GOOD DESIGN AWARD

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CC

2008

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
YKK健康管理センター [YKK健康管理センター]
事業主体名
株式会社アプルデザインワークショップ
領域/分類
産業領域 - オフィス・商業施設、生産施設
受賞企業
株式会社アプルデザインワークショップ (東京都)
東京大学 (東京都)
受賞番号
08B09035
受賞概要
2008年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

富山県黒部市に本拠をおく企業の診療所である。敷地は将来広大な森となるべく整備中の工場緑地内に位置している。森には「ルーム」と呼ぶ芝生張りで矩形のオープンスペースをいくつか設ける。そのひとつの「ルーム」の二辺を限るように建物の壁面を配置することで、ランドスケープと建築の一体化を意図した。外壁面は、地中梁に使用されるラス捨て型枠工法を採用し、型枠材の錆びがコンクリート面に時間の経過を刻印することを目指した。一方屋根面は壁と対比的に白く薄い板として軽快に浮かばせ、内部機能を反映した凸形状を与えている。壁と屋根の隙間から光を取り入れ、光と影による印象的な内部空間を作り出している。

プロデューサー

YKK株式会社 代表取締役社長 吉田忠裕

ディレクター

東京大学教授(新領域創成科学研究科,工学部建築学科兼任)大野秀敏

デザイナー

株式会社アプルデザインワークショップ 代表取締役 吉田明弘

写真左:大野秀敏、写真右:吉田明弘

利用開始
2008年3月3日
販売地域

日本国内向け

設置場所

富山県黒部市吉田200番地

受賞対象の詳細

デザイナーのコメント

企業の地球環境への貢献として、海外移転で空いた工場跡地に、地域の本来の植生で構成された森を苗木から育てる、と言う壮大な計画のまっただ中にこの建物は建っている。建築のまわりに植えられる苗木が将来森となり、建物が森の中に埋没すると言った長い時間軸の各場面において、ランドスケープと建築を統合した環境デザインを目指した。同時に医療施設として患者にとって安らぎのある環境形成も大きな目標であった。

使用者、社会等への取り組み

どのような使用者・利用者を想定したか

建築施設の第一儀的な利用者として、受診する患者と企業医を初めとする医療、事務スタッフ。全世界の社員の健康情報を管理する部門の職員。同時に、この建物は工場根のメインアプローチ道路沿いに位置するので、この緑地を見ながら訪れる会社への来客、近隣住民も対象として重視した。

その使用者・利用者にどのような価値を実現したか

工場内空地に森を創る=自然を復元する試みの中に位置づけられた診療所建築として、緑地と建築の共生の形を提示できたこと、同時に、衛生一点張りで人間味を失った診療室に、森を視覚的に取り込むことで、安らぎのある診療室を実現したことを上げたい。緑が健康にもたらす好効果については実証的な研究成果が医療建築関連の学会にある。

社会・文化および地球環境の視点から解決すべき問題点

人々に愛され、長く使われるためには、機能性は当然としても美しい環境である必要がある。森の形成課程で、異なる段階それぞれの美しさを発揮できるランドスケープデザインを目指した。また、外壁をラス捨て型枠とすることで、熱帯雨林を消費する合板型枠の使用を減らし、表面のラスが錆び、果ては雑草も生えることで。建築が時間と共に味わいを増してゆくエージングのデザインを目指した。

その問題点に対し、どのように対応したか

企業が森を再生するというかたちで地域貢献をする例は少なかったが、その意義が見えるまでには森の形成の長い時間を待たなければならない。また、環境建築は往々にして機能的、機構的問題として提案されるが、それが長く使われなければ結果的に地球環境への影響を減らすことはできない。

審査委員の評価

芝生が広がる豊かなランドスケープと水平に展開し伸びやかな建築とのバランスが心地よく、企業の医療拠点という機能にぴったりと合っている。壁面に採用されたラス捨て型枠工法は、建築が地面から生え上がったような感覚を呼び起こし、地面との密接なつながりを強調している。このずっしりと重い壁面から軽快な印象の白い屋根がガラスを介して浮かび上がり、建築全体の重量感をうまくコントロールしている。

担当審査委員| 安田 幸一   乾 久美子   川上 元美   北山 恒  

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