GOOD DESIGN AWARD

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CC

2014

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
りんご酒醸造所 [弘前シードル工房kimori]
事業主体名
株式会社百姓堂本舗
分類
産業向けの活動・取り組み
受賞企業
株式会社百姓堂本舗 (青森県)
蟻塚学建築設計事務所 (青森県)
合同会社テコエルエルシー (青森県)
受賞番号
14G141147
受賞概要
2014年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

弘前のりんご農家に生まれ、東京で映画監督をめざした青年が、雹被害で廃棄される故郷の大量のりんごの山を目の当たりにし、傷ついたりんごを酒に醸造し活用したいと一念発起して起業。りんご園で乾杯を合い言葉に農家の仲間たちなどと立ち上げた6年越しのプロジェクト。自分たちで育てたりんごを自分で醸しシードルとする。個人の思いは行政を動かし、醸造免許という高い壁をクリア、りんご園地の真ん中にある弘前市りんご公園内に2014年5月3日オープン、シードルの販売を開始した。収穫のあと、ひとつだけりんごを木に残し、感謝をもって神に捧げるkimoriを醸造所に名付けた。

プロデューサー

高橋哲史

ディレクター

立木祥一郎

デザイナー

建築 蟻塚学 グラフィック 對馬眞

詳細情報

http://kimori-cidre.com

利用開始
2014年5月3日
販売地域

日本国内向け

設置場所

青森県弘前市大字清水富田字寺沢52-3

仕様

醸造所 建築面積142.86m2 延べ床面積133.35m2 木造平屋建て 高さ9.265m 醸造タンク2000L シードル スイート、ドライ種 瓶375ml 750ml

受賞対象の詳細

背景

青森県弘前市。岩木山山麓一帯に広がる広大なりんご園。幾多の困難を乗り越え、青森県はりんごの日本一の生産地となった。しかし、異常気象や自然災害、海外からの農産物の流入、消費の多様化、そして農業の担い手の高齢化。りんご園は、次々と廃園し、りんご農業は危機に瀕している。そうした中で、若手農業家がたちあがり、りんご農家の経営安定と津軽独特のりんご園の風景を守ろうと立ち上げた事業である。

デザインコンセプト

りんご園の真ん中の醸造所 Kimori。天から注ぐ雨雪がりんごを育てシードルの泡となり天へと巡る。

企画・開発の意義

岩木山に降る雪雨が、麓のりんご園を潤し、苗木を育て、りんごへと結実する。それを醸し、シードルが生まれる。眼前に広がる風景の中に、酒が育まれるすべての自然の要素が包み込まれ、醸造所はその一部。りんご農家が自分で育てたりんごでシードルを醸して、りんご園地で乾杯して楽しむ。地域に生きることの喜び、豊かさ、味わいを、当たり前に取り戻し、自然の恵みをもたらす神に感謝する心であるkimoriに込めて届けたい。

創意工夫

りんごの幹を大胆に繊細に切る青森発の革新的な剪定技術によって収穫効率を高め、農家は危機を乗り越えて来た。この独特の樹形による樹海風景は、青森の農家の知恵の結晶である。一農家にとって酒造免許という大難関を突破した醸造所建築は、岩木山の形を映し、低木樹海から、三角屋根が突出し、りんご農家先人の知恵に軒を借りながら、世界にここだけにしかない、りんご園地の知恵を象徴する。また、醸造の特長である自然発酵のシードルの泡が天へと昇華するイメージも表現。マークは地図の果樹園記号をりんごの果実とシードルの泡に見立て、さらに、創業の起動マークもだぶらせた。ボトルラベルは農家が醸す酒として、クラシカルで素朴なイメージの中に、kimoriを冠するりんごの木の下、農家定番の脚立と、テーブルにはシードルとグラスが二つ、あたかも別役実の芝居がはじまる直前の舞台のような、シンボリックな風景を描いた。

デザイナーの想い

青森ではりんご園の風景はごく当たり前のもの。しかし、それは当たり前でなく、幾多のりんごの作り手の革新的な知恵と努力の積み重ねが作り出した。kimoriは、その歴史を踏まえて、新しい世代の農家が、醸造免許や竜巻による自宅被害などを乗り越え園地でシードルを手作りすることを実現した。今は唯一無二のりんご園の醸造所の風景がきっかけになり、やがて、津軽の当たり前の風景になることを願っている。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

弘前シードル工房kimori:試飲、工房見学など りんごの家(弘前市りんご公園内):販売
弘前シードル工房kimori

審査委員の評価

自然災害で傷ついてしまったりんご。流通フローにのらないからと諦めて廃棄するのではなく、「もったいない」という当たり前の感情を原点に、醸造所をつくり6年かけてシードルという発泡酒に生まれ変わらせた。農業のサステナビリティの改善ともいえる真摯な取り組みを高く評価したい。また醸造所の空間も心地よくデザインされており、訪れた人に一貫した「美味しい体験」を生み出している点も素晴らしい。

担当審査委員| 南雲 勝志   石川 初   林 千晶   横川 正紀  

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