GOOD DESIGN AWARD

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CC

2009

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
「さとうきび畑」 [沖縄全戦没者追悼式典会場]
事業主体名
沖縄県
領域/分類
社会領域 - 土木・環境関連施設
受賞企業
沖縄県立芸術大学 (沖縄県)
受賞番号
09D07002
受賞概要
2009年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

沖縄県では、毎年6月23日に沖縄全戦没者追悼式典を行っている。2007年、開催50回を迎え既設の菊花祭壇を見直し、新たな追悼の場を創作することになった。本作品は、この3年間に実施された追悼式典会場のデザインである。戦時中、多くの県民がサトウキビによって命を繋いだという戦争体験者の話を基に、沖縄を代表する風景とも言える「さとうきび畑」をデザインのテーマとした。環境への配慮から白色紙管を採用し、約500本を会場に展開すると共に、献花台を空中に浮いた姿で配した。その結果、風に揺れる白色紙管の「さとうきび畑」から緑地、モニュメント、空を見渡すことができ、周辺環境と調和した式典会場となった。

プロデューサー

沖縄県福祉保健部福祉援護課

ディレクター

沖縄県立芸術大学 北村義典

デザイナー

沖縄県立芸術大学 北村義典、赤嶺 雅、仲嵩弥愛、井野真実

参加教員及び協力した学生達

詳細情報

http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1949.html

開催
2009年6月23日
設置場所

沖縄県糸満市摩文仁・平和記念公園内

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

本デザインの目的は、式典の機能を満足させながらも、個々人の祈りの世界を生み出すことにある。デザインの中に平和へのメッセージを含み、誰もが共感できる解りやすい表象にすることが重要であると考えた。以下の3点を具体的な目標とした。「平和への祈り、沖縄を想う気持ちの中に小さな感動を伝えたい」 「周辺の自然環境と調和を図る」 「再生可能で環境にやさしい材料を使用する」

デザイナーのコメント

悲惨な戦争の中で微かに命をつないだサトウキビ。戦争体験という過去、追悼の心を繋ぐ今、そして平和な未来へ、時を超えた沖縄の存在として「さとうきび畑」があった。白い紙管に「さとうきび畑」への想いを託しながら式典会場に並べた。沖縄の強い日差しの中、風を受けた「さとうきび畑」が柔らかに揺れ、その先に広がる森と空の彼方へ皆の視線が集まる時、追悼式の会場に反戦と平和の想いが静かに広がっていた。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

沖縄全戦没者追悼式の特徴は、沖縄県民の自発的な参加にあると言われている。当初より本式典は県民の手作りによって発足したものであり、沖縄県が主催するようになってからも、毎年、県民の多くが深い想いを胸に式典へ参加し続けている。また式典への参加のみならず、終了後も日没に至るまで献花と追悼祈念に訪れる人々が後を絶たず、さらには多くの国民がテレビ放送を通じてこの追悼式を視聴している。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

新聞各社の報道では、「飢えや戦火から身を守った、体験者にとって思い入れの深いサトウキビ畑をテーマにしており、空、風、森など周囲の自然と調和を図った」(沖縄タイムス)と好意的に紹介された。また、参加者や遺族会からも、沖縄らしいデザインであったので是非続けて欲しいとの意見が多く、県担当部局は、今後も本デザインを改善しながら継続する意向である。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

上記の課題に対し、白色紙管(長さ4,000mm)約500本を使用することにした。紙管は、サトウキビと同様に微風下においても軽く揺れる様を演出することができ、また自然素材であるため、撤去後も再利用資源として活用できる。紙管設置は、地面に打ち込まれた木杭に挿入する方法を用いた。事前の風雨性能の屋外実験では、紙管が適度にしなって風を逃がすため、かなりの風速まで耐えることが分かった。

その問題点に対し、どのように対応したか

本式典デザインには、あらゆる気象条件下において成立し、かつ短時間の設置が可能であるという追悼式典特有の制約があった。さらには、トラブルが発生した場合、修復が容易で単純な構造が要求された。また材料は、学生や市民自らが設置できる軽さと、地球環境を考慮したリサイクル可能なものを選定する必要があった。

どこで購入できるか、
どこで見られるか

毎年6月23日 沖縄県糸満市摩文仁・平和祈念公園にて
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg1949.html

審査委員の評価

戦没者追悼式の菊花祭壇はニュース報道で毎年目にするところであって、祭壇のデザイン変更は難かしいことだと想像できる。沖縄全戦没者追悼式典でそれが実現したのは、県民の自発的な参加を特徴とし、戦時中にサトウキビが命をつないだとの理由あってのこと。沖縄県立芸術大学が提案した再生可能な500本の白色紙管、空中に浮く献花台は、そうした県民の追悼の気持ちを具現化する適切なものと評価できる。設置に参加する学生と、県民の祈りの姿が目に浮かぶデザインである。

担当審査委員| 南雲 勝志   黒川 玲   田中 一雄   廣村 正彰   森山 明子  

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