GOOD DESIGN AWARD

キーワード
受賞年度
年度(から 年度まで)
特別賞
企業情報
CC

2013

GOOD DESIGN|グッドデザイン金賞

受賞対象名
浮体式潮流・風力ハイブリッド発電 [SKWID(スクイッド)]
事業主体名
三井海洋開発株式会社
分類
開発、生産、製造のための機器・設備
受賞企業
三井海洋開発株式会社 (東京都)
受賞番号
13G070691
受賞概要
2013年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

やむことない潮の流れと強く安定した海風の力。2つの無尽蔵な海洋エネルギーを組み合わせ効率的に電気にかえる、世界初の潮流・風力ハイブリッド発電システムです。発電機を下に配置できるため安定性のよい大型ダリウス風車を、世界初の洋上向け風車として開発。水車には巻貝型のサボニウス水車を採用。これらが上下に連なる機構部は、海中の水車がおもりとなって「起き上がりこぼし」となる設計です。機構部が貫通するドーナツ型の船体は、波の揺れを機構部に伝えないよう、防振ゴムを介して機構部を支えます。低回転の風車と潮流と同じスピードでしか回らない水車は、生態系を脅かさず、見た目にも優しく発電を続けます。

プロデューサー

三井海洋開発株式会社 事業開発部長 中村拓樹

ディレクター

三井海洋開発株式会社 川瀬雅樹、藤本浩嗣、水向健太郎、川副史隆

デザイナー

三井海洋開発株式会社 中村拓樹、湯沢典弘、井迫雄次郎、岡安優、陶山由利子、和田真理子

詳細情報

http://www.modec.com/jp/business/skwid/index.html

実証試験開始予定
2014年
販売地域

国内・海外共通仕様

設置場所

佐賀県唐津市呼子町加部島北西海域

受賞対象の詳細

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

浮かぶものは揺れるもの、維持作業に行くのもするのも大変なのに腐食は進むもの。安全を考えれば全ての機械を手の届くところに置き、高所作業や潜水作業を不要にするのが最初の一歩です。垂直軸型で何の可動部もない風車と水車、両方で共用する発電機を使うことで、全ての可動部分を手の届くところに設置し、機械部品数も極力減らしました。「浮かぶ工場」の設計・運営の専門家としての知見を存分に活かしたデザインです。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

漁業との共存を大事にしました。普及のためには漁業者が保有し自分の漁場におきたくなる副業モデルとし、周囲に立ち入り禁止海域を設けないことが大切。漁船でのアクセスが容易で、漁船感覚でメンテナンスでき、本業の邪魔にならない製品が求められるはず。潮流が速くて魚網をおろせない場所に設置しながら潮流でも発電し、視認性がよい風車、漁船でアクセスしやすい安全な船体、魚に優しい水車を持つデザインを目指しました。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

一般的な陸上型風車は、風車を風に向けブレードのピッチ角度を調整、発電機をモーターとして使って起動するのに多く電力を必要とし、実は災害時に系統電力が停止した場合、発電することができません。そこで、風車の起動を潮流の力が助けるように組み合わせ非常時にも発電できるようにしました。浮体式なので津波にも強く、大柄の船体は非常用食料や資材の保管庫、レスキュー拠点、避難所などの用途も考えられます。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

地球に優しい再生可能エネルギー。発電コストが高いのが玉にキズ? 離島や漁船では石油エネルギーで発電しています。原子力発電にはコストで勝てなくても、離島や漁船に使う電気を再生可能エネルギーで発電すれば、地球全体の発電コストを下げることができるかもしれません。そんな用途に少しでも近づこうと考えたコンセプトです。ゆっくり回って鳥にも目にも優しい風車と、魚に好かれる船体と水車を目指してデザインしました。

ユーザー・社会に伝えたいこと

多くの、恐らく世界初の技術に支えられたコンセプトです。コンセプトを考えている時からスケールモデルで実験を行い、実機の設計、海上設置の準備と続く中で、これほどワクワクしたことはありません。この製品を通して、新しいコンセプトを生み出す素晴らしさを、一人でも多くの方と共有したいと思っています。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

佐賀県唐津市呼子町加部島北西海域
洋上発電への取り組み

審査委員の評価

自然エネルギーを用いた発電力の向上は世界の関心事である。当応募対象は、世界初の潮流・風力ハイブリッド発電システムである。本体下部にサボニウス水車、上部に大型ダリウス風車という構成。水中の水車がおもりとなって「起き上がりこぼし」となる設計になっている。風車が回転するとコマの要領で安定感が増すため、理にかなった構造と言える。また、機構部が貫通するドーナツ型の船体は、波の揺れを機構部に伝えないよう防振ゴムを介して機構部を支えている。波が高く船体が大きく揺れても風車が全く揺れていない実験映像は非常に説得力があった。発電機を含む全ての稼動部は船体中心部にレイアウトされているため、メンテナンスの際に高所作業や潜水作業などの危険な作業を回避する工夫もある。一般的な陸上型風車は、発電機をモーターとして使って起動するために多くの外部電力を必要とするが、当応募対象は潮流発電で風力発電の起動を行うため、スタンドアロンでの発電が可能である。この特性を活かして漁業との共存を図っている点に最も惹かれた。当発電システム一基で約100世帯の電力を賄えることから、漁業組合で発電システムを保有し、漁村で使用する電力を生産する。余剰電力を発電した場合は電力会社に売電する。発電システムの浮体は舟を係留したりレスキュー拠点として使用したりすることも可能な上、水車は潮流と同スピードでしか回転しないため魚を驚かすことなくむしろ魚礁としての効果も期待できるなど、漁業との共存方法を具体的に考慮している。当発電システムが効率の良い発電だけを目的としているのでなく、町づくりを視野に入れてデザインされている点が新しい。自然エネルギーを用いた発電システムでは、発電能力の向上のみに主眼を置いた取り組みが多いが、発電以外の活用方法までを視野に入れ社会への浸透を模索している当浮体式潮流・風力ハイブリッド発電SKWIDのデザインは、今後の自然エネルギーを用いた発電システムの開発を成功に導くヒントを満載した取り組みであると高く評価した。

担当審査委員| 安次富 隆   内田 まほろ   重野 貴   村上 存  

ページトップへ