| 1999年度は「文化成長型Gマーク元年」 | |
| 1999年度グッドデザイン賞 審査委員長 中西 元男 |
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今年度のグッドデザイン賞(Gマーク)最大の特色は、昨年度の変化刷新をより一層の変革の姿勢を加えて推し進めたことにある。 結論から先に言うと、本年は、わが国のデザインに関わる「文化成長」を促すことで経済成長をも刺激牽引していくパラダイム(福祉成長や環境成長までを含めた広い意味でのそれ)を描き、目標に向かって具体的な歩みを始めた「文化成長型Gマーク元年」と位置づけられるだろう。こうした変革の指針が、今後のGマークに向け、いくつかの新しい芽と確認を与えてくれた。 審査方法の改訂や応募状況、審査過程等の詳細については事務局からの報告に委ねるとして、ここでは主に、'99Gマーク制度革新「Gマークは動く」の基本理念と目指す方向につき述べていこう。 思い切って「デザイナー村から出て行こう」 今日のわが国デザイン界は、自らの領域策定を自身に課すことで勝手に視野狭窄に陥り、現実の社会や生活と乖離現象を引き起こしているといえる。Gマークとて決して例外ではない、との前提に立ち、制度自体を原点から見直していく姿勢を大切にしてきた。 物質的に恵まれ、徐々に集団主義的価値観から抜け出し個の主張や自立を求め始めたわが国の生活者たち、それに応えていこうとする企業や行政、そこからのデザインへの期待や要求は日々に高まりを見せるが、デザイン関係者側の備えは十分とはいえない。それは、「デザインに関わる問題は全てデザイナーが解決する」との誤解が、デザイナー側にもそれ以外の人たちにもあるからだろう。今日のデザインはそれほど簡単ではない。高度なソフト・複雑なネットワーキングや街づくりといったテーマは、到底デザイナーだけの手に負えるものではないし、専門領域に閉じこもって解決できるものでもない。たとえば一般的な「形・色・模様といった狭義のデザイン」なら、レベルさえ問わなければパソコンで誰でもデザイナーになれる時代である。 加えて、市民生活者の「デザインを楽しむ現況」はかなり多様な要求レベルにある。モダーンデザインの系譜上に位置づけられ、特に応募企業側から「Gマークスタイル」などと限られた見なされ方をしてきた従来型のそれでは、到底今日のデザイン・インフラにはなり得ない。もっと卑近な言い方をするならば、「花柄だって優れたものならば積極的に贈賞していく」受容力がなければ、Gマークに「街や生活を埋めていくデザインの先導役」などは務まらない。 こうした視座から考えると、デザイナーは明らかにこれまで専門領域と見なされてた「村」から抜け出さないと、新しいデザインの役割や地平は見えてこないといえよう。 1999年度の応募と選考、その特色 「一次審査は書類選考だけとし初期費用を安くした」「部門構成を作り手分類から、受け手発想・使い手発想分類に変えた」「一部に審査委員推薦制を採り入れた」「金賞・大賞ともに公開審査とした」「自ら応募理由を決めて参加するテーマ部門を設けた」等々、詳細説明は他に譲るとして、こうした一連の変革の背景には、できるだけ中身をオープンにし問題・指針とも明らかにしながら、デザインの発注者・デザイナー・生産者・提供者・使用者といった多くの人たちの参加の中で「優れたデザインに満たされた生活」を市民運動化し育てていきたいとの希望が託されている。 応募にあたってのテーマ部門への参加を見ていると、中には審査委員に「一体どこをGマークで認めてもらいたいのだろう」と応募意図を考え込ませるものまであり、当事者が考えていた以上に「広い範囲でGマークは期待されている」との実感が持てたのが何よりの収穫だったろう。 選考面での最も大きな変革は、従来型評価に加え「今はまだ及第点に達していないが将来の可能性を応援する」というデザイン振興賞的な評価軸が組み込まれた事だろう。ここでの対象は概ね地域振興や川下産業に関わる新タイプの応募者に多いが、今後、地方の自立や日本人の生活の個性化多様化に果たす役割が大きいと判断したからである。 結果、10月14日の表彰式には、14の金賞・6つのテーマ賞の中から選ばれた大賞候補7作品に関し、公開審査を行い「グッドデザイン大賞」が決定、表彰への運びとなる。 "Good Design is Good Buisiness."の発想 従来のGマークは言ってみれば、上から下への「お役所表彰」の主旨で存在していた。それが昨年度の民営化により、自立自営を前提の運営が求められる一方、今年度は、43年もの歴史を重ね世界でも最大規模のグッドデザイン賞制度を、継承発展させるシナリオ書きも大きな目標であった。 "Good Design is Good Buisiness."は新しいGマークのあり方への提唱であり、今後は単に賞の授与だけでなく、受賞作が売れる仕組み、仕事や生活の場で活かされる仕組みも併せて考えようとのプログラムが準備されつつある。今年はまだ緒についたばかりゆえ、一体どこまで達成できるか定かではないが、将来的にはGマークが実ビジネスに直結し、応募しなければ損、受賞しなければ損といったビジネス上の好環境を整えていこうとしている。これはGマーク制度自体のマーケティングであり、同時に受賞作や応募企業のマーケティング戦略にもなると考えているからだ。 |
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