GOOD DESIGN AWARD

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CC

2008

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
自然落下式・ポンプ接続兼用輸液セット [エクスフリー輸液セット]
事業主体名
テルモ株式会社
領域/分類
社会領域 - 医療・福祉に用いられる機器・設備
受賞企業
テルモ株式会社 (東京都)
受賞番号
08B10022
受賞概要
2008年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

手術後の患者には輸液管理(点滴)が必ず必要になる。集中治療室では患者の体内に入る1本の輸液ライン(チューブ)に対して5本ものラインが接続されることが多い。そのため、複雑に連結された輸液ラインの管理は様々なリスクを伴っている。流量調整ミス、接続外れなど命の危険に繋がる問題が頻発しているのが現状である。また、患者の容態の変化に応じて次々とチューブを足していくため、体内へ細菌が侵入するリスクや過剰な連結部品の準備が必要であった。エクスフリー輸液セットは1本のラインから必要な分だけを安全に追加できるようにすることで輸液ラインの事故を低減し、シンプルかつ安全に手術後の輸液を可能にしたものである。

プロデューサー

テルモ株式会社 ホスピタルカンパニー 第1グループ プレジデント 池田賢一

ディレクター

テルモ株式会社 マーケティング室 室長 木田健一

デザイナー

テルモ株式会社 マーケティング室 デザインチーム 井尻朋応、坪田潤、大橋広孝+レオデザイン 綿貫盛征

発売予定
2008年10月1日
価格

3,600円

販売地域

日本国内向け

受賞対象の詳細

応募対象が達成しようとした目標

本製品の目指す最も重要な目標は、手術後の複雑で困難な患者の容態管理において、道具や環境による事故リスクを無くすことである。▼細菌混入のリスクを抑え安全に輸液ラインの増設をできること。▼最もプリミティブな流量調整機能であるローラークレンメ(流量調整パーツ)を安全かつ正確に機能するものにすること。▼患者ごとに組み立てていたラインを標準仕様1つで可能にし、看護師の負荷を軽減すること。

デザイナーのコメント

医療機関で点滴などに用いられている道具は人の血液などに触れることから、当然ながらディスポーザブルになる。そのため、消耗品へ対する価格要求は厳しく商品改良に取り組むことが困難であった。しかし、複雑さやシステムの未熟さゆえに脅かされる患者の命を目の前にすると、少しでもリスクを削減しなければならない。治療の一部だが、多くの人の思いが交わる場に用いられる商品であり、より進化しなければならない道具である。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

ターゲットは医療従事者である。特に集中治療室などで働く医師や看護師を想定している。これらのユーザーは集中治療室の患者へ対して10種類近くに及ぶ薬剤を用いて、容態の回復を目指しており、難易度の高い医療を行っている。そこでのミスは患者の命に直結する可能性が非常に高い。患者の容態の変化に注意を払わねばならない中、使用する道具へ対して注意が向けられているのが現実である。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

▼従来、輸液ラインの追加変更は複雑な作法が必要であったのに対し、エクスフリーは短時間で、かつ細菌混入のリスクの低い輸液ラインの追加を可能にした。また、確実なロック機構によりラインの接続外れのリスクを無くすことができた。▼輸液ラインは患者の容態に合わせて様々な想定をして準備をするため、スキルと時間を要していた。そこで、標準ライン1本で対応を可能にしたため、看護師負荷を軽減することができた。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

▼エクスフリー輸液セットは従来品と比較すると高価になる。しかし、安全性と簡便性を実現することで高価なものであっても受け入れられることが分かった。▼従来のように看護師が経験的スキルで準備していたものに対し、標準仕様1本をセットするだけにした。そして、ラインの増設を容易に行えるようにし、接続方法もロック機構にすることで外れる不安を無くした。それらは看護師の負荷を大きく軽減することに繋がった。

その問題点に対し、どのように対応したか

▼集中治療室では複数の薬剤を医師や看護師が高度な判断をもとに取り扱っている。しかし、そこで使用する道具はプリミティブなものが多くコストの関係上、安全や分かりやすさといった最も重要な課題に対して取り組まれていなかったのが現実である。▼輸液ラインの準備や管理は医療過誤における上位のリスクファクターである看護師の負担の増加に繋がっており、本来向けなければならない患者への意識は削がれている。

審査委員の評価

消耗品であるがゆえになかなか開発が困難であった商品に果敢に取り組んだことをまず評価したい。その結果、明らかに今までより進歩した商品をデザインで実現している。「パーツの寄せ集め」から「システム化」を計りながらかつシンプルなものとなっているすばらしい商品である。単純なようで複雑な商品であり、その努力の成果が見て取れる。

担当審査委員| 森山 明子   大月 ヒロ子   福田 哲夫   渡辺 誠  

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