GOOD DESIGN AWARD

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CC

2015

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

受賞対象名
診療所 [空の森クリニック]
事業主体名
医療法人 杏月会 空の森クリニック
分類
業務用の建築・施設
受賞企業
株式会社手塚建築研究所 (東京都)
受賞番号
15G101030
受賞概要
2015年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

1.2ヘクタールの森の内部に配置された不妊治療専門のクリニックである。敷地は沖縄本島南部の森が戦争によって焼き払われた場所に位置しており、そのかつての森を復活させ、その中に沖縄の木造文化を再生させる試みをした。不妊治療のための入院設備を完備し、県内外から訪れる人に対応することができる。施設中央には、石積みの塊の中に高度な医療が詰め込まれ、それを取り囲むように木造の諸室を分散配置されている。それらの諸室は、軒の深い外廊下で緩やかに繋がれており、パビリオンが連続する空間の中で、沖縄の自然と溶け合った空間をつくりあげている。

プロデューサー

佐藤卓デザイン事務所 佐藤卓+手塚建築研究所 手塚貴晴、手塚由比

ディレクター

佐藤卓デザイン事務所 佐藤卓+手塚建築研究所 手塚貴晴、手塚由比

デザイナー

手塚建築研究所 手塚貴晴、手塚由比

手塚貴晴+手塚由比

詳細情報

http://soranomori.info/

利用開始
2014年11月
設置場所

沖縄県島尻郡八重瀬町 字屋宜原229番地の1

仕様

敷地面積:12762.77㎡/ 建築面積:3487.60㎡/延床面積:2996.60㎡/階数:1F/構造:木造+鉄筋コンクリート造

受賞対象の詳細

背景

不妊で悩む方々に、心を空(から)っぽにして、新たないのちを迎えてもらう森「空の森」をつくりたいという総合プロデューサーの佐藤卓氏の思いを受け、我々は建築として心安らげる森をどのようにつくるかを構想し、それを具現化するために協働することになったのがきっかけである。

デザインコンセプト

沖縄の森と木造文化を復活させ、本来の沖縄の暮らしの中で、命を迎えるために安らげる環境をつくりあげる。

企画・開発の意義

空の森は、今後我々が生きる未来へと向けたメッセージである。自然と共に暮らす知恵を沖縄の伝統建築から学びながらも現代の最先端の技術を惜しむことなく取り入れた「懐かしい未来」である。今回の試みが敷地境界を越え沖縄の全体へ、或いは世界全体へのメッセージとして大きく広がっていくことを願っている。

創意工夫

空の森には深い軒と自然を堪能する回廊が巡らされている。日陰の心地よい風を堪能して頂くと共に、緑の香りを含んだ雨の匂いも嗅いで頂く。沖縄の豊かな琉球石灰岩の床に導かれた先にあるパビリオンは処置後に休息するくつろぎの場である。庭に生えている植物は殆どが琉球由来で、互いに共生し合う本来あるべき植生が、安らぎの香りを届ける。外壁や内装には厳選された木材が使われ、手で触れるもの全てが優しい自然の感触に溢れている。建物の中心には琉球石灰岩に包まれた首里城の基壇のような巨大な建物がある。最先端の手術室、採卵室、人工授精室等を含んだ高性能のクリーンルームで、部屋の気圧はコントロールされ、菌が入りにくい特殊環境が整備されている。その一方で、処置を受ける手術室や採卵室は角のない曲線を使った壁面に包まれ、柔らかい設えとなっている。シーンコントロール装置に制御された揺らぎを含んだ照明が、安らぎの空間を演出する。

デザイナーの想い

沖縄にはかつて美しく深い森があり、その森の豊かな木で造作された美しく自然と調和した建築があったが、その両方のほとんどが戦乱で失われてしまった。空の森は、沖縄の森と素晴らしい木造文化を復活し悠久の歴史に裏打ちされた自然と共に生きる環境を整えるという再興の願いが込められている。

審査委員の評価

今まで、これほどまでにくつろぎを感じさせるクリニックや入院施設を見たことがあっただろうか。不妊治療にくつろぎが必須であるならば、間違いなくこの施設は大きな貢献を果たすに違いない。沖縄の気候風土に即した、連続する深い軒や石積も、表面的な装飾としてではなく、ここではプログラムと密着した、施設に不可欠なデザイン要素として特徴ある分散配置の平面計画の中に昇華されている点も特筆すべき事項と言える。

担当審査委員| 千葉 学   五十嵐 太郎   石川 初   日野 雅司   山梨 知彦  

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