GOOD DESIGN AWARD

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CC

2013

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
旅館 [扇屋旅館]
事業主体名
扇屋旅館
分類
産業領域のための空間・建築・施設
受賞企業
有限会社扇屋旅館 (新潟県)
6D (東京都)
株式会社SALHAUS (東京都)
+i DESIGN (東京都)
受賞番号
13G100887
受賞概要
2013年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

村上は新潟県最北の市で、かつては城下町として栄えた。中心市街地ではまちおこしの試みが盛んだが、駅前にはシャッターが下りた店が多く人通りもまばらである。そんな駅前で80年以上に渡り営業してきた旅館の再生計画。閉ざされていた中庭を街に開き、中庭を中心に旅館の持つ諸機能と雑多な建築群を再編した。日本の地方都市の多くは、観光客向けの整備には熱心でも、地域の人々の生活が見えず結果的に寂しい街並みになっている。扇屋旅館の中庭は、この地を訪れる観光客と地域の人々の両方が集い、出会うことのできる場所に生まれ変わった。全国どこの地方都市にもある駅前旅館の再生を通じ、地域の活性化に繋げる試みである。

プロデューサー

平間保智(扇屋旅館)

ディレクター

大坪輝史(6D)、安原幹(SALHAUS)

デザイナー

大坪輝史(6D)、安原幹+日野雅司+栃澤麻利(SALHAUS)、泉井保盛(+i DESIGN)

詳細情報

http://salhaus.com/

利用開始
2012年11月
販売地域

日本国内向け

設置場所

新潟県村上市田端10番15号

受賞対象の詳細

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

新しく整備した中庭には様々な機能が面する。既存建物の親しみのあるスケール感を利用しながら、新設した庇やデッキで緩衝領域をつくり出し、またルーバーや建具を用いて相互の距離感を調整する。こうした手法によってそれぞれのスペースごとに居心地の良さを実現した。また、元の旅館で使われていた障子や庭石等に一手間を加えて再利用することで、素材感、空気感に時間的奥行きを加えている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

中庭では、子供たちが遊んでいたり、宴会やカフェの客が談笑していたり、宿泊客が入浴後涼んでいることもある。地域のイベントも行われる。地元の人にとっては少しだけハレの場、観光客にとっては地域の生活が見える場としてデザインすることで、空間を最大限に活用し、場所のアクティビティを高めている。日常と非日常が時によって入れ替わりながら、地域の人々、観光客、宿泊客が自然に同居できる場所を実現した。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

施工は、昔から扇屋の工事を請け負ってきた地元工務店の手による。改修にあたっては手刻みの技術を駆使し、また倉庫にストックされた古材を惜しみなく提供してくれた。竣工後、カフェスタッフとして加入した地元の若者達は、この場所に誇りを持って試行錯誤しながら生き生きと働いている。ものづくりの面で地元の優れた技術力を活用し、運営面でも地元の力で場所に活力を与えていく。理想的なサイクルが実現できた。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

駅前の空洞化、シャッター街の増加など、全国の地方都市は共通の問題を抱えている。フィクショナルな伝統に頼ったまちおこしではなく、あるものを利用して新しい場所を「発見」することが、真に地域の活性化につながるのではないか。地方都市には濃密な人間関係が残っている。人が集まる場所をつくり、そうした関係を視覚化することが、デザイナーの仕事なのではないか。上棟式や竣工式で集まった大勢の人々を見て、そう考えた。

ユーザー・社会に伝えたいこと

人口減少やモータリゼーションの進行により、日本の地方都市の街並みは急速に空洞化、均質化しています。既存の空間的・人的資源を生かしながら、地域の特性に合わせた新しい場所をつくり出すことが、このプロジェクトの目指したことです。日本中の地方都市が、それぞれに特徴を持った、生活して楽しく、訪れて楽しい街となることが理想であり、その実現のためにデザインの力が果たす役割は、大変大きいと思います。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

新潟県村上市田端10番15号
SALHAUS
6D

審査委員の評価

普通ならプライベートな旅館の中庭を再生・地域開放してあらたなパブリック空間を生み出したところに大きな特色がある。通りに面したカフェスペースと中庭へのアプローチを創設することであらたな人々の気配と動きを無理なく誘導している。街路に滲み出すにぎやかさがあったり、逆に落ち着いたプライベートな雰囲気になったりと、中庭でのアクティビティの内容によって多様な光景が生まれ、それが街の共有記憶ともなりうることが高く評価された。

担当審査委員| 千葉 学   乾 久美子   高橋 晶子   安田 幸一  

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