GOOD DESIGN AWARD

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2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
真壁伝承館 [真壁伝承館]
事業主体名
桜川市
分類
公共領域のための空間・建築・施設
受賞企業
桜川市役所 (茨城県)
受賞番号
12GC11009
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

真壁伝承館は市民のための集会施設、多目的ホール、図書館、歴史資料館の入る多目的複合施設であるが、その敷地である桜川市真壁地区が、中世からの町割りを残し近年重要伝統的建造物群保存地区に選定された歴史的な景観が特徴的な街区であるところに大きな特徴があった。歴史的な景観に調和する現代建築をどのようにして実現するかが大きな課題となったのである。そこで「サンプリングとアセンブリー」という設計手法を考案した。町並みを構成する既存の建物のプロファイルを複数実測し(サンプリング)、施設の計画に応じて組み上げる(アセンブリー)ことによって、歴史的な都市環境に適合する建築形態を提示することができた。

プロデューサー

桜川市長 中田裕

ディレクター

渡辺真理(設計組織ADH代表、法政大学教授)、木下庸子(設計組織ADH代表、工学院大学教授)

デザイナー

山口智久/ADH、新谷眞人/オーク構造設計、稲葉裕/フォーライツ、長谷川浩己/オンサイト計画設計、松本文夫/東大総合研究博物館、藤江和子/藤江和子アトリエ、宮崎桂/KMD、高間三郎/科学応用冷暖研究所

詳細情報

http://www.city.sakuragawa.lg.jp/news_kyouiku.php?code=2286

発売
2011年9月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

茨城県桜川市真壁町真壁198

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

本施設では太陽光パネルとOMソーラーを併用して採用することで新エネルギー利用を行なっている。それは今日の公共建築ではむしろ当然のことだが、それを屋根板と一体化した表現とすることでデザイン性にも配慮した。さらに、建物外壁の鋼板パネルは(遠い将来に)この建物が建替えられる場合には、コンクリート造の建物の壁体のように産業廃棄物となるのではなく、産業資源として再利用が可能である。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

鋼板パネル構造を採用することで、開口部の取り方に大きな自由度があたえられた。この施設の開口部は大小の正方形の窓が「ばらまかれた」ように見える配置に特徴があるが、それは室内から外部のさまざまな都市景観要素に向けて開かれたまなざしの表現でもある。開口部の配置については模型を用いて、大人だけでなく子供や高齢者の視点を多く想定してデザインした。ランダムのようだが最低限の配置規則も持っている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

すべての建築物は人間がその中に入るという意味において生活空間である。本施設の外壁の鋼板パネルの内側は断熱を施し居住環境の性能を確保した。図書館ではさらにパネル間の空隙にOMソーラーからの暖気を通して壁暖房を施した。熱橋防止もデザインに組み込まれている。直射日光が当たる側の外壁は鋼板パネルの上に杉板透かし張りを行ない、ヒートゲインを防止している。ちなみに正方形の開口部はすべてペアガラスとしてある。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

わが国では、コンクリートという素材が構造材や仕上げ材(打ち放しコンクリート)として幅広く用いられてきた。コンクリートの可塑性は建築の表現を進化させるには大きく貢献した。しかし、RC建築は解体時には産業廃棄物の山を生みだす。それに対して、鉄と言う素材は再利用がしやすいという特徴がある。すでに鉄は構造部材として広範に使用されているが、壁面材や仕上げ材としての可能性をさらに追及できるのではないだろうか。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

米国では建物は建設後25年経つと歴史的建造物とみなされ保存の対象になるが、わが国でも都市景観を評価する機運は高まりつつある。それが景観法という法的な枠組みによるものであるというのがいかにもわが国らしいとはいえ、それはひとつの成熟といえるのではないか。本施設で提案した「サンプリング」「アセンブリー」という手法は建築が歴史的な都市景観と適合するための基本的な方法として位置づけられないだろうか。

ユーザー・社会に伝えたいこと

建築家の設計する現代建築は(よい意味でも悪い意味でも)都市空間の異物のように見なされる場合が多いが、歴史的な建築や都市空間ともよくマッチし、だからといって、単なる歴史的な建築のコピー(レプリカ)ではない「現代建築」の可能性があるのではないだろうか?サンプリングとアセンブリーという方法はそこに到達するためのひとつの方法論になりうるのではないだろうか?

審査委員の評価

中世からの町割りを残し、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている桜川市真壁地区における市民のための多目的複合施設である。その伝統的な建築の特徴を重視し、歴史的な景観に調和させながらも、現代につくる建築としての意義や未来性を追求している。そのため、町並みを構成する既存の建物を複数実測、施設の計画に応じて組み上げることで、歴史性と調和する新たなコードを作り上げている。それを具体的に実現するために鋼板パネルを使用、耐久性と可変性を持たせている。その結果、伝統的なまちなみに調和しつつ、外観、内部空間とも今を表現する新たな和のエッセンスを作り出すことに成功している。

担当審査委員| 南雲 勝志   大島 礼治   黒川 玲   手塚 由比   堀井 秀之   森田 昌嗣  

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