GOOD DESIGN AWARD

キーワード
受賞年度
年度(から 年度まで)
特別賞
企業情報
CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
複合施設 [南極昭和基地自然エネルギー棟]
事業主体名
大学共同利用機関法人 国立極地研究所
分類
デザインによる研究・開発
受賞企業
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所 (東京都)
日本大学理工学部 (東京都)
ミサワホーム株式会社 (東京都)
受賞番号
11G15035
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

基地建設のための輸送や建設方法・期間、また建物完成後利用時のエネルギー使用量に制限のある南極では、効率的な部材設計とシンプルで強靭な構造・納まりが求められるとともに化石燃料の使用量を減らす工夫を導入する必要がある。また建て替えや建物補修をなるべくなくし長期利用することも求められる。今回自然エネルギー棟では『自然エネルギー活用のための太陽光集熱暖房』と『スノードリフト対応の屋根形状』を主体に「エネルギー」「環境」「防災」「長期利用」への取り組みを形にした。それは今後私たちの身近な住まいづくり、街づくりへの発展が期待されるテーマである。

プロデューサー

大学共同利用機関法人 国立極地研究所

ディレクター

大学共同利用機関法人 国立極地研究所

デザイナー

日本大学理工学部 半貫敏夫 ミサワホーム株式会社

利用開始
2012年4月1日
販売地域

国外市場向け

設置場所

南極昭和基地

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

独立した環境である南極ではなるべくエネルギーを使わない、またなるべく廃棄物を出さないエネルギー利用方法が求められる。自然エネルギー棟では太陽熱を活用する暖房システムと長く使い続けるための工夫としてブリザードによる建物への雪害をなるべく減らす建物の形状とした。それらは私たちが暮らす日本においてもエネルギーの自立と防災に強い住まいや街を提案する際に必要な要素である。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

・南極では防寒具を常時着用しているためドアや廊下・階段巾を2mと活動し易い寸法としている。・ブリザードによる閉じ込められを防ぐため外部との扉はすべて内開きとしている。・狭いことが作業上のストレスとなるため各部屋で想定する作業から導き出される必要面積より広めの設計とし、また建物内に休憩室を設置した。・太陽熱で暖められた温風をソックダクトを通して供給し、ドラフトによる体感温度低下を防止した。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

自然エネルギー棟は雪上車の格納とその修理作業を行う「整備室」を持つ。そこにはアルミの床材を利用し熱伝導率の高い床暖房が設置されている。また、保温力を高める為に建物の基礎全体を断熱している。夏期には太陽熱集熱暖房だけで整備室内が20度程度に保たれる。これらの導入により作業環境の大幅な改善となった。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

自然エネルギー棟で実施した太陽熱利用の暖房システムは70MWh/年の集熱量があり、年間7Klの燃料削減となる。ブリザードによる建物への雪害をなるべく減らすための建物形状は、建物のみならず敷地形状、周辺の地形・建物などを考慮した風洞実験やコンピューター解析を繰り返し行い決定した。その手法は、自然環境を生かし活用しながら災害に強い住まいや街のあり方への様々な展開を可能にする。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

自然エネルギー棟は「木質パネル」を主な構造体としており環境に負荷をかけない材料の使い方としてわれわれの身近な住まいへ更なる展開が期待される。また「自然エネルギー棟」で行う「太陽光集熱暖房」「流線形の建物形態」「アルミ床材の床暖房システム」など様々な試みは、世界に誇る環境技術・防災技術を持つ日本がエネルギー自給や災害に強い住まいや街づくりのあり方を考える上で一つの方向性を示唆する。

ユーザー・社会に伝えたいこと

「エネルギー利用(太陽光集熱暖房)」「防災(ブリザード対応の建物形状)」の視点でつくられた自然エネルギー棟は今後あるべき昭和基地のあり方を実験する場でありました。翻って見ればそれは天災とともに暮らすことを余儀なくされる日本においてエネルギー利用・防災へのあり方を問い直す場でもあります。今回導入した考え方や技術を早く「環境立国日本」「災害に強靭な日本」に役立つものとして展開したいと考えております。

審査委員の評価

基地建築では極限地での人命を守る技術が形体として建っている。これまでも建築部材、構造、納める工法には強靭さとシンプルさを併せ持つ建設技術の英知が凝縮されてきた。特にこの建築では太陽エネルギー活用した長期使用を目的とした計画がなされている点が大きくデザインに表れている。また強風を逃がす屋根の形状には構造とは別に「安心」の意味を意図的に持たせている点は心情への配慮が伺える。貴重な実験の場であるから個人の住宅に的確にフィードバックする事を期待したい。

担当審査委員| 大島 礼治   黒川 玲   堀井 秀之   松井 龍哉  

ページトップへ