GOOD DESIGN AWARD

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CC

2015

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
交流の場 [ガマの群生地と石柱庵]
事業主体名
大津島地区コミュニティ推進協議会
分類
公共用の建築・施設
受賞企業
大津島地区コミュニティ推進協議会 (山口県)
プログラムOZ (山口県)
有限会社TIME (山口県)
受賞番号
15G101010
受賞概要
2015年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

山口県周南市の沖合に浮かぶ大津島は、人口約300人、高齢化率75%の限界集落です。その一方で、島には豊かな日本の原風景が残っています。ガマの群生地と石柱庵は、この風景に文化的な味付けを施すことで生まれた交流の場です。群生地の畔にある農業用倉庫の廃屋を改修して茶室に見立て、風景と一体となって交流できる場を構築しました。原風景を過去への郷愁として単に保存するのではなく、活きている場として体感できるように、茶室というコミュニケーション空間を挿入することで、島の内外を越えた交流の契機を与えています。交流を通じてこの場の体験に現代性が生まれ、島の持つ豊かさが新たな価値となることを目指しています。

プロデューサー

内田鋼一

ディレクター

内田鋼一

デザイナー

石丸和広

利用開始
2015年6月
販売地域

国内・海外共通仕様

設置場所

山口県周南市大津島近江地区

受賞対象の詳細

デザインコンセプト

地域に潜む個性を文化的な視点で見直し、交流の契機を与えることで、現代的な価値を生み出すこと

背景

素朴な風情とともに太平洋戦争の遺構が残る大津島ですが、戦後は一貫して人口減少が続いています。これまで様々な地域振興策が行われましたが、衰退に歯止めがかかりません。一方で、プログラムOZは、10年前に夕日の美しい場所に一日一組の宿をつくり、都会からの宿泊者が継続的に訪れています。それをきっかけに、新たな視点の活性化策を模索する行政の仲立ちで、地域と連携したプロジェクトを進めることになりました。

デザイナーの想い

この世に価値のないものはない。その想いからこの場をデザインしました。景勝地や地域の文化財でもない名もなき場でも、見方を変えることで、全く新しい価値を得ることができる。それはあたかも千利休が花入れ「園城寺」を創造したような行為です。このような価値の転換は、混迷する現代社会へ対する新たな豊かさの提案であり、それによって地域に希望を与える可能性を秘めていると考えます。

企画・開発の意義

文化的な視点で使い方を見直すことによる価値創造は、旧来の地域開発や地域の再生策とは異なります。地域に残る風景やくらしそのものの個性を丹念に吟味し、眺めるだけの対象だった風景に交流の契機を与えることで、その場が活性化するような仕掛けを施しました。この場でしか味わうことのできない体験が人々を豊かにし、地域の魅力向上に寄与するものと考えます。

創意工夫

人の背丈を超えるほどのガマが広がる湿地には直接手を加えず、改修した倉庫の屋根だけがその上に浮かび上がるように関係付け、それぞれのもつ本質を損なうことなく、一体感のある風景になるよう工夫しました。廃屋の柱は御影石で、大阪城の石垣にも使われたこの島の特産です。柱は、朽ち果てて屋根が抜け落ちた倉庫の中に遺跡のように立っていたものです。この柱に命を吹き込み、島の個性をあぶり出す存在と位置づけました。改修で加えた素材には島にあるもの、既存の倉庫と同じ時間を刻んだものを可能な限り使っています。一方で、露地や立礼卓には現代的な表現を加え、単なる復元とは違う、時間的な奥行の感じられる空間としました。場を活性化するための触媒としてしつらえた「茶室」は、茶会の空間にとどまらず、広い意味でのコミュニケーション空間とし、アートギャラリーや文化的なイベントにも使えるような柔軟性を持たせています。

仕様

ガマの群生地 4.5ha、ガマ、ヨシの湿地 / 石柱庵 石造(柱)+木造(小屋組)、平屋建て、床面積36.4㎡、屋根亜鉛鉄板波板、外壁モルタルコテ仕上

どこで購入できるか、
どこで見られるか

山口県周南市大津島近江地区

審査委員の評価

一つ一つの部材、素材が丁寧に扱われている優れたデザインが評価されました。小さなプロジェクトながら、隣接する広大なガマの群生地や周囲の環境と対峙する施設になっています。

担当審査委員| 千葉 学   五十嵐 太郎   石川 初   日野 雅司   山梨 知彦  

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