GOOD DESIGN AWARD

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CC

2009

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
ダンススタジオ兼ALS患者独居住宅 [スペースALS-D]
事業主体名
チームALS-D
領域/分類
ネットワーク領域 - パブリックコミュニケーション
受賞企業
京都工芸繊維大学 (京都府)
受賞番号
09E16008
受賞概要
2009年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

京都西陣に残る織屋建京町家は、奥に吹き抜けの織場が設けられた職住一棟型の、京都の歴史文化が根付いた地域資源である。空家だった築80年の建物を、四肢機能全廃、気管切開し言葉も話せない重度ALS患者の独居住宅と彼の支援者である舞踏家のスタジオとして、支援者達のセルフビルドで再生した。そして現制度では困難な24時間完全介護環境を、研究者らによる行政への働きかけや舞踏関係者がヘルパーとなることにより構築した。ケアとアートと学問の協働で生まれたこの場では、舞踏活動の拠点のみならず地域の重度障害者のケア環境向上も目指し、患者とヘルパー間のコミュニケーションツール開発やヘルパー育成の研修会なども進める。

プロデューサー

甲谷匡賛、由良部正美、志賀玲子

ディレクター

阪田弘一、映像・写真:草本利枝

デザイナー

空間:京都工芸繊維大学阪田研究室、谷本天志、堀川勝史、池上将暢+プロダクト・制度:立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点+記録:岡本晃明

現場で患者に療養空間の仕上がりのイメージを伝えるデザイナー

利用開始
2009年3月27日
販売地域

日本国内向け

設置場所

京都市北区

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

全身の筋肉が麻痺していくが五感は保たれるALSは、安楽死問題で焦点となってきた難病である。また社会問題である介護従事者の不足がこうした患者の生を脅かしている。本件はアート(身体表現)と学問(建築、社会福祉)とケアの協働により、空家だった京町家をALS患者の住居とダンススタジオとして再生活用する過程を通じ、医療福祉制度の課題発信、ALS患者の独居モデル構築、アートを介したヘルパー育成の場を目指す。

デザイナーのコメント

空間の有り様が、そこで過ごす人の生に深く関与するものであることは、根本的なことであるにも関わらず、自身を含め作り手はつい見失いがちです。患者の生きる意思と様々な領域の支援者の協働により、ともすれば安楽死を選択せざるをえない難病患者が支援者やアートとの交流を通して積極的に生を営める場を生み出せたこのプロジェクトは、微力ながら一翼を空間が担えたという手ごたえを取り戻す貴重な機会を与えてくれました。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

①重度ALS患者、②舞踏を含む発表の機会や場所を求めるアート関係者やその鑑賞者、③患者の24時間完全介護を支える、身体表現者らを軸に構成されるヘルパー、④ヘルパー志望者、身体表現などのWSの講習者、⑤先駆的な重度ALS患者の在宅独居スペースの見学者、⑥建築や社会福祉を専門とする研究者や学生

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

①家族の手を煩わさず、不動無言となっても生きる喜びを手放さずにいられる24時間完全介護の独居生活、②安価でかつ文化的・歴史的価値を持つ独自性のある稽古・発表のための空間、③介護従事による収入確保の場、④実践をともなう研修の場、⑤患者やヘルパー間の交流の場、⑥難病患者を取り巻く実態の調査、行政との交渉、建設などの実践を通しての、空間整備や医療福祉制度の課題発見や提案の機会、がそれぞれもたらされた。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

①患者の支援者と研究者、法律家らが協働して各種実態データを基に行政との交渉に臨み、舞踏関係者で構成されるヘルパー陣による24時間完全介護環境を構築することができた。またこのプロセスを新聞やシンポジウム等を通じ制度上の課題として発信することができた ②居住空間と作業空間を持つ織屋建の京町家を探し、その空間特性を活かして景観に配慮した患者の療養空間とダンススタジオを併設する建物への再生を果たした

その問題点に対し、どのように対応したか

①重度障害者のケア環境改善 介護従事者の不足が社会問題となっており、重度障害者は入院生活を脱却できないか家族介護に委ねられ、安楽死問題などが持ち上がる深刻な状況であるが、問題解決は介護報酬単価と介護負担のアプローチか無償の奉仕精神で語られがちである ②地域資源の持続的活用 歴史・文化的価値を持つ地域資源である建築物が、老朽化や税金、流通に乗りにくいなどの理由で空家化したり取り壊しに至る状況

審査委員の評価

重度疾患の患者のケアの場と、舞踏のスタジオというアートの場を融合させた、重要かつ全く新しい試みに対して審査において高い評価を集めた。この場から投げかけられる様々なメッセージは、多くの示唆に富んでいる。

担当審査委員| 永井 一史   佐々木 千穂   中村 勇吾   中谷 日出   福冨 忠和  

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