GOOD DESIGN AWARD

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2010

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
美術館, 賃貸オフィス [山種美術館 / YMATS HIROO]
事業主体名
財団法人山種美術財団、株式会社トミーキャピタル
領域/分類
社会領域 - 公共・文化教育関連施設
受賞企業
財団法人山種美術財団 (東京都)
株式会社日本設計 (東京都)
受賞番号
10D06005
受賞概要
2010年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

良質な近・現代日本画を専門とする山種美術館が、賃貸ビル内のテナントとしての美術館から自己所有建物内の美術館として移転するために計画された、別会社の賃貸オフィスとの複合建築。西側道沿いの外観は素材感のある短冊を重ね、外観的にも「オフィス・イン・ミュージアム」を目指した。美術館・オフィス共用としたエントランスロビーは、建物利用者全員が日本画美術館らしい印象を感じられる空間とした。ここで実現した、他用途との複合による合理的なプログラム、街に開かれた共用部、周囲と融合した景観、特定の作品種類に最適化した展示空間は、都心の小規模美術館のあり方として一つのプロトタイプになり得るものと考えている。

プロデューサー

財団法人山種美術財団 理事長 兼 山種美術館 館長 山崎妙子

ディレクター

株式会社日本設計 プロジェクト統括本部 チーフアーキテクト 山下博満

デザイナー

株式会社日本設計 第3建築設計群 主任技師 市丸貴裕

デザインディレクター:山下博満 / デザイナー:市丸貴裕

詳細情報

http://www.yamatane-museum.or.jp/index.html

開館
2009年10月1日
設置場所

東京都渋谷区広尾3-12-36

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

①街路に開かれた空間、周辺と調和する外観 ②時を経ても陳腐化しない普遍性をもつ空間 ③落ち着いた静やかな体験ができる内部空間 ④日本画のやさしい雰囲気を最大限に引き出す素材・色彩・技術の展開 ⑤快適なオフィス環境 ⑥他用途との複合による共用空間の構成や維持管理費削減についての合理性と相乗効果 である。

デザイナーのコメント

美術館は本来、作品を保存・鑑賞する場所であるが、特に小規模美術館においては敷地の状況や事業的背景等により、その「あり方」が多様化している。山種美術館もオフィスとの複合化の下、展示室を最大限確保することを主眼に合理的な空間構成が求められた。このような中、機能的、意匠的にも優れた美術館とするために、設計者として課題と柔軟に向合い、それらが補完しあう繋がりのある空間をつくることが最も重要であると考えた。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

応募対象建築物は、ノーマライゼーションの観点に基づき、空間構成がわかりやすく、かつ、バリアーフリーに計画されている。また、美術館への来館者、賃貸オフィスへの入居者や訪問者など直接的に建築物を利用する人々はもとより、景観を共有するという社会的な利用者の視点においても十分考慮されたものになっている。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

外装やエントランスロビーなどの主たる共用空間を美術館にふさわしいデザインとすることで、所有者のみならず賃貸オフィス利用者が文化的ステイタスとしての価値を得ることにつながっている。また、美術館運営者は、構造躯体や主幹設備の共有化によって、合理的に展示空間を最大化・最適化することが可能となり、収益性の向上と維持管理費の低減が実現可能となった。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

西側道沿いは、街並と一体化したロビーとカフェを間口一杯に配置し、三角断面の低い生垣をゆるやかな結界として沿道空間を魅力ある設えとした。また、その上空は短冊状の花崗岩打込PC板を重ねた風合いのあるファサードとして、かつ、オフィス空間への西日対策と学校への視線制御とをあわせて解決した。東側は、段状のバルコニーを緑化することで快適なオフィス環境を提供し、住宅地への日影対策と圧迫感の軽減も併せて解決した。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

東京都渋谷区広尾3-12-36
http://www.yamatane-museum.or.jp/index.html

審査委員の評価

竹内栖鳳の班猫、速水御舟の炎舞等の著名な近代/現代日本画のコレクションを有する山種美術館が自己所有の複合建築として生まれ変わった。質の高い美術館展示室を温度変化の少ない地下に設け、1階はガラス張りのエントランスとカフェで閑静な住宅地に開かれている。上階には別会社が運営する賃貸オフィスなっているが、石張りの袖壁がリズミカルに雁行し、美術館施設の風格を持たせている。美術館は運営も厳しい中、都心の美術館運営の新しいあり方を端正な建築とともに提示した意欲作である。

担当審査委員| 南雲 勝志   森田 昌嗣   安田 幸一  

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