GOOD DESIGN AWARD

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2010

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

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受賞対象名
パビリオン [ネットの森]
事業主体名
箱根彫刻の森美術館
領域/分類
社会領域 - 公共・文化教育関連施設
受賞企業
株式会社手塚建築研究所 (東京都)
受賞番号
10D06021
受賞概要
2010年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

木漏れ日が落ちる深い森と、その中にかかった蜘蛛の巣。ネットの森は堀内紀子のネット作品の周りに作られた柔らかな領域である。外でもなく中でもない境界のはっきりしない場が、子供が群れ踊るカラフルのネットの周りを取り囲む。キャンプファイヤの火を取り囲むように子供を見守る親達は、積み上げられた巨木に登り座り思い思いのくつろぎの姿勢を見つける。 ネットの森には589本320トンの材木が使われた。組み合わせには一切金物が使われていない。失われつつある日本の伝統工法と世界最先端の構造解析の融合である。奈良や京都の堂宇のように数百年の時を越え、風景へと同化しつつ文化遺産として未来へと引き継がれる筈である。

プロデューサー

財団法人彫刻の森美術館

デザイナー

手塚貴晴+手塚由比,株式会社手塚建築研究所

詳細情報

http://www.hakone-oam.or.jp/

利用開始
2009年5月1日
販売地域

日本国内向け

設置場所

神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

ネットの森が達成したのは、日本の伝統工法と世界最先端の構造解析の融合である。いま日本の伝統工法の技は失われつつある。現代の建築基準法は金物を使わない本来の木組みを許していない。理由は通常の構造解析技術では木の不確定な動きを予想することができないからだ。今回我々は最先端の構造解析プログラムを駆使することによって、伝統の技を現代にしか実現できない合理的な方法で復活することに成功した。

デザイナーのコメント

建築は構造から逃れることはできない。いかに構造が進化して自由な形態が可能になろうとも、構造は建築の存在を支配し続ける。ネットの森はランダムに見えながら極めて合理的な構造である。一本として無駄な部材は存在しない。木の特性である剪断と曲げモーメントの微妙な塩梅の上に立脚する、全く新しい幾何学である。589本の部材は断面、長さ、組み合わせ角度その全てが違う。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

ネットの森は、「箱根彫刻の森美術館」全体のメンテナンスの一環として実現した。利用者はここを訪れる全ての人々。美術館も創立40年ともなると当然のことながらいろいろと不都合が生じてくる。行き止まりの動線や車椅子を押すのがたいへんな急勾配。育ちすぎた庭木。老朽化した設備。使わなくなった仮設建築群。7ヘクタールに及ぶ広大なランドスケープから建築に至るまで全ての細々とした諸問題が山積となっていた。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

彫刻の森美術館は,その英文名Hakone Outdoor Museumの示すとおり,屋外美術館である。出来る限り建築は見えない方が良い。緑の中に彫刻が散在しているのが理想である。よって我々の仕事は建築を作ることではなく,今ある余計な建築を壊し自然に帰すことであった。ネットの森は、アーティスト・堀内紀子のネット作品を展示する場として、外でもなく中でもない柔らかな領域となっている。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

今回我々は最先端の構造解析プログラムを駆使することによって、ネットの森を実現した。実現のため、二つの部材の接合部にダボ部材と楔部材、上の部材のみを欠き込み、上の部材の自重を利用して下部材に嵌合するだけで完成する剛のジョイントを開発した。設計においては上記の新技術に加え、日本の伝統技術である出雲大社の柱接合部の楔の技術、清水寺の柱梁の接合部と水勾配技術、厳島神社の大鳥居の技術を背景に持つ。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平 1121 箱根彫刻の森美術館内
http://www.hakone-oam.or.jp/

審査委員の評価

箱の彫刻の森美術館に2009年に設置されたネットの森の鳥の巣のような造形は、そのスケールにもかかわらず、周囲の景観に対し自然に存在している。それは一見不定形ともみられる半屋外の大空間を、大断面木材589本の木組みで構成し、金物は一切使用していない。一見訪れた人を楽しく迎える施設でありながら、その背後に日本の伝統建築工法の研究と独自の構造解析の上に成立している。しかし伝統工法といえども屋外である。風雨は直接木材に降りかかる。その経年変化は屋根付きの何倍も早い。それを毎年のオイル掛けと30年ごとのメンテナンスでそれを補うプログラムも含めて秀逸である。

担当審査委員| 南雲 勝志   森田 昌嗣   安田 幸一  

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