GOOD DESIGN AWARD

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2012

GOOD DESIGN|復興デザイン賞

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受賞対象名
被災者の心をつなげる場所と風景のデザイン [ヤタイ広場]
事業主体名
柏崎浩美、ゆいっこ大槌(当時)
分類
都市づくり、地域づくり、コミュニティづくり
受賞企業
東京大学大槌復興支援チーム (東京都)
居酒屋みかドン (岩手県)
有限会社上田製材所 (岩手県)
受賞番号
12GC31050
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

東日本大震災により市街部のほぼ全域が瓦礫と化した大槌町において、被災者が集まれる場所を「屋台のある広場」としてデザインした。住民による復興まちづくりの団体「ゆいっこ大槌」と東京大学の大槌復興支援チームが連携し、「結いの精神」によって敷地の確保、屋台のデザイン、材料調達、製材・加工、組上げ、運営までを実現した。津波によって奪われた人と人のつながり、人と土地のつながりを再び繋ぎ合わせ、傷ついた人の心を少しでも癒しなぐさめるための場所や風景を創出したデザインである。

プロデューサー

ゆいっこ大槌(当時)、中井祐(東京大学大学院)

ディレクター

尾崎信(東京大学大学院)

デザイナー

南雲勝志(ナグモデザイン事務所)

利用開始
2011年7月24日
販売地域

日本国内向け

設置場所

小鎚神社前(現在は、大槌北小地区・復幸きらり商店街「居酒屋みかドン」内)

問い合せ先

東京大学大学院 工学系研究科社会基盤額専攻 景観研究室

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

持続的な地域社会を形成する最も根源的で不可欠な要素は、地縁に基づくコミュニティである。本デザインは、この持続性が一度断ち切られたと言っても過言ではないこの状況下で、地縁的コミュニティをいかにして再生の軌道に乗せられるかという課題にとりくんだものである。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

他の場所でも展開可能にできるよう、移動の容易性に留意した。具体的には、屋台は屋根と本体が分離でき、それらを合わせて軽トラックに積み込めるサイズに抑えた。また、テーブルは天板とウマを固定せず、屋台を設置する場所に応じた幅や奥行きを作り出せるようにした。また、ベンチ自体もウマとして使う事ができ、ベンチ同士に板を渡してロの字型に座る事が出来るようにしている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

被災者は、市街地の大部分が壊滅した状況下、避難所での窮屈で不自由で不安な生活を強いられていた。そのような被災者に対して、そこに行けば誰かがいる、誰かに会える、誰かと飲んで話ができる、そういうなぐさめの場所を提供した。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

地元の製材所が全面的に材料提供ならびに製材、加工機器の提供を行った。また、その加工は地元の大工や工務店、または東大チームや外部ボランティアの手を借りて達成した。広場の砂利舗装や敷地など何から何まで補助金や寄付金などに頼ることなく、地場の手と技術と知恵が人のつながりを経て集まり、屋台と広場を実現した。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

制度や行政的支援などに頼らず、地元住民の人のつながりによって、地元住民のための場所が出来上がった。これから進むであろう日本の少子高齢化や地方都市の過疎化といった問題の解決には、行政的支援のみでは限界があり、住民の主体的なとりくみが不可欠である。このデザインで実現したように、地域の手と技術と知恵を結集して小さくともものごとをつくりあげる方法は、ひとつの有効な示唆を与えるのではないか。

ユーザー・社会に伝えたいこと

被災者は大切な人や家を津波で流された。人と人とのつながり、人と土地とのつながりを一瞬にして失い、いまも絶望の淵にある。人間の生の根拠であるこれらのつながりを、小さいながらも場所として、風景として再生し立ちあげることによって、被災者にわずかながらでも生きる希望を与えたいという思いが本デザインの動機である。屋台を訪れた多くの被災者が、涙ながらに店主に感謝の言葉を伝えていたことを付記したい。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

大槌北小地区・復幸きらり商店街内 「居酒屋みかドン」

審査委員の評価

東日本大震災により市街部のほぼ全域が瓦礫と化した大槌町における、被災者が集まれる場所、「屋台のある広場」のデザインである。人と人とのつながり、人と土地とのつながりを一瞬にして失った絶望の淵において、デザイナーに何が出来るのかという問いに対する答えがこのデザインだ。デザイナー個人のアイデアや独創性を根拠とするデザインではなく、人のつながりを形にしたデザインである。やがてこの場所は消えてなくなってしまうであろうが、復興を成し遂げた人々の心に思い浮かぶのはこの「屋台のある広場」の風景であり、傷ついた心を癒し、奮い立たせた人とのつながりであろう。本応募対象は、デザインの新たな使命、可能性を示している。

担当審査委員| 南雲 勝志   大島 礼治   黒川 玲   手塚 由比   堀井 秀之   森田 昌嗣  

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