GOOD DESIGN AWARD

キーワード
受賞年度
年度(から 年度まで)
特別賞
企業情報
CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

このページの画像、テキストの無断転載を禁じます。 (C)JDP All rights reserverd.

受賞対象名
ふじようちえん 増築 [Ring Around A Tree]
事業主体名
学校法人みんなのひろば藤幼稚園 加藤積一(理事長・園長) 加藤久美子(副園長)
分類
公共用途の建築物・空間
受賞企業
株式会社手塚建築研究所 (東京都)
受賞番号
11G11039
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

私立幼稚園の増築棟。機能は英語教室と送迎バスの待合所。一本の曲がった大ケヤキにまとわりつくように、極薄の鉄板スラブがズレながら積層し上昇する。各階に挿入された2枚の鉄板は、時に床となり天井となり家具となり、子どものスケールで空間を作り出す。建物の半分は外部である。木の枝は至る所で手摺りを貫通し、生い茂る緑が建物を覆い木と建築が一体に融け合う。構造は3㎝角程度の細い鉄の無垢柱と鉄板が一体となったモノコック構造。挿入された8本のフィーレンディール構造が水平力を負担する。あるべき場所に必要な大きさの柱を配置することで、自然と葉脈のような梁が導かれた。照明のイメージは飛来するホタルの群れである。

デザイナー

手塚建築研究所 手塚貴晴+手塚由比

利用開始
2011年2月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

東京都立川市

問い合せ先

株式会社手塚建築研究所
Email: tez@sepia.ocn.ne.jp
URL: http://www.tezuka-arch.com/

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

木を倒し整地された土地に建物を建て、申し訳程度に屋上を緑化することもサステナブル社会実現へのささやかな努力であるとするなら、木を倒すことなくその木と共生できる建築はサステナブル社会そのものであろう。落葉樹の木陰は夏の日差しを和らげてくれる。心地よい空間を損なないように自然の従者として建築を建てさせてもらうことは、極めて合理的な手段であろう。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

本建築は子どものための建築である。子どものスケールと子どもの行動に焦点を当てると、大人を基準とした従来の建築スケールでは不十分である。隙間や段差は子どもの身体的欲求と知的な好奇心を刺激する道具である。内外の空間に秩序立てて段差を設けることで、教育と遊びの両立を可能とした。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

教室にはフローリングと照明、外部には弾性舗装が施されただけの空間であるが、英語教室としての生活に必要なものは全てそろっている。室内にいるときは段差に腰掛け子どもたちは木の方向を見て授業を受ける。ひとたび外に出れば、木の上を自在に走り回る猿のごとく、枝や葉や虫や風を感じながら子どもはどこでも好きな場所を選んで跳んだりはねたり隠れたりできる。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

教育が産業というカテゴリーに収まるかどうかはともかく、産業的な視点のみを見る限りふじようちえんは大いに成功し建築はその成功に貢献できたと考えている。今回の増築も教育のための純粋な道具であり、その効果は子どもたちの生き生きとした表情を見れば明らかだ。風変わりな建築が教育産業全体にとって新しい発見であることを期待している。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

この施設に設置された設備は必要最小限の照明とコンセント、空調のみである。高気密の建物に閉じこもって完全にコントロールされた快適にエネルギーを注ぐ生活より、自然と心地よい場所に必要最小限な装備で過ごすことの方がより豊かな経験であることは誰の目にも明らかである。環境社会に対して建築が貢献できるとすれば、誰もが感じる自然の心地よさを持ち込むことである。

ユーザー・社会に伝えたいこと

本作品の主役は建築ではなく自然や人である。具体的には敷地の中心に鎮座する曲がった大ケヤキであり、使い手となる子どもたちだ。彼らのことだけをひたすら考えて導かれた、たった一つの回答は、できあがってみれば誰も見たことのない不思議な建築になった。人が自然を支配することはできない。自然の力を借り、人の力を借りることで建築はずっと豊かになることを知ってももらいたい。

審査委員の評価

樹木-建築‐人間が高度に有機性をもって結びついていることに感銘をうける。そのどれかひとつがかけてもこの建築の素晴らしさは生まれない。木々に軽やかに取り巻く建築とするためにさまざまな技術的提案がなされているが、その高度さをおしつけることなく、さらりと見せている点も素晴らしい。

担当審査委員| 北山 恒   乾 久美子   南雲 勝志   廣村 正彰  

ページトップへ