GOOD DESIGN AWARD

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CC

2015

GOOD DESIGN|日本商工会議所会頭賞

受賞対象名
コミュニティーセンター [ひみ漁業交流館 魚々座]
事業主体名
氷見市
分類
公共用の建築・施設
受賞企業
株式会社手塚建築研究所 (東京都)
一級建築士事務所すずき (東京都)
受賞番号
15G101004
受賞概要
2015年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

地域の物産を販売していたマーケットが移転した後の建物の再利用計画である。お世辞にも洗練されているとは言えないが、その時代のニーズに合わせて血税を投入して作った建物である。捨てては勿体無い。必要のない内装は全て撤去し、内外を黒く塗るだけで大切にそのまま使用することとした。そこに、氷見の生活や漁業に関するものを展示する。展示物はもちろん、家具に至るまで一切購入しないで済ませることを目論んでいる。品は東京都市大学の学生達がリヤカーをひいて一軒一軒集めて回る。使えるものは全て使わせて頂く。一切無駄遣いはしない。魚々座は日本初のもらいものだけで成り立つ公共プロジェクトである。

プロデューサー

手塚建築研究所 手塚貴晴、手塚由比

ディレクター

手塚建築研究所 手塚貴晴、手塚由比

デザイナー

一級建築士事務所 すずき 鈴木宏亮+東京都市大学手塚貴晴研究室

鈴木宏亮(左)+東京都市大学手塚貴晴研究室(右)

詳細情報

http://himi-totoza.com/

利用開始
2015年4月
設置場所

富山県氷見市

仕様

地域の物産を販売していたマーケットが移転した後の廃屋、 約1800平米のリノベーション。

受賞対象の詳細

背景

氷見市は越中式定置網発祥の地である。その定置網で獲れる「氷見の寒ブリ」が有名である。 古くから漁業によって栄えてきた漁師町であり、「魚の街としての文化の継承や魚食の普及を目的とした交流施設を作りたい。」と言う市からの要望により、この計画はスタートした。

デザインコンセプト

氷見100%。日本初のもらい物プロジェクト。「魚のまち氷見」の姿を現在の視点から見回す施設である。

企画・開発の意義

提案をしたのは手で触れる体験型施設である。地元で使われてきた物を回収し場を作る。家具も実際に使われてきたものを集めてくる。汚れや痛みは文化や歴史の跡として使用する。不揃いは文化の多様性と理解する。食器も可能な限り地元の方々から供出して頂いた物をしようする。多様な食器は地元の方々の想い入れがこもっている。この施設が観光客のためばかりでなく、地元の方々の心の拠り所になることも願っている。

創意工夫

展示方法は蚤の市方式である。提供して頂いた各家毎に分類する。それをゆるく縄で囲い込む。存在としては家の倉庫に近い。倉庫にある間は眠っているガラクタに過ぎないが、魚々座の床に陳列されると氷見文化の語り部として働き始める。同様に各家庭の奥座敷に大事に仕舞ってある年長の方々にも出てきていただきたい。翁の力は世に出てこそ発揮されるのである。大切なのは、その道具がどう生きてきたかである。展示物である道具には生きていてほしい。必要な時は取りにきても良い。使われ続けてこそ品は生き続けるのだ。時代を超えた品々は存外に役に立つのだ。大量生産された現代の品よりも遥かに優秀である。漁具は実際に使ってみせる。魚食文化紹介のコーナーで使う食器もできればリサイクルしたい。隣の客と茶碗の大きさが違っていて不公平なのも一興である。椀が小さいと不平を言ってくれればチャンスである。お代わりは魚食文化のさらなる振興につながる。

デザイナーの想い

本プロジェクトは、建築の将来を担う若人たちに建築の本質を伝えるための企てでもある。 例え予算が厳しくとも、制限が厳しくとも、その建築を取り巻く事象を注意深く再構成することさえ許されれば、建築家には優れた結末を招くことが可能である。建築の本質は建造物そのものの物理的存在ではなく、建築とそれを取り巻く状況の関連性の中にこそ存在する。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

富山県氷見市
ひみ漁業交流館 魚々座
氷見市役所

審査委員の評価

新築ではなく、もったいないの精神による、現代的なリノベーションを通じた公共施設の試みである。既存の建物には最小限のレベルで介入しているが、全体を黒く塗ることで、効果的にその雰囲気を変えている。また特筆すべきは、各家庭から不要になったモノを譲り受け、そのまま地域の生活を展示する博物館になっていることだ。氷見の住民が慣れ親しんだ日用品や物産市場が、新しい意味を与えられ、その価値を再発見することで、地域性のめざめにつながる建築である。

担当審査委員| 千葉 学   五十嵐 太郎   石川 初   日野 雅司   山梨 知彦  

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