッシュできる開放的な空間となっている.柔らかい自然光に満たされた明るい金融機関である.
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プロデューサー
内藤証券株式会社 常務執行役員 皆本節雄
ディレクター
株式会社EMT 代表取締役 内藤誠人
デザイナー
EMT、内藤誠人+101design一級建築士事務所+金箱構造設計事務所

内藤誠人
詳細情報
利用開始
2014/05/22
設置場所
大阪府大阪狭山市半田1丁目650-3
背景
「貯蓄から投資へ」という金融政策の下,預貯金や年金に頼らず個人の責任において資産形成を行う必要性は年々高まっている.ネット取引が増加する今日においても,投資未経験者にとって専門家に直接相談できる店舗は安心できる存在である.しかし,業務上の配慮から閉鎖的な印象を与える証券会社は,多くの方々にとって縁遠い存在である.そこで,投資に関心の低かった方々が「気軽に入ってみたくなる店舗」を計画することにした.
経緯とその成果
事業主体が目指す地域との関係性を建物によって表現することで街並みに参加し,明るく入りやすい店舗とする
デザイナーの想い
証券会社としての建築の型を模索しながら,画一的になりやすい郊外の駅前景観の中で,奇抜になることなく新たな価値を付加するような建築を提案することで,地域に親しまれる店舗を目指した.金融機関として,閉鎖的にならざるを得ない性格を逆手にとり,積極的に昼光を採り入れ,ここでしか体験できないような,自然光溢れる明るい空間とすることで,来店することの価値,ここで働くことの価値を空間によって提供したいと思った.
企画・開発の意義
「投資」とは未来のために今行う行為である.地域に根ざす証券会社として「永く地域社会に関わり,そこで働く社員の健康に貢献したい」という想いを建築として定着させ,「投資」に対する価値観を広く社会に向けて発信したいと思った.また,閉鎖的な金融機関のイメージを払拭するような,明るく入りやすい建物とし,ここでしか体験できないような空間を実現することで,来店する価値を空間によって提供したいと思った.
創意工夫
計画当初から昼光を積極的に室内に採り入れることを考え,方位との関係から平面のプロポーションや向き,配置,屋根形状を決定した.切妻屋根のヴォリュームを雁行配置させたことで,雨仕舞いの弱点になる谷の長さが短くなるだけでなく,建物のスケール感が小さくなり,内部空間も機能的に分節することができた.また,昼光による高輝度部を室内に生じさせないよう,シミュレーションによる検証を行いながら,膜天井を切妻屋根の下に逆さに張ることで,低照度でも明るく感じられるようにしている.将来のレイアウト変更に対しては,傾斜天井の下端の高さとピッチを揃えることで間仕切り壁を設置できるラインを設定している.さらに,照明器具を膜天井の裏に隠すことで,天井に照明器具による影を生じさせないようにし,すっきりとした印象を与えている.昼間と同様に膜天井が面光源になることで昼夜の光の分布の連続性にも配慮した.
仕様
敷地面積863.77㎡ 建築面積290.95㎡ 鉄骨造平屋建て
どこで購入できるか、
どこで見られるか
内藤証券金剛支店 大阪府大阪狭山市半田1丁目650-3
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
山梨 知彦千葉 学中村 拓志星野 裕司Lee Siang Tai
評価コメント
地方都市における金融機関の支店は、ともすると閉鎖的で、いわゆるロードサイド型の看板建築になってしまいがちだが、ここでは周辺の街並に見られる切妻屋根のシルエットを反復させることで、親しみやすく心地よいスケール感を醸し出し、ロードサイドの風景に新しい価値を付与している。内部空間における光天井も美しく、執務空間としての機能性と職員にとっての快適性を見事に両立させている。
