GOOD DESIGN AWARD

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2014

GOOD DESIGN|グッドデザイン・ベスト100

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受賞対象名
駅舎 [上州富岡駅]
事業主体名
武井誠+鍋島千恵 / TNA
分類
公共用の空間・建築・施設
受賞企業
武井誠 + 鍋島千恵 / TNA (東京都)
受賞番号
14G110971
受賞概要
2014年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

上州富岡駅は世界遺産に登録された富岡製糸場の玄関口となる地方私鉄の駅である。軽やかに浮いた大屋根は富岡市の観光拠点としての門となり、市民の交流スペースとして開放的な半外部空間を生み出している。大屋根の下には街の身の丈にあった大きさの待合室やコンコース、情報コーナー等が点在し、縁側のような快適な居場所になる。建物は「鉄骨煉瓦積造」という新しい構造を考案し、製糸場の最先端追求の気概を継承した。凸凹しながら積まれた煉瓦壁はベンチや掲示板・間仕切りなどの駅舎に必要な機能を満たしつつ、同色の煉瓦は敷地を越え歩道や広場、駐車場へと連続してゆき、世界遺産の街へのおもてなしに相応しい駅前空間を創出している。

デザイナー

武井誠+鍋島千恵/TNA

利用開始
2014年3月17日
販売地域

日本国内向け

設置場所

群馬県富岡市富岡1599-3

仕様

敷地面積:1311.81 m2 建築面積:757.42 m2 構造:鉄骨レンガ積造 最高高さ:6850mm 全長:90m 階高(改札・待合室):2970mm

受賞対象の詳細

背景

上州富岡駅は駅舎の老朽化に伴う建て替えの必要性と、世界遺産登録を目指す富岡製糸場の最寄り駅として、駅舎の建替が行われる運びとなった。2011年に、東日本大震災後、最初の公共事業の一般公募型コンペ「上州富岡駅設計提案競技」(応募総数359案)にて(株)TNA(武井誠+鍋島千恵)が最優秀賞を受賞し、その案に基づき設計と建設を進めてきたものであり、2014年3月に3代目の駅舎として生まれ変わった。

デザインコンセプト

身の丈にあった街の駅としての日常と、世界遺産の最寄り駅という非日常を同時に包み込む大きな縁側の駅舎

企画・開発の意義

富岡製糸場の気概を継承する駅として「鉄骨煉瓦造」を考案し、製糸場の煉瓦の積み方「フランス積み」とは異なるこの建物特有の「富岡積み」により駅舎を構築した。その壁はベンチやステージ、掲示板になり、利用者が自然と集まり、気軽に活用する場をつくり出している。歩道やロータリー、広場等の舗装や照明といった街の仕上げを駅舎まで引き込むことで、土木と建築の境界を曖昧にし、地域に根ざした新しい公共の場を提案した。

創意工夫

駅舎単体を設計するだけでなく、歩道、駐車場、広場という駅周辺整備において街の景観の繋がりを重視した。耐久性を必要とされる舗装材と人肌に触れる暖かい建築の仕上げに相応しい素材として煉瓦を採用した。薄茶色は煉瓦の汚れ防止、富岡製糸場の歴史ある赤煉瓦との差別化、凍害防止と強度増加の為の吸水率の低減によっておのずと生まれた優しい色である。周辺の照明計画、歩道整備、広場整備も再度見直すことで、新しい駅が完成した後の街の風景との一体感に留意し肌理を整えた。具体的には標識、サイン、照明、縁石などといった利用者の眼に触れる景観の部分から全体をデザインすることで、個別に決定されがちだった街の景観についての統一を図った。上信電鉄、群馬県、富岡市、駅舎および道路の施工者、商工会議所等、関係者で意思統一を図った。新しく駅をつくることで、鉄道と街、街と人間の境界を無くそうとする日本の地方駅でも類をみない試みである。

デザイナーの想い

上州富岡駅の建設において、ホームと駅舎と街路と広場といった普段はそれぞれの管轄内で別々に行われた造成、建築行為を、様々な境界を飛び越えて同時にデザインした。それには富岡製糸場が建設された当時のように「つくりかた」が世間に詳らかである必要がある。今まで公共と民間に存在した境界が消え、建築の建ち方が人々に開かれた駅舎は、人々が心地よい居場所を自然と発見することのできる外部としての未来の停車場である。

審査委員の評価

世界遺産の最寄り駅というキャッチフレーズが面白い。白くフラットな大屋根の下に待合室やコンコース、情報コーナーなどの機能性と統一された全体の世界観が新鮮で、独特な存在感を示している。どこでも同じ様な既視感のある駅ではなく、新しい駅のオリジナリティを感じる。

担当審査委員| 安田 幸一   高橋 晶子   廣村 正彰   山梨 知彦  

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