GOOD DESIGN AWARD

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CC

2010

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
橋 および 周辺施設 [長崎 中央橋]
事業主体名
長崎県長崎振興局建設部河川防災課
領域/分類
社会領域 - 土木・環境関連施設
受賞企業
有限会社イー・エー・ユー (東京都)
株式会社建設技術研究所 (東京都)
受賞番号
10D07002
受賞概要
2010年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

長崎市の中心部を流れる中島川には、眼鏡橋や袋橋など古くから多くの石橋がかけられてきた。初代中央橋は、1952年、戦災復興事業の一環として県庁と繁華街とをつなぐために架けられた。笠石と親柱に御影石を用いたシンプルなコンクリート橋は、その後50年以上にわたり長崎の発展を支え続けてきた。本プロジェクトは、中島川河川改修に伴う橋の掛け替え工事であり、橋本体だけでなく周辺の歩行空間やサイン・モニュメント等を含め一体的に整備したものである。歩道部は伝統的な砂岩の斜め張りで、高欄は既存橋の御影石を再利用した石材高欄とし、長崎の風土、川の風景に溶け込み、時間が経っても色あせない橋のデザインを目指した。

プロデューサー

長崎県(河川課、長崎振興局建設部河川防災課、まちづくり推進室)

ディレクター

篠原 修(環長崎港地域アーバンデザイン会議委員、政策研究大学院大学教授)、林 一馬(環長崎港地域アーバンデザイン会議委員、長崎総合科学大学教授)

デザイナー

崎谷浩一郎、安仁屋宗太(有限会社イー・エー・ユー/デザイン)、株式会社建設技術研究所(構造設計)

崎谷浩一郎、安仁屋宗太(イー・エー・ユー)

詳細情報

http://www.eau-a.co.jp/

利用開始
2009年10月3日
販売地域

日本国内向け

設置場所

長崎県長崎市

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

築造後50年以上も利用者の手に触れてきた笠石や親柱を、新たに高欄の一部として再利用すること。また、石橋文化が脈々と受け継がれてきた中島川にふさわしく、石材を用いた高欄とすること。さらに、橋単体として完結するのではなく、まちと人の流れを繋ぎ、川を見ながら歩けるような快適な歩行空間を周辺まで連続させることで、市民に愛着をもって利用され続ける橋を目指した。

デザイナーのコメント

二代目中央橋のデザインは、橋単体の美しさのみを目指すのではなく、まちと人の流れをいかに繋げるかを意識している。さらに、橋がこれまで積み重ねてきた歴史にも着目し、築造当時の人々の思いを形として未来に引き継ぐために、笠石の再利用を実現した。これまで50年以上、人の手に、目に触れてきた笠石は、これからまた50年、100年と使われていく。永く市民に愛される橋として、川の風景になじんでいってほしい。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

橋の周辺は、浜んまち商店街をはじめとした市内一の繁華街で、バス停や路面電車停留所も多く、もともと歩行者のニーズが高いエリアであった。ところが、橋に隣接する交差点を渡るには十字型にかけられた横断歩道橋をのぼらなければならず、中央橋付近は歩行者にとって不便なルートであった。本プロジェクトでは歩道橋を撤去して横断歩道を新設する計画であったため、例えばお年寄りなど橋を渡る利用者が増えると予想された。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

歩行者の利便性が向上した結果、上下流の橋を含め回遊動線が多様化し、まちに活気を与えるきっかけとなったことが非常に重要な効果である。橋詰の溜まりスペースから立ち止まって川を眺めるお年寄りや、下流側歩道内にある既存樹(クロガネモチ)足元の休憩スペースでくつろぐ若者、リニューアルしたトイレを買い物帰りに利用する人々など、開放的になった橋の周りには多くの人々の姿が日常的に見られるようになった。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

物資が豊かでない時代に架けられた中央橋だが、やわらかい形状の笠石・親柱や青銅製の橋名板など、人々の復興への想いが感じられるような材料が使われていた。それらを再利用し、中島川にふさわしい石材を基調とした橋としてデザインした。また、架橋経緯の解説サインや、架け替えの契機でもあり、眼鏡橋が流されるなど甚大な被害をもたらした長崎大水害のモニュメントを改修し、様々な形で歴史・地域文化の継承を試みた。

審査委員の評価

長崎市の中心部を流れる中島川に、戦災復興事業として1952年に架けられた県庁と繁華街を繋ぐ中央橋の初の掛け替え事業。中島川には、眼鏡橋など多くの石橋が架けられており、長崎市の文化・観光の地といえる。このような土地柄に配慮し、掛け替えに伴い新たな造形を施すのではなく、既存の高欄部の笠石を再利用するなど、初代の中央橋の造形のありようを大切にしながら、高欄に開口を設け川面への視線を通し、橋詰のたまり空間に川への視点場を確保するなどの工夫を施している。人と川との関係を考えた細やかで優れた関係のデザインである。過去の記憶を大事にしながらも、現在、そして未来に、この橋のさりげない魅力が継承されるであろう。

担当審査委員| 南雲 勝志   森田 昌嗣   安田 幸一  

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