GOOD DESIGN AWARD

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CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
大学 [近畿大学 農学部 第2共同研究棟]
事業主体名
学校法人 近畿大学
分類
公共用途の建築物・空間
受賞企業
株式会社NTTファシリティーズ 畠山文聡+田中裕介 (大阪府)
受賞番号
11G11046
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

原生林を含む緑豊かなキャンパスにおける研究施設の新築計画。研究特性上、窓を設けることができず、また、温湿度制御負荷が多大である。この条件に対し、建築と自然が相互に寄り添い、社会・環境に溶け込むデザインアプローチを行った。葉(粒子)の集合がアウトラインを形成する木々のように「ボリュームでありながら心地良い」建築となるよう、木材流通において活用ルートのなかった芯材(廃材)を粒子として積み重ね(断熱・日射負荷軽減機能)外装とした。木粒子の積替えはイベント化され建築と関わり続けるキッカケを与える。木片粒子積層による建築は、環境建築として機能的であり、自然に寄り添い、溶け込み、美しく、ほのかに香りたつ。

ディレクター

畠山文聡

デザイナー

畠山文聡+田中裕介

デザインディレクター/デザイナー 畠山 文聡

利用開始
2011年3月30日
販売地域

日本国内向け

設置場所

奈良県奈良市中町3327-204

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

研究施設は研究対象や研究環境の変化に対してフレキシブルに可変することができる。1層と2層のズレはボリューム軽減を図るとともに、ズレの領域が高度な研究環境へ変化した際の拡張スペースとなる。また、50年100年のスパンでの建物用途の変更に対しても、外壁を取り外すことにより、採光・通風を得ることができるよう計画している。また、配置においては、既育成樹木をそのままに残し、環境を継続させつづけている。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

本研究施設は動物飼育を行う施設である。「動物飼育」を行う研究という負の印象を与える施設に対して、木片積層による外装は、あたたかみを与えまた、周辺の木々に溶け込むことによって、やさしさを与えている。更に、動物飼育による匂いの発生は木片により消臭される。すなわち身体の根源的な感覚に働きかける。美しい自然の中で、この建築はほのかに香り佇んでいる。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

キャンパス内の建築は、建物利用者のみではなく、キャンパス生活を営む全ての学生にとって享受される環境である。すなわち建築単体のデザインではなく、「建築と建築のあいだ」「建築と自然のあいだ」をデザインする行為である。我々のデザインは、この「あいだ」をデザインしたものであり、それにより学生生活を営むすべての学生に対して、やわらかく、豊かな環境を与えている。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

合板生成の過程である丸太の桂剥き後、45φ×1.9mの芯材が出る。高耐候性であるにも関わらず、現状は廃材(リサイクル燃料)としてのみ流通していた。我々は芯材の特性に着目し、粒子状に芯材をカット、ランダムに積層し断熱・外壁保護を図った。自然素材が故の劣化も見据え、木片の入替も可能な構造としている。木材業界の流通に一歩踏み込み、余廃材を建築に転用するという新たなサイクルを提示した。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

外装材である木廃材の積層は、断熱・外壁保護・フィトンチット(消臭・癒し)効果を持つ。木片廃材はリサイクル燃料としてのみ活用されていたが、機能的な外装として転化することで、二酸化炭素排出削減にも寄与している。自然素材が故の劣化に対しては、入替可能な構造としている。ユーザーによる入替えはイベント化され、建築と関わり続けるキッカケを与える。「社会・環境に溶け込む建築」「本質的な環境建築」を提示している。

ユーザー・社会に伝えたいこと

現代は、多様化社会・多価値化社会である。人の活動・感情は同時多発的に自然発生的に生じる。自然の活動とほぼ同様となってきている。固定化することで自然と対立する建築とは異なり、ときと共に風化しながら森と溶け込み、人の活動のきっかけを生み出し、社会・環境に溶け込むデザインは本質的に美しい。その美は自然美と寄り添う。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

奈良県奈良市

審査委員の評価

原生林を含む緑豊かな農学部のキャンパスである、研究特性上開口部を設けることが出来ない。そこで外壁に木片チップ層をプラスし、断熱・日射負荷軽減機能を向上させている。また表情が柔らかく周辺環境と建築を相互に融合させている。経年変化による表情の変化も楽しみだ。腐食などクリヤーすべき課題は多かったと思うが、その挑戦に敬意を表したい。農学部の研究棟として相応しい建築である。

担当審査委員| 北山 恒   乾 久美子   南雲 勝志   廣村 正彰  

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