GOOD DESIGN AWARD

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CC

2009

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
虎屋 京都工場 [虎屋 京都工場]
事業主体名
株式会社虎屋
領域/分類
仕事領域 - オフィス・店舗・生産関連施設
受賞企業
鹿島建設株式会社 (東京都)
受賞番号
09C05018
受賞概要
2009年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

室町時代に京の地で生まれた虎屋は、日本の歴史と風土に育まれた和菓子の素晴らしさを後世に伝えるために、新しい食品工場の計画地として、和の食材の原点を求め自然環境に恵まれた京丹波の鬱蒼とした森を選定した。新工場に求められたボリュームは自然の中に埋没させ、隠すことができるスケールを遙かに超えていることから、建築全体を幾何学的形態に分節して配置し、大きな起伏と豊かな森という敷地本来の姿に対峙させることとした。この対峙という関係性により、新工場が周辺の山並みと応答し、協調して、新たな景観が創られてゆくことを意図している。

プロデューサー

株式会社虎屋

ディレクター

鹿島建設株式会社 関西支店 建築設計部 担当部長 菅野忠司

デザイナー

鹿島建設株式会社 関西支店 建築設計部 設計長 吉野博史

KAJIMA DESIGN 吉野博史

竣工
2007年11月7日
設置場所

京都府南丹市八木町北広瀬城谷口68番3

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

見え隠れする勾配屋根、蔵をイメージさせる切妻屋根の連なり、地元丹波生野石の石垣やアカマツの縦格子という里山景観に馴染む建築と緑化ブロックを敷き詰めた段々畑(駐車場)、四季を彩る花木植栽や郷土種植栽の景観デザインとが融合し、里山の風景を再現している。また、出土した古墳の保全、既成するヒノキ林の保存等、環境保全に努めた。こうした試みが、さらに広域の自然との共生に展開してゆくことを期待している。

デザイナーのコメント

敷地が決定して早々に現地調査に出向いた。伐採前の敷地を谷筋に沿って進むが、敷地の全体像が把握できない程草木が生い茂り、飛び交う虫と鳥の鳴き声のみが聞こえる静粛した光景であった。この環境をいかに守り、いかに周辺への影響を軽減するかが最大の課題であった。周辺環境と共に生きる新たな景観形成が、機能として効果的な環境負荷低減が見出せない食品工場設計において、一つの指針になればと思う。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

虎屋はいつの時代も伝統の技術に新しい感覚を盛り込み、最良の原材料を使用して最高の品質の和菓子をつくることに傾注してきた。伝統とは革新の連続であるという信念のもと日々努力をし、時代の流れを読みつつ常に前進しなければならないと思っている。今の時代において最大の努力をはらうことで和菓子の素晴らしさを、後世に伝え、おいしい和菓子によって、お客様が心に潤いを感じて頂くことを喜びとしている。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

日本の歴史と風土に育まれた和菓子を創る環境として、周辺環境と調和・共生する景観形成、和を想起する空間設計、信頼性の高い品質を確保するHACCP対応施設という3つの課題に取り組み、和菓子製造工場としての、あるべき姿を追い求めるとともに、安全で安心な和菓子を提供できる製造環境を実現した。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

険しい谷間に位置する当敷地では敷地造成後の建築工事では、周辺の山々がほとんど削られて無くなってしまう。そこで、開発工事と建築工事を同時に行い、切り土面からの片側土圧を建物全体で受け止めることで、建築が周辺環境へ及ぼす影響を最小限に軽減する計画としている。また、掘削土は表面の腐葉土を除き全て敷地内で処理し、自然環境への配慮を徹底した。

その問題点に対し、どのように対応したか

眼前に桂川、背後に筏森山が連なり、左右に小高い山が迫り出した計画地に対し、周辺環境に対峙する建築が周辺の山々とどのような関係性をもち、景観をいかに守るかが課題であった。建築を山と山にかかる“橋”や周辺の山々へと連続する“背景”として位置づけ、自然と対峙する建築がダムのように自らの存在を主張するのではなく、自然に溶け込み、周辺環境と調和する関係性を築くことを試みた。

審査委員の評価

建物のボリュームを考慮し、無理をして、工場を地下化するようなことをせず、外部の仕上げ材や配置によって、自然豊かな周辺環境との調和を果たしているのが評価できる。外光についても、重要樹木を保存したり、郷土種を使った植栽計画を行うなど、評価できる点は多い。

担当審査委員| 隈 研吾   芦原 太郎   乾 久美子   佐藤 可士和  

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