GOOD DESIGN AWARD

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CC

2018

GOOD DESIGN|グッドデザイン賞

受賞対象名
戸建住宅 [大屋根の家]
事業主体名
三浦 光力
分類
戸建て住宅
受賞企業
株式会社酒井建築事務所 (鹿児島県)
受賞番号
18G100858
受賞概要
2018年度グッドデザイン賞受賞概要

受賞対象の概要※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。

概要

鹿児島県の奄美大島にある、海に面した集落に建つ戸建て住宅のプロジェクト。室内の建築面積と同等の広さを持ち、地面まで到達する大屋根をかけた半屋外の軒下空間を持つ住宅である。台風、スコール、塩害、恒常風、強い日射といった強烈な自然環境条件でも住宅を閉じる方向でデザインするのではなく、外部に開き・接続することでより地域に根差した豊かな環境を作れるのではないかと考えた。日影となる大屋根の下は、南北に抜ける風が常に通り抜ける心地よい外部空間となり、地域に開かれた『ゆらい処』(=島の方言で『みんなが集まる所』の意)として機能している。施主の若い夫婦と小さなお子さんも憩いの場として積極的に使っている。

デザイナー

酒井 一徳

利用開始
2017年7月
設置場所

奄美大島

受賞対象の詳細

背景

施主の、特にご主人は大きなガレージや庭を希望していた。予算にも限りがあったため、大きな屋根を外部に掛けることでより自由に使える半屋外スペースが出来るのではないかと考えた。この大きな屋根の下は様々な行為を許容してくれる、単なる車庫や遊び場だけでない集落コミュニティの一端を担う可能性のある空間であると気づき、室内空間の構成も含め、より住宅を外部に向けて開放・拡張可能なものを目指すこととした。社会的背景に目を向けると、近年奄美においても祝い事・集まりを家で行わない家庭が増えてきている。住宅も、集まることを前提としない住宅が増えているようで、いま集落の中に建つ住宅を再考するのは非常に重要であると考えた。そこで、大きな屋根を室内のキッチン・ダイニング・リビングと一体の、人の集まることもでき、ガレージでもあり庭でもあり宴会場でもあるような大らかさを持つ、日影で風の抜ける心地よい空間としてデザインした。

経緯とその成果

大屋根を構造的に扱うことで屋内の耐力壁を減らし、外部空間と連続する屋内空間を広々とした空間にできた。

デザイナーの想い

奄美大島に生まれ育った設計者にとって、奄美の文化を生かして継承していくことは責務であると考えている。 集落というコミュニティの形の最小単位は、住宅・土俵のある集会場・小さな商店で出来上がっており、人同士の繋がりを生む機能を住宅がしばしば担ってきた。しかし台風や日射等の過酷な自然環境と、プライバシーを守りたい施主の思いもあり住宅は基本的に閉じたものとなっている。それでも人同士がつながることで生きてきたという集落の歴史も、現代のライフスタイルと相まって薄まっていくのが自然なのかもしれない。その中でコミュニティを継承するために設計者が出来ることは、ちょっとだけ集落に向けて扉を開けているようなふるまいの住宅を考え、施主に共感してもらい、実現する事なのではないだろうか。人が集まるパブリックと、施主のプライベートの共存を考える事は、今後の奄美の文化を引き受けるためにも重要であると改めて感じさせられた。

仕様

敷地面積:344.15㎡ 建築面積:91.97㎡ 延床面積:124.83㎡ 木造2階建

どこで購入できるか、
どこで見られるか

奄美大島

審査委員の評価

切妻屋根の片側を着地させ、屋根下空間の半分を半屋外として開放した、大胆な住宅である。奄美大島の厳しい自然環境や住まい方を考慮した上で、この形式が導き出されていることが興味深い。大屋根により、住宅は半屋外空間に対して大きく開くことができ、同時に地域の居場所となりうる空間を作り出している。伝統的な家づくりを継承していくことのみが地域に根ざした家づくりではないということを示す、挑戦的な住宅である。

担当審査委員| 仲 俊治   小見 康夫   手塚 由比   栃澤 麻利  

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