GOOD DESIGN AWARD

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CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
ゲストハウス [Kangaroo Hotel]
事業主体名
小菅 文雄
分類
商業・産業用途の建築物・空間
受賞企業
株式会社APOLLO一級建築士事務所 (東京都)
受賞番号
11G11036
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

高度成長期の「山谷」は労働者の宿街として知られていたが、不況の昨今、労働者の数は激減し、一時代の終わりを迎えている。浅草にも程近い山谷で生まれ育ったデザイナーの建主は、長期旅行者(バックパッカー)のためにデザインされたスモールホテルをつくることで停滞する山谷が生まれ変わることを夢見ていた。ガラス張りの1階フロアには宿泊者同士が情報交換できるインターネットカフェを、2、3階にはコンパクトな畳敷きの宿泊空間を設え、屋上空間もゲストに開放することでこの建物は総合的なコミュニケーションホテルとして機能し、オープン以来界隈の負の空気を一変させた。街のシンボルとして新たな可能性を生み出し続けるであろう。

プロデューサー

黒崎敏 / APOLLO一級建築士事務所

ディレクター

黒崎敏 / APOLLO一級建築士事務所

デザイナー

黒崎敏 / APOLLO一級建築士事務所

黒崎 敏

詳細情報

http://www.kurosakisatoshi.com/architecture/2009/kangaroo_hotel/index.html

発売
2009年3月31日
販売地域

日本国内向け

設置場所

東京都台東区

問い合せ先

株式会社APOLLO一級建築士事務所
Email: info@kurosakisatoshi.com
URL: http://www.kurosakisatoshi.com/

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

トーキョー・スモール・ステイというホテルのコンセプトには、いつもで気軽に泊って欲しいという期待が込められている。宿泊者が帰る場所という意味でホテルは「家」の役割を果たし、世界中の旅人に加え出張ビジネスマンや受験学生など様々な人々が加わることでまさしく大家族と化している。異なる人々を受け入れる土壌があるこのホテルがオープンして以来、界隈ではかつて無かった挨拶が生まれた。それこそが街の潜在能力である。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

小さな空間で個々の生活を送るよりも、大きなダイニングキッチンやリビングを大勢で分かち合い、楽しく合理的に暮らしたいと願う若者同志が一時的に疑似家族を構成し、共同生活を行うのが「シェア」という現代的なソリューションである。自己空間を最小限にする代わりに、大きな共有空間をもつこのホテルもまさしくシェア空間だ。孤独な生活を送ってきた労働者精神が息づく街の空気を新たに変化させることもホテルの使命である。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

都市には新陳代謝があり、変化に順応するためには膨大なエネルギーが必要になる。それゆえ立ち止まれるカフェのような空間が求められ、カプセルホテルやインターネットカフェのような閉鎖的な個室に秘められたある種の快感が現代人の隙間を埋めている。旅人の疲れや孤独を癒すリビングとしてのホテルは大家族の住居として機能しつつも、様々な個性が集約した都市広場の役割をも果たし、静と動が絶妙に同居する空間となる。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

簡易宿所という多くの居住資源を抱える山谷にはNPO法人や行政の支援団体も増え、居住者の生活再建や被災者の受け入れなど、街の再生が急速に行われている。一般住宅地とも隣接している立地条件から、近い将来増え続ける高齢者や減り続ける若者が当たり前のように空間をシェアしながら新たな家族形態を生み出す可能性もある。このような空間が数多く増えることで更なる多様な人々が集約し、新たなコミュニティは生まれるだろう。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

「トーキョー・スモール・ステイ」は心地良さの指標であり、小さな空間の可能性こそ無限大である。メジャーではなく、日の当たることの少ない下町のマイナーエリアだからこそ、様々な要素が共存でき、変わるしかない劣悪な環境にこそ未来の期待は集まる。このホテルの魅力は集まる人々それぞれが決定できる自由さにある。ホテルには本来そのような柔軟性が必要であり、都市空間には変化を許容する包容力が一層求められている。

ユーザー・社会に伝えたいこと

数多くの労働者が日本を支えていた高度成長期は終焉を迎えた。役割を終え、停滞する「ドヤ街」に建つ新たなゲストハウスには世界中の旅人が集まり、コミュニティが生まれている。失われたコミュニティを取り戻す役割が「コミュニケーションホテル」の存在であり、今こそ街の力が問われている。ここは東北人にとって切り離せない縁のある場所だ。東日本大震災の避難所(コミュニティリビング)として積極的に利用してもらいたい。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

東京都台東区
http://kangaroohotel.jp/

審査委員の評価

全国にある労働者宿は産業構造の変化の中で新しいプログラムが要請されている。小さな一つの建築というプロジェクトの中により良い社会を実現しようとする精神が建築空間のなかに感じられる。建築というものはハードウエアだけでなくマネージメントまで含めた社会的存在として評価されるものだということが良くわかる素晴らしい作品である。

担当審査委員| 北山 恒   乾 久美子   南雲 勝志   廣村 正彰  

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