GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
松島流灯会 海の盆 [松島流灯会 海の盆]
事業主体名
松島流灯会 海の盆 実行委員会
分類
都市づくり、地域づくり、コミュニティづくり
受賞企業
松島流灯会 海の盆 実行委員会 (宮城県)
受賞番号
12GC31041
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

「松島流灯会 海の盆」は観光イベントの影で途絶えてしまった夏の行事を、住民主体で30年前ぶりに復活させたプロジェクトです。震災の被害の影響で、戦後毎年恒例となっていた観光イベントを、開催するかしないか、という二者択一の議論が巻き起こりました。私たちはそうした状況の中で、原点回帰という目標を掲げました。高度成長期、短期的な利益を繰り返し追うあまりに、観光地が失ってしまった土地本来の価値観。そして本当の魅力を取り戻すために必要なのは、住民が主体となって継続的に検討されていくグランドデザインです。こうした取り組みは、生活と創造と経済循環が渾然一体となった、これからのデザインの一つの姿だと考えます。

プロデューサー

千葉伸一

ディレクター

鹿野護

詳細情報

http://www.uminobon.jp/

2011年 8月14日 〜 8月16日の行事
2011年8月14日
販売地域

国内・海外共通仕様

設置場所

宮城県宮城郡松島町

問い合せ先

松島流灯会 海の盆 実行委員会
Email: info@uminobon.jp
URL: http://www.uminobon.jp

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

会場内標識は有機素材(木材・竹・紙)とし、再使用もしくは分解処理可能とした。食品販売の中心には地場産品(あなご、トマト、キュウリ等)を位置づけ、地域の環境と経済が持続的につながる具体例を強く打ち出した。また、古着浴衣の収集および希望者への着付け指導付き配布を行った。さらに一部会場では、食用素材による生分解性灯籠のみにするなど、伝統行事本来の姿に近づける環境負荷低減型のプロジェクトとして取り組んだ。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

盆の行事を彩る、「唄」「踊り」「風習」は文字情報だけ継承していくことが困難です。それらはすべて経験の連鎖として継承されていきます。このプロジェクトでは、途絶えてしまった行事を知る高齢者の方々と、はじめて浴衣を着るような子供達に参加してもらいました。世代を貫いた地域全体での経験は、様々な個人レベルでの経験を織り合わせて、より強固な継承のプラットフォームを形成するはずです。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

震災を通じて、コミュニティや文化は一瞬にして消滅してしまう可能性があることを体験し、伝統的な行事を継続することの重要性を知りました。こうした継続は、単に風習を保存することではなく、その土地がどのような歴史を持っているのかを知るきっかけとなります。長い歴史の先端に我々がいるという認識を持つことにより、地域全体が歴史を共有し、未来の自分たちの姿を誇りを持って共に創造することが可能になります。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

観光に注目したとき、もはやメディアを通じた情報や一過性の刺激では、人々の心に残り世代を問わず笑顔をもたらす体験は得られません。地域の風土や文化に根ざした実体験こそが地元の住民をつなぎ、訪れた観光客に対しても共感と満足を提供できる地域固有の価値です。当地においても大きな比重を占める観光業とその関連分野に対して、このプロジェクトはラジカルな転換の過程を提示しており、普遍性を持ち得ます。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

お盆の行事が過去と現在の多数の人々の関わりの中に存在し、当地では寺町や海岸地域という地域環境の中で独特の営みを受け継いできたことを、デザインが持つ喚起と可視化の力で示すことができました。それらの価値を認識したとき、地元住民にとっては地域社会や周辺の自然環境を大切に継承していきたいと願うことになり、訪問客にとっては良き出会いの体験となったはずです。社会・環境の中のわたしという感覚を提供できました。

ユーザー・社会に伝えたいこと

消費することに幸福を見いだすのではなく、作る過程に幸福を見いだすことが出来れば、日々の生活はより創造的なものとなるはずです。私はこのプロジェクトを通じて、大量生産と消費を支えてきたデザインの様々な手法が、もっと生活そのものに役立つだろうと考えました。宮沢賢治の農民芸術概論が求めていた、労働と芸術が一体となった人生を自然なものとして実現させるため、これからのデザインが必要なのではないかと思います。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

宮城県松島町 8月14日〜8月16日
松島流灯会 海の盆

審査委員の評価

宮城県松島町では震災の被害を受け、これまで継続して来た観光イベントを中止し、地域の祭りを30年ぶりに復活させた。高度成長以降の観光優先型地方経済から独自性をもった地域の創出への転換であった。それは他所との競争、比較ではなく、その土地本来のアイデンティを確率することであった。一見当たり前であるが、経済主導で見えなくなった価値観の復権である。住民が主体となり、継続的にその地域を守り育てるという基本的な考え方の再スタートを選択した。美しいビジュアルを交えながら人々の気持ちを高揚させたデザインによるところも大きい。

担当審査委員| 南雲 勝志   大島 礼治   黒川 玲   手塚 由比   堀井 秀之   森田 昌嗣  

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