GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
公衆トイレ [間伐材トイレ]
事業主体名
宗教法人栄福寺
分類
公共領域のための空間・建築・施設
受賞企業
合同会社白川在建築設計事務所 (東京都)
受賞番号
12GC11001
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

四国八十八ヶ所の1ヶ寺に建つ参拝者用トイレである。建て込んだ境内の中で入口脇の緑地が唯一残された建設用地であったため、樹木を残し、建物の存在が景観を阻害しないよう、配置と工法の工夫によって周囲に溶け込むような建築を目指した。必要とされた3つの個室を1室ごとの小さな分棟形式とし、木々の合間を縫って配置した。結果的にこの厳しい条件が、環境に埋もれるような建ち方をつくった。地産のヒノキ間伐材を60mm×600mmの集成パネルに加工し、パタパタと組み立ていく方法をとっている。集成材パネルが構造体・内装材・外装材を兼ねることで極めてシンプルな納まりとなり、柱梁のない素朴で新しい工法となった。

プロデューサー

合同会社白川在建築設計事務所 白川在

ディレクター

合同会社白川在建築設計事務所 白川在

デザイナー

合同会社白川在建築設計事務所 白川在

詳細情報

http://www.zsa.jp/zsa/index-works.htm

利用開始
2011年12月25日
販売地域

日本国内向け

設置場所

愛媛県今治市玉川町八幡甲200

問い合せ先

合同会社白川在建築設計事務所
Email: info@zsa.jp
URL: http://www.zsa.jp

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

建築は元来その場所で手に入る材料で作られてきた。この事は森林保全などを含めサステナブルな社会の一役を担ってきたと言えるが、近年では安価な輸入材の流入や2×4などの工法的な変化によって、国産材や地元の林野は窮地に立たされている。本計画では素材として地元・愛媛県の桧間伐材を使用し、工法としては雇い実や樹脂併用の接合金物による新しい工法を開発することで、国産材の利用方法に対して1つの解法を示そうとした。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

ヒノキ無垢材と自然塗料(柿渋)による空間は、狭い空間であるために使用者の身体と建物との距離が近いトイレ空間において、肌になじむ居心地の良さを提供できると考えている。また、建物のボリュームを家具に近いスケールまで小分けにすることで、入口のすぐ近くにあっても参拝者へ圧迫感を与えない建ち方を実現している。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

個室ごとの分棟とすることで、通常薄いついたて一枚で仕切られるだけの各スペースが完全にそれぞれ独立することになり、プライバシーを高く保てる落ち着ける空間となっている。また、トイレ然としていない建ち方と、植栽地の木の下を建築的な廊下空間として取り込んだ動線計画によって、新しいトイレ空間のあり方を提案している。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

県産の間伐材を利用することで、国産材の利用方法に新しい可能性を示せたと考えている。近年では安価な輸入材の流入と2×4など工法的な変化によって、国産材は窮地に立たされているが、本計画では素材として地元・愛媛県の桧間伐材を使用し、工法としては雇い実や樹脂併用の接合金物による新しい工法を開発した。携わった職人にとっても当然初めての試みでだったが、コツを得ると1棟の建て方を数時間で終えた。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

ストック社会にあって、求められるのは博覧会的な目立つ建築ではなく、既存環境と調和するような建築であると感じている。ただし、伝統建築など既存の方法のみに縛られていては建築の未来は暗い。これからの時代に向けた建築を探る上で、本計画のような建ち方もひとつの方法ではないかと思っている。今回は公衆トイレへの適応であったが、この工法は住宅など他の建築にも十分展開可能であると考えている。

ユーザー・社会に伝えたいこと

地場の産業にも視野を広げつつ、伝統的な手法によらない新しい方法を用いながら、寺院という伝統的な景観に寄り添う建築を目指した。建物としては延べ10㎡に満たない小さなプロジェクトであったが、既存の木々を生かす配置計画や、柱梁のない間伐材パネルによる新しい工法は、寺院に限らず一般の住宅などへも展開できる考え方だと思っている。そして、訪れた方が境内の木々を楽しめる謙虚な建築になればと願う。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

四国八十八箇所霊場第五十七番札所 栄福寺
山歌う

審査委員の評価

現場は四国八十八ヶ所の1ヶ寺で、巡礼者のためのトイレである。美しい自然景観に調和させ、存在感を軽減するため、求められた三つの個室を分棟型とし、ボリュームや周囲の木々との配置を細かく検討した。しつらえも自己主張しない簡素な工法と自然な色彩に押さえられている。一見普通の小屋のようで、風景をきっちりと大切にしながら、そこに邪魔にならないよう建てさせて貰う、という思想が感じられ好感が持てる。地場産ヒノキ間伐材の使い方もセンスがよく、時間が経つと共により周囲に溶け込んで行くことが想像できる。

担当審査委員| 南雲 勝志   大島 礼治   黒川 玲   手塚 由比   堀井 秀之   森田 昌嗣  

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