GOOD DESIGN AWARD

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CC

2015

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
牛舎:屋根を鉄骨梁にもたせかけ一面解放 [安比高原牧場牛舎]
事業主体名
有限会社安比高原牧場
分類
業務用の建築・施設
受賞企業
株式会社JWA建築・都市設計 (東京都)
受賞番号
15G100988
受賞概要
2015年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

リゾート地にて高層ホテル眼下の敷地に建つ牛舎です。休憩所に最後に達することになる、高原の放牧地まわりの散策路と一体化して建つことで、単に27頭の乳牛のための生産施設として機能を満たす以上に、ランドマークとなって風景の美しさの一部に化すよう求められています。あくまで生産主体の施設として観光客を中に入れることはありません。本邦3番目の導入となるスウェーデン製全自動搾乳ロボット設置が売りです。外から「見つめられる」あるいは「内部でなされる作業を垣間見る」、言ってみれば動物園の園舎を、リゾート地にてよりコンテクスチュアルに見せるような建築が求められました。興味深いテーマと考え、デザインを進めました。

プロデューサー

渡辺 純

ディレクター

渡辺 純

デザイナー

渡辺 純

香港中文大学特任教授 渡辺 純

詳細情報

http://www.jwa-tec.com/project1.html

利用開始
2001年4月
販売地域

日本国内向け

設置場所

岩手県八幡平市安比高原

仕様

牛舎(乳牛27頭用施設)、木造一部鉄骨造、地上1階建、外壁:耐水ベニヤ特類下見板貼り防腐塗料塗り、屋根:カラーGL鋼板立ハゼ葺き、建築面積870.88㎡、延床面積759.73㎡

受賞対象の詳細

背景

本州北部の美しい高原の地に位置し、スキー場開発がなされる前から放牧地として使われ、間近にスキー場の最新式施設が整備された後も、しばらくは古ぼけた乳牛舎が点在していた。しかしスキー人気が廃れたこともあり、スキー以外の観光の目玉と化すことが次第に期待され始めた。最終的には酪農テーマパーク的に一帯を整備することが本決まりとなり、休憩所を中心に、併せて生産施設の芯となるべき乳牛舎も新築することとなった。

デザインコンセプト

前面の放牧地の地霊が立ち現われ、形に昇華したかのようなコンテクスチュアルなランドマークとしての牛舎

企画・開発の意義

人々の回遊が前庭としての放牧地から始まる。牛舎はコンテクスチュアルなランドマークとして風景の焦点とされ、それらをゆったりと巡るうちに最終的には酪農品購入期待の休憩所に至る。放牧地を含むこれら3要素をいかに納得いくよう構成するか、中でも牛舎が①外観においてどのように視認され、②建物脇の通路から内部がどのように垣間見られるか、を統合し優れたデザインとして供することで人々の観光の楽しみを倍加させること。

創意工夫

ランドマークとしての牛舎をどこに配するかからデザインが始まった。放牧地をまっすぐに突っ切るアプローチの出だしにおいて、奥の院的に見え隠れするのが良かろうとされた。放牧地側の出だしにおいて、形態があたかも自ずと立ち現われたかのような在り方を示すと共にそれが背景の山並みに自然と溶け込み尽したような建築を求めた。屋根の始まりを出来るだけ地表に近付け、ゆるやかな斜面を拾い上げようとしている。屋根における主構造とした一連の木製トラスは丁度反対側に勢いを付けて至る時、トラスに対して直交方向に渡された門型フレームの鉄骨梁に対して、寄り掛かるようにして終わる。この要としての鉄骨門型フレーム上部には換気スリットを横一文字に走らせ、一方下部には、主要な窓を設けている。足元にはステップを一段設け、そこからは近寄った観光客たちが建物内でなされる搾乳ロボット中心の生産の様子を垣間見ることが出来るようになっている。

デザイナーの想い

建築内部は乳牛の生産量を少しでも上げようとの機能面の充足を目指した。搾乳待ちのストレスがなくなったことにも助けられ、乳生産量2割増しとの嬉しい報告を得た。外観デザインによって一帯における人々の散策の楽しみを増したいと考え、鉄骨門型フレームを主要素とし、それに寄り掛からせるように一連の木製トラスをかけ渡す手法を採用した。結果的にコンテクスチュアルなランドマークとしての牛舎が風景内に立ち現れたようだ。

審査委員の評価

「安比高原牧場牛舎」は牧場の風景に溶け込んだ、緩やかな折れ屋根が印象的な建築です。本来、搾乳のための生産施設としての機能をもつ牛舎を、観光のための施設として穏やかに開いていくという条件の下、非常に慎重かつ丁寧にデザインされていることが分かります。木造と鉄骨のハイブリッドによる非対称な屋根は、散策する観光客が牛舎を「のぞき見」するための開口部を作っており、抑制された開き方が実現しています。今後も、観光と生産性を両立させる牧場整備を期待します。

担当審査委員| 千葉 学   五十嵐 太郎   石川 初   日野 雅司   山梨 知彦  

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