GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
保養所 [潜水士のためのグラス・ハウス]
事業主体名
有限会社深江海洋作業
分類
産業領域のための空間・建築・施設
受賞企業
ナフ・アーキテクト&デザイン有限会社 (広島県)
NAWAKENJI-M株式会社 (東京都)
有限会社深江海洋作業 (広島県)
株式会社三陽 (広島県)
株式会社ケンセイ (広島県)
有限会社藤井組 (広島県)
受賞番号
12GB10851
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

敷地は瀬戸内海に浮かぶ江田島の西側に位置し、目の前には穏やかな海がパノラマで広がる自然豊かで長閑な地域にある。この建物は、1m×1m×0.5m重さ約1.2tの大型コンクリートブロックを、ただ積み木のように組積することで、防波堤や消波ブロックのような大きなコンクリートの起伏となり、それがそのまま構造体になるというとてもシンプルなシステムから構成される。この大型コンクリートブロックは、江田島にあるコンクリート工場であればどこでも作られており、テトラポット等を製作する際に余ったコンクリートのみを再利用して作られている。

プロデューサー

中薗哲也/ナフ・アーキテクト&デザイン、崇城大学

ディレクター

中薗哲也/ナフ・アーキテクト&デザイン、崇城大学

デザイナー

中薗哲也/ナフ・アーキテクト&デザイン、崇城大学

詳細情報

http://www.naf-aad.com/works/2009/017.html

利用開始
2011年8月
販売地域

日本国内向け

設置場所

広島県江田島市大柿町深江2630-14

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

廃コンクリートブロックは余ったコンクリートのみで作られるので、工場の稼働状況に応じてこのブロックは生産されるのでそれに合わせて建築工事も進むことになる。廃コンクリートブロックが生産されるのを待って工事を進めるという、現代の建築工事では考えられない16か月という工期を要する“スロー建築”であったが、この建築(生産)理念をクライアント、設計者、施工会社で共有できるようにコミュニケーションを確保した。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

この建物は、クライアントの身近な人間関係により実現できている。約1.2tある巨大な廃コンクリートブロックを江田島で初めて建築の構造体として造り上げた組積の技術、大きな資材を海から運ぶための海洋土木の経験、こうした技術で作り上げられた構築物を生活空間にまとめあげる繊細な建築技術、これらの技術がクライアントの最も身近な人間関係のなかに存在したこと。これが、この建築物を実現できた最大の要因である。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

潜水士という想像を絶する危険の中でプロジェクトを遂行する人間の日常に、静かな海とクリアな空気と廃コンクリートという偉大なモノの存在感により、適度な緊張感をまとった開放感が漂っている。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

廃材としてしか扱われてこなかった捨てられるはずのコンクリートに、資源という生産的な価値を与えることができた。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

島に溜まるブロックの在様は島人にとっては擁壁や船着き場といったありふれた風景であり日常である。かつて極東住人貴重品、黄金を日常品としてふんだん使うとされたジパングという島の伝説があったが、このブロックが生まれる江田島は構造における現実のジパングのように映る。その黄金たるブロックは、この地固有の材、関係、風景を、固有の価値で成立させ、今日希薄になりつつある地域性を新たに築く礎となり得る。

ユーザー・社会に伝えたいこと

我々は、廃コンクリートブロックを単なる廃棄物としてではなく、江田島という環境と人間の営みの中でうまれた第二の鉱物(自然)として解釈している。そのことが、テトラポット等を半世紀にわたり生産してきた江田島の歴史、場の記憶、それぞれに対する敬意と理解の姿勢である。

審査委員の評価

生産過程で余ったり、廃棄されるコンクリートを利用して造られた施設。この島の産業であるコンクリート工場から生まれる廃コンクリートブロックが構造体となり、ガラスで囲まれた透過感と、時間と共に変化する光が素敵な空間である。リユースによって生まれる新たな価値と、島独特の風景を創り出そうという考え方が評価された。時間の経過によりこのコンクリートブロックが蔓や緑に覆われることを想像すると楽しい。

担当審査委員| 千葉 学   乾 久美子   北山 恒   廣村 正彰  

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