GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
集合住宅 [YS BLD.]
事業主体名
青木 涼子
分類
住宅・住宅設備
受賞企業
株式会社青木茂建築工房 (東京都)
受賞番号
12GA10568
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

新築時、検査済証を未取得であった建築物のリファイニング建築。築37年を経過し、内装も外装も陳腐化しており、耐震基準も現行法規を満たしていなかった。通常、再生を行うことが困難な検査済証未取得の建物に対し、耐震補強、EVの新設、デザインの更新や、設備の全更新、プランニングの更新を行い、検査済証を新たに得た。更に、屋上緑化等の環境設計も行い、新築と同等の仕様を実現し、資産価値の低い既存ストックに新たな市場価値を生み出した。検査済証未取得の建物は日本全国に存在し、既存ストック活用促進の足枷となっている。このようなサスティナブルデザインが、一般市場に流布し、既存ストック改善の手法となることを期待する。

プロデューサー

株式会社青木茂建築工房 主宰 青木 茂

ディレクター

株式会社青木茂建築工房 主宰 青木 茂

デザイナー

株式会社青木茂建築工房 主宰 青木 茂

詳細情報

http://www.aokou.jp/works/refining/apartment/ys_bld_1/

竣工
2011年2月28日
販売地域

日本国内向け

設置場所

東京都港区

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

サステナブル社会を目指す上で、既存ストックの活用は不可欠だ。しかし、現実は不動産価値の低い検査済証が無い建築物も多く、活用事例も少ない。そこで、このような建物の再生を行い、新築同等の環境設計を目指した。また、コンクリート躯体の中性化を抑制する目的で、室内、室外から断熱材を設置、躯体保護と断熱を同時に実現した。そして、屋上緑化、トップライトによる通風を確保し、夏は涼しく、冬は温かいエコ住宅となった。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

都心の中で、どう豊かに緑を享受するかということに着目し、屋上緑化、リビングから見える壁面緑化を行った。既存建物では、夏は住めないという程、建物が蓄熱している状況であったが、断熱を内側からと外側から二重で設けることで、洞窟の中にいるような生活が営める。再生建築でも身体、人間スケールの満足感は新築を上回る仕様とすることができるのではないかと考えている。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

既存建物は内装、外装ともに陳腐化しており、入居率も低かった。周辺に建物が密集しており、カーテンを閉めたままの閉鎖的な住まい方をしていた。そこで、まず、内外装を更新することで、新築同等の生活環境を提供した。更に、建物のバルコニー面にルーバーを設置し、近接する周辺バルコニーの視線を緩やかに遮断した。木製・アルミ・緑化という3種類のスクリーンを設けることで、入る光もコントロールし、生活環境を向上させた。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

既存ストックの活用方法は様々な方法が検証されているが、耐震補強を行い、躯体を残し全て新築同等まで価値を向上させるという事例は少ない。それは、低コストで実現できる反面、新築以上の手間、技術が必要となることに起因する。新築が無くなる時代に既存ストックの活用は産業の活性化に寄与できる。また、既存ストックの活用を促進させることは、新たな雇用を生むことにもつながると考えている。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

既存建物において、様々な環境実験を行うことで環境への貢献を試みた。屋上緑化や壁面緑化、内・外断熱、高反射パネルの使用により、建物単体の熱負荷の抑制だけでなく、都市のヒートアイランドの抑制にも寄与している。また、再生では行うことが困難な吹抜けとトップライトを新設することにより風のシャフトをつくり、夏は風が通り、冬は熱を蓄熱できる装置とした。また、このような試みに対して多額の助成も頂いた。

ユーザー・社会に伝えたいこと

新築が困難な時代となる中、既存ストックは増え続け、構造等現行基準に満たない既存不適格と呼ばれる建物のストック活用問題は深刻となっている。私は、25年前から、このような建物に耐震補強を行い、設備も含めた内外装の更新をし、法的なお墨付きを得て市場に送り出すリファイニング建築を行ってきた。既存ストックを新築同等に利用できることが広く社会に浸透し、既存ストックの活用が促進していくことを願う。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

東京都港区
株式会社青木茂建築工房ウェブサイト

審査委員の評価

既存のストックをリノベーションし再利用することは、今後のサステイナブル・デザインの重要なテーマとして、省エネルギー建築とともに注目されている。しかし、日本では、戦後、何度も建築に関する法改正が行われた上に、完成した建物の確認申請証や検査済証が残っていない建築が大きな割合を占めている。技術的にも建設時と現在とのギャップが大きい。さらに金融面でもリノベーションのための財政的条件は整備されていない。これらの複雑な条件が大きな障害となって、これまでリノベーションに正面から取り組む建築家はきわめて少なかった。そのような状況のなかで、本応募者は長らくリノベーションに取り組み、経験を通じて、法律、財政、技術の面において、建築を総合的に把握する情報を蓄積し、上記の複雑な条件をクリアする手順のマニュアル化をめざしてきた。本建築は、その集大成とも言えるリノベーションのケーススタディであり、今後のさらなる展開の試金石として、高く評価したい。

担当審査委員| 難波 和彦   安積 朋子   篠原 聡子   安田 幸一  

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