GOOD DESIGN AWARD

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CC

2011

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
生産施設/展示施設 [御用蔵(御用醤油醸造所)]
事業主体名
キッコーマン食品株式会社
分類
商業・産業用途の建築物・空間
受賞企業
株式会社プランテック総合計画事務所 (東京都)
受賞番号
11G11022
受賞概要
2011年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

御用醤油醸造所、通称「御用蔵」は、1939年に江戸川沿いに建設された宮内省(現宮内庁)にお納めするしょうゆの専用醸造所である。老朽化で大規模な補修工事が必要となり、70年目の節目に移築を行った。コンセプトは伝統と革新。移築前の趣のあるシークエンスを再生すると共に、しょうゆを仕込む木桶、屋根の小屋組、瓦、石垣、門など可能な限りの要素を再利用し、忠実に再現しながらも、中庭部にガラスボックスを挿入して空間を拡張するなど最新技術を用いて価値を高めている。移築後も宮内庁にお納めするしょうゆを伝統製法で醸造しており、伝統的なしょうゆ醸造技術や1939年の御用蔵の建設当時の道具や装置を保存展示している。

プロデューサー

キッコーマン食品株式会社

ディレクター

株式会社プランテック総合計画事務所

デザイナー

株式会社プランテック総合計画事務所(建築設計・監理) 株式会社クオリクス(展示計画)

株式会社プランテック総合計画事務所

詳細情報

http://www.kikkoman.co.jp/enjoys/factory/goyougura.html

利用開始
2010年12月15日
販売地域

日本国内向け

設置場所

千葉県野田市野田110

受賞対象の詳細

開発・企画について

サステナブル社会(持続可能な社会)の実現に向けて、応募対象が取り組んだこと

地域に根ざしてしょうゆづくりを続けてきた建物を取り壊すのではなく、移築という選択をした。これからも地域の歴史を伝承する象徴のひとつとなるべく、材料を再利用して環境負荷を減らすだけではなく、耐震への配慮など将来も見据えた計画とした。ここでは昔ながらの製法でパッシブな環境での天然醸造を守り続けているとともに、原料処理から詰めまでの全工程がわかる展示を五感に働きかけるよう行っている。

デザインについて

「身体・人間」の視点からみて、応募対象が提供できること

江戸の頃から続く伝統的なしょうゆの製造を五感で感じられる工夫や、更に目の前にある機械にAR(拡張現実)の技術を用いて職人をオーバーレイする事で、あたかもその頃の製造を体験している様な、直感的なわかりやすさがある。また、一般のお客様の見学のため建築基準法上は不要であるエレベーターや非常用照明の設置によりバリアフリーな動線を確保している。

「生活」の視点からみて、応募対象が提供できること

普段から慣れ親しんでいるしょうゆという食品の歴史や伝統的な製造方法を通して、親しみや理解を深めてもらうことができ、日常の食生活について考える機会を与えることができる。また、昔ながらの自然環境を活かした工夫が凝らされた建物での体験は、日常生活の中だけでは意識する事が難しい現代のエネルギーの過度な利用について考える一助となるだろう。

「産業」の視点からみて、応募対象が提供できること

御用蔵は、近代産業へと発展した利根川流域等の醸造業の歩みを物語る近代化産業遺産群の一部として認定されている。今もなお、古来からの醸造過程や伝統技術を守り、継承し、続けることで最先端の設備環境でつくられるしょうゆとは異なる味をつくり続けており、更には醸造技術の伝承、資料保存のための施設としての役割を担っている。また、建物の移築プロセスは、木造建築の長寿命化の手法として建設産業の視点でも有用である。

「社会・環境」の視点からみて、応募対象が提供できること

移築のプロセスで実行した様々な材料の再利用及び天然醸造での製造工程は、環境配慮に大きく寄与している。また、しょうゆという日本古来からある伝統的な食品の文化を国際的に伝える施設として、展示機能の拡張による発信力やコミュニケーションの強化や、長寿命化のための耐震性能の向上など、移築に際して付加された新たな価値によって、これまでよりも更に質の高い文化貢献を行えるようになった。

ユーザー・社会に伝えたいこと

持続可能な社会において、建築の長寿命化は命題の一つである。今回は、日本の伝統建築である木造の利点を活かして解体、再利用、再構築のプロセスを実現した。過去・現在・将来のそれぞれにおいてその建物の価値や役割を考え、社会の実情に合わせて性能や機能を更新し、いつまでも使い続けられる「現役」の建物として再生を目指した。御用蔵が将来にわたって地域に根ざし、街や企業の一部として愛され続ける建物であってほしい。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

キッコーマン食品株式会社野田工場製造第1部
http://www.kikkoman.co.jp/enjoys/factory/goyougura.html

審査委員の評価

老朽化で大規模な改修が必要となった宮内庁御用達の醤油蔵「御用蔵」の移築、保存、再生である。可能な限り再利用し元の蔵を忠実に再生している。醤油製造の歴史や行程、道具の紹介と、実際に伝統的な醤油製造方法を継承し現在も宮内庁に納めている。残念なのは新しく付加されたサッシなどの施設にやや違和感を覚えること。さらなる工夫と配慮を期待したい。

担当審査委員| 北山 恒   乾 久美子   南雲 勝志   廣村 正彰  

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