GOOD DESIGN AWARD

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CC

2012

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
住宅(地震で損傷した住宅の補修改修) [美里町の揚舞]
事業主体名
個人
分類
住宅・住宅設備
受賞企業
有限会社都市建築設計集団/UAPP (宮城県)
受賞番号
12GA10575
受賞概要
2012年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

2011年3月11日の地震で傾いた古い木造平屋の復興改修である。気候に根ざした日本家屋の特徴である丈夫につくられた屋根周辺と、開放的なつくりの下部との境目で柱が折れ、何度も襲う大きな余震により建物のゆがみが増していた。継続して使用することが困難と思われたが、この家へ愛着あるクライアントの熱意により、再生を試みることになった。建物全体を持ち上げ、補強をする「揚舞」と呼ばれる工法を選択し、折れた柱や建具を取り替えるとともに再生不可能と判断された玄関、キッチン、ダイニング部分には、新たに地震の揺れに抵抗力のある壁を配した白い箱を添えることで、構造的な強度を確保し、未来へと家族の想いをつなぐ家とした。

プロデューサー

手島浩之

ディレクター

手島浩之

デザイナー

手島浩之

詳細情報

http://www.uapp.jp/works-reform-misato.htm

利用開始
2011年12月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

宮城県

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

2011年3月11日の地震によって、それまで時を重ねてきた日本家屋の多くが姿を消す中で、変わらない風景を未来につなぐこと。玄関は原状回復が不可能と判断したため、新しい玄関に向かうアプローチには、現在では手に入れにくい地場産の稲井石と呼ばれる敷石で、敷地内に存在していたものを有効活用して敷き並べた。また、地震による傾きが大きく再生できなかった部屋から造り付けの家具や天井材を移設し再利用した。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

地震に対する構造補強となる基礎コンクリートのレベルを生かし、気候に根ざした日本家屋の床を、腰掛けるのに適した高さとなるように、土間の寸法を設定した。玄関にはステップを設け、既存の畳の床高さに安全にアプローチできる段差寸法とした。玄関からキッチン、ダイニングは、ひとつながりの土間空間として、ベンチのように切り取られた既存の畳の床部分に腰掛けて、食事や会話をするような使い方を誘発する構成とした。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

機能的な現代の生活スタイルと、気候に根ざした日本家屋での生活が共存できるようにした。さまざまなライフスタイルの世代が、それぞれの生活をゆがめずに集まることができる家族の場所になるように、畳の上での生活に慣れ親しんだ世代と現代の機能的なライフスタイルの世代、畳を新鮮に再発見する次の世代のそれぞれにとって、負担が少なく無理のない新しさをもつ、いままでと現在、この先の未来の時間がつながる環境を提案した。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

気候に根ざした日本家屋を持ち上げ、建物の下部を地震の揺れに抵抗できるように補強する技術として「揚舞」と呼ばれる工法を採用した。このことで古民家を解体撤去せずに機能的な現代のライフスタイルにフィットさせることが可能となった。時を重ねてきた日本家屋の機能と、現代の生活とのギャップによるスクラップアンドビルドを避け、思い出や時間を固定する移築や保存にとどまらず、風景を再生する、技術のスタイルを実現した。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

原状回復が不可能と判断した玄関・キッチン・ダイニングは、日本家屋とは異なる要素で新たに構成されているが、構造補強を施しながらも開放的なつくりとすることで、よりオープンでコミュニケーションを誘発するようにした。2011年3月11日の地震によって大きなダメージを受けた部分を、より外部に対して積極的で明るい場所として再生することで、ともに被災した近隣の人々や環境にとっても前向きな雰囲気になるようにした。

ユーザー・社会に伝えたいこと

時を重ねてきた建物を使用する生活に、ライフスタイルの変化によるギャップなどが生じて、建物の持つ機能の制約が、家族で使い続ける限界に達し、課題の解決が必要な場合がある。その際に、スクラップアンドビルドのような更新や、ともに歩んできた家族と切り離される移築、時間が止まってしまう保存にとどまらず、リアルな生活を展開し、使用しながら、日本の風景を継承してゆく視点を、次の世代につなげることを提案している。

審査委員の評価

震災後の建築を取り巻く状況が極めて厳しい中で、部分的に倒壊した古い民家を再生させたことの意義は、環境負荷を小さくするということにとどまらず、生活環境の継続性を維持することの重要さを示した点からも、極めて大きい。さらに、基礎周りに対する適切な構法の選択と再生不可能な部分を撤去し、そこに新たに付加した白い箱の部分を構造な補強とし、その部分が新たな生活スタイルを提供する空間ともなっており、その結果、それ以外の部分が従来の良さを失わずに保存されているという再生の手法も明解で合理的である。

担当審査委員| 難波 和彦   安積 朋子   篠原 聡子   安田 幸一  

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